古代ローマ時代の円形劇場が日本人だけの特別な舞台に!トルコの世界遺産“エフェソス遺跡”で開催された「エフェソス・ジャパンディ」の感動の一夜とは
トルコに22ある世界遺産のひとつがエフェソス遺跡
アジアとヨーロッパ、ふたつの大陸にまたがる国がトルコです。
現在のトルコ共和国が成立したのは1923年と比較的新しいのですが、東西文明が交わる場所として、古代から栄えてきた国でもあります。
現在、トルコには22の世界遺産があります。
ローマ帝国やビザンツ帝国、オスマン帝国の都が置かれてきた「イスタンブールの歴史地区」、キノコの形をした奇岩が立ち並び、熱気球でも有名になった「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩石群」、トロイの木馬で有名な「トロイの考古遺跡」などがありますが、2015年にユネスコ世界文化遺産に登録されたのが「エフェソス」です。
2026年8月、そのエフェソス遺跡にて、日本人観光客だけを対象にした特別イベント「エフェソス・ジャパンディ」が開催されました。

エフェソスは長い歴史を持つ古代都市で、その始まりは紀元前6000年にまでさかのぼるそうです。
いまでこそ、エーゲ海まではおよそ5kmも内陸にありますが、かつてはカストロス川の河口、海沿いの港として繁栄し、古代ローマ時代(紀元前753年頃から476年頃まで)に栄華を極め、のちの東ローマ帝国時代にも政治と経済の中心として繁栄し続けました。

その後、7世紀に入ると、山から流れ出す土砂による港の埋没が深刻化し、8世紀以降、東ローマ帝国はエフェソスを放棄。やがて忘れ去られたといいます。
時代は下り、1860年代、イギリス人建築家によって本格的な調査が開始されました。その後、世界七不思議のひとつとされるアルテミス神殿が発見されたことなどから注目を集め、現在に至ります。
662ヘクタールにも及ぶ壮大な遺跡群には、ローマ時代に建てられたというケルスス図書館や、2万4000人を収容できた当時最大級の円形劇場などがいまも残っています。

エフェソス遺跡に行くにはまず、イスタンブール空港から国内線で約1時間、イズミル県にあるアドナン・メンデレス空港に飛び、そこからレンタカーやタクシー、バスで向かうというルートが一般的なようです。イスタンブール、アンカラに次ぐトルコ第3の都市、人口400万人を数えるイズミル市内からは、高速道路を使っておよそ1時間強。今回はツアー専用バスで、イズミル市街の中心部にあるホテルからエフェソス遺跡に向かいました。
その日は8月上旬。イスタンブールでは日中の気温が30度前後と、日本よりも湿度が低いこともあって比較的過ごしやすい感じがしましたが、エフェソス遺跡のあるイズミル県は、午後4時ごろでも35度前後。湿度は低めですが、それでも暑い。また、遺跡内はほぼ日を遮る場所がないので、日傘や帽子などの対策は必要です。
広大なエフェソス遺跡。我々はまず東側から入場します。かつて港があった場所から若干遠く、高台になっている東側では、古代、布製品や紙など比較的軽いものを扱う商店が立ち並んでいたそうです。大理石でできた路面は晴れた日でも滑りやすく、ゆるやかな坂でも慎重に下っていきます。
エンタシス様式の大理石の石柱が立ち並んだ通りを歩きます。

通り沿いにあるハドリアヌス神殿は、レリーフが復元されていて、「蛇の髪」を持つメドゥーサや女神ティケのレリーフなどが残されています。その先には半円形のブールテリオン(市会議場)などの建物も。これらはいまから1900年ほど前、紀元100年ごろにできたものです。

そのころの日本は弥生時代で、稲作が広まり、ようやくクニが生まれ始めた時代です。あまりに遠い昔のことすぎて、また、その規模が壮大すぎて、「スゴい」という言葉しか出てきません。

そんな中でも、当時の人々の息づかいが聞こえてくるような場所もあります。それが公衆トイレの跡で、男性が10数人並んで座って用を足した場所というもの。また、その奥には娼館の看板などもあり、ローマ時代の人々の生活を垣間見たような気がしました。
そのまままっすぐ坂を下り、突き当たった場所にあるのは、エフェソス遺跡でもっとも有名な建物だというケルスス図書館。ここはローマ皇帝ハドリアヌス帝のころ、紀元117年に完成した図書館で、当時は1万2000冊の蔵書があり、世界三大図書館のひとつといわれていたとのこと。
1978年に修復された高さ17m、幅21mの2階建ての図書館の門は、まさに圧巻そのもの。荘厳さが伝わってきます。支柱の奥には4体の彫像が並んでいますが、発掘された際にウィーン移され、いま目にできるのはレプリカなんだそうです。

エフェソス遺跡はいまでも各スポットで修復が進められており、おそらく当時のものだと思われる円柱などが、そこかしこに無造作に横たわっているのも面白いところです。観光客が休憩がてら座っているその石柱も、じつは2000年近い歴史のあるもの。ただし、あまりにも壮大すぎて、以前はどんな人がこの古代都市で生活を営んでいたのか、想像ができません。

そんな悩みを解決する施設が、エフェソス遺跡内にありました。それは「Efes Deneyim Müzesi (Ephesus Experience Museum)」と呼ばれる体験型ミュージアムです。

最新のデジタル技術を用い、360度の映像で古代ローマ時代のエフェソスを再現。あたかもその街の中に自分がいるような没入型の体験で、当時の人々の息づかいまで聞こえてくるようなリアルな映像が心に残り、これまで見て回ったエフェソス遺跡の壮大さをあらためて実感しました。
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