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ヒルトン東京お台場が“青の特等席”へ。「TOKYO STILLNESS」が示す、新しい食体験とは?

東京にありながら、東京を少し離れて眺める場所

 ヒルトン東京お台場の大きな魅力は、ロケーションそのものにある。都心からアクセスしやすい場所でありながら、目の前には東京湾が広がり、レインボーブリッジの向こうに東京の街並みを望むことができる。

 この距離感が、お台場という場所の面白さだ。東京の中心に近い。けれど、都心のただ中ではない。海があり、空があり、都市の輪郭を少し引いた場所から眺められる。だからこそ、ここでは東京を“消費する”のではなく、東京を“見つめ直す”時間が生まれる。

「TOKYO STILLNESS」という言葉が成立する理由も、まずそこにあるのだと思う。静けさとは、音がないことだけを意味しない。

 忙しい都市を、少し離れた場所から眺めることで生まれる心の余白。その余白を、食事や空間、言葉によって体験へと変えていくことが、今回の改装の大きな方向性になっている。

リニューアルの軸として掲げられた「TOKYO STILLNESS/SEE TOKYO DIFFERENTLY」。東京の絶景と静けさを結び直すことで、ホテルの体験価値を再定義している
リニューアルの軸として掲げられた「TOKYO STILLNESS/SEE TOKYO DIFFERENTLY」。東京の絶景と静けさを結び直すことで、ホテルの体験価値を再定義している

“青の特等席”で、食の時間も静かにほどける

 今回のリニューアルで象徴的な存在のひとつが、「シースケープ テラス・ダイニング」だ。新しいコンセプトは、「私をほどく、青の特等席」。さらにプレゼンテーションでは、「ウェルネスを纏う、青の特等席」という言葉も掲げられていた。

 この“青”とは、単なる色のことではない。東京湾の青であり、空の青であり、夕暮れに向かって少しずつ深まっていく時間の青でもある。日中の明るい海、夕暮れに染まる空、レインボーブリッジの向こうに灯り始める都心の光。その移ろいを眺めながら食事をすること自体が、ひとつの体験になっている。

シースケープ テラス・ダイニングから望むマジックアワーの東京湾。日中の青から夕暮れの色へと変わる時間も、食事体験の一部として印象に残る
シースケープ テラス・ダイニングから望むマジックアワーの東京湾。日中の青から夕暮れの色へと変わる時間も、食事体験の一部として印象に残る

 シースケープがこれまで大切にしてきた価値として、Fresh、Beauty、Healthy、Powerがある。今回のリニューアルでは、そこにReleaseとWellnessという要素が重ねられた。料理を選ぶ楽しさはそのままに、食事の時間そのものを、心身をゆるめ、内側から整える体験へと近づけている。

 ただし、それはコースのように順番を縛るものではない。好きなものを自由に選びながらも、食後に軽やかさが残るような導線が用意されている、という捉え方が近い。

 実際に料理を前にすると、その考え方はわかりやすい。東京近郊の野菜や豊洲市場からの魚介、温菜、ローストビーフ、スイーツまで、幅広い料理が並ぶ。品数の多さだけではなく、眺望を楽しみながら気持ちよく食べ進められる構成に、今回のシースケープらしさがある。

魚料理や肉料理などが並ぶホットミールエリア。料理の種類を増やすだけでなく、眺望を楽しみながら気持ちよく食べ進められる構成が意識されている
魚料理や肉料理などが並ぶホットミールエリア。料理の種類を増やすだけでなく、眺望を楽しみながら気持ちよく食べ進められる構成が意識されている

土地の食材と、ホテルビュッフェらしい高揚感

 ホテルビュッフェというと、華やかな品ぞろえやライブ感に目が向きやすい。もちろん、それは大切な魅力だ。だが、新しいシースケープ テラス・ダイニングでは、そこに“東京を味わう”という視点も加わっている。

 東京近郊の野菜、豊洲市場から届く魚介。そうした食材を取り入れることは、単なる地産地消という説明にとどまらない。東京湾を眺めながら、東京に近い場所で育まれた食材や、東京の食を支える市場の恵みに触れる。食事そのものが、お台場から東京を見つめる入口にもなる。

 シグネチャーメニューのひとつは、塩麹で48時間マリネしたローストビーフ。肉の旨みを引き出しながら、しっとりと柔らかく仕上げられている。会場ではシェフが肉を切り分けるライブ感もあり、ホテルビュッフェらしい高揚感がある。

 一方で、赤身肉や発酵食材という視点から、ウェルネスの文脈にも自然につながっているのが面白い。

シグネチャーメニューのひとつ、塩麹で48時間マリネしたローストビーフ。シェフが目の前で切り分けるライブ感も、ホテルビュッフェらしい楽しさにつながっている
シグネチャーメニューのひとつ、塩麹で48時間マリネしたローストビーフ。シェフが目の前で切り分けるライブ感も、ホテルビュッフェらしい楽しさにつながっている

 スイーツのコーナーには、グラススイーツ、タルト、ケーキ、マカロンなどが並ぶ。なかでも印象に残るのは、“宝石のようなフォトジェニックスイーツ”という打ち出しだ。

 カラフルなマカロンや季節のフルーツを使った一品は、東京湾の景色と同じように、目で楽しむ時間をつくってくれる。

グラススイーツやケーキ、タルトが並ぶスイーツエリア。カラフルな見た目と軽やかな構成により、食事の締めくくりにも“青の特等席”らしい華やぎを添えている
グラススイーツやケーキ、タルトが並ぶスイーツエリア。カラフルな見た目と軽やかな構成により、食事の締めくくりにも“青の特等席”らしい華やぎを添えている

 ここで大切なのは、甘さを我慢するのではなく、最後まで軽やかに楽しめることだろう。食べる喜びを小さくするのではなく、食後の気分まで含めて心地よく整える。そこに、今回のリニューアルで語られるウェルネスの考え方が表れている。

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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