特別な「F40」のなかでも唯一無二の“公道を走るモンスター”がオークションで高値落札 ミケロットに魔改造された“赤いフェラーリ”の価値は
モータースポーツの重鎮が求めた「公道を走れるレーシングスペック」
2026年7月に英国エプソムで開催されたRMサザビーズ主催のオークション「ウッドコート・パーク・オークション」に、フェラーリ史の中でも極めて特別な来歴を持つ1990年式「F40」ジャン・サージュ by ミケロットが出品され、落札されました。
このクルマは、フェラーリ創設者であるエンツォ・フェラーリがその生涯の最後に送り出した伝説のスーパーカー「F40」をベースに、フェラーリ公認のモータースポーツパートナーであるミケロット(Michelotto)が特別なチューニングを施した、極めて希少な歴史的個体です。

この特別なF40の最初のオーナーは、かつてル・マン24時間レースなどで活躍したレーサーであり、後に「フェラーリ・フランス」のディレクターやルノーF1チームのマネージャーを歴任した、モータースポーツ界の伝説的重鎮であるジャン・サージュ氏です。
サージュ氏は、新車で納車された1990年式のF40を単なるコレクターズアイテムとして保管するのではなく、究極のロードカーへと進化させることを決意しました。そして1994年、数々のフェラーリ製GTレースカーの開発を手がけてきた名門「ミケロット」に車両を預け、公道走行可能なリーガル仕様を維持したまま、走りを極限まで研ぎ澄ます特別オーダーを行いました。
ミケロットによるモディファイは多岐にわたります。外観はイタリアのカロッツェリア・ピニンファリーナによる美しくアイコニックな造形を保ちつつ、中身はイタリアのGTレース選手権「CSAI-GT」のレギュレーションに準じたスペックへと生まれ変わりました。
まず、車体から不要な内装やパーツを取り除くことで、市販仕様から136kgもの大幅な軽量化を達成しました。さらに、2.9リットルV型8気筒ツインターボエンジンには、特別仕様のIHI製ターボチャージャーが組み込まれ、モーリス・シャボール製の軽量カスタムエキゾーストシステムを装着しました。これにより、もともと最高出力478馬力だったパワーユニットは527馬力(トルクは約849Nm)にまで高められ、ただでさえ過激なF40の走行性能を異次元の領域へと引き上げています。
この車両は、触媒コンバーターを持たず、アクティブサスペンションも装備しない、マニアの間で最も純粋で価値が高いとされる「ノンキャタ・ノンアジャスト」の初期仕様をベースにしている点も大きな魅力です。走行距離はわずか2万2699km(約1万4104マイル)に留まり、素晴らしいコンディションを維持し続けています。
フェラーリの黄金期とモータースポーツの血統が奇跡的な融合を果たしたこの一台は、ウッドコート・パークの会場で激しい入札バトルの末、事前予想の270万ポンドから320万ポンドを上回る360万5000ポンド(日本円で約7億7100万円、米国ドル換算で約483万2570ドル)という記念碑的な高額で落札されました。
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