VAGUE(ヴァーグ)

ドラム式洗濯機は “乾かない”し“置けない”!? シャープがドラム式の課題に向かい合った結果とは

洗面空間の中に新型ドラム式を配置した会場展示。無排気乾燥は、運転中の蒸気を機外へ放出せず内部で循環させる。限られたサニタリー空間の温度や湿度まで視野に入れた設計だ。
洗面空間の中に新型ドラム式を配置した会場展示。無排気乾燥は、運転中の蒸気を機外へ放出せず内部で循環させる。限られたサニタリー空間の温度や湿度まで視野に入れた設計だ。

もうひとつの主役は“置ける10kg”

 今回、バブルジェット洗浄と同じくらい重要なのがES-10L2の登場である。

グレイングレーのES-10L2。洗濯10kg/乾燥5kgとヒートポンプ乾燥を、本体幅598mm、高さ993mmのボディに収めた。大容量化と設置性の両立こそが、このモデルの主眼となる。
グレイングレーのES-10L2。洗濯10kg/乾燥5kgとヒートポンプ乾燥を、本体幅598mm、高さ993mmのボディに収めた。大容量化と設置性の両立こそが、このモデルの主眼となる。

 ES-10L2は、シャープの洗濯容量10kgクラスとして初めてヒートポンプ乾燥を採用。しかも、洗濯容量8kgのES-8L2と同じ本体幅598mm、高さ993mmのボディに、洗濯10kg/乾燥5kgを収めた。

 近年はまとめ洗いに対応する大容量化が進む一方、都市部のマンションでは洗面脱衣室や防水パンが広くなるわけではない。「大容量が欲しいが、置けない」という矛盾が生まれている。

 限られたサイズの中にヒートポンプ、ドラム、送風経路、各種センサーを収めながら容量を増やすには、内部構造を細かく見直す必要がある。

 ES-10L2の価値は単に小さいことではなく、大容量化とコンパクト化という相反する要求を両立しようとした点にある。

洗面台の横にES-10L2を設置した使用イメージ。大容量のドラム式が欲しくても、都市部の住宅では洗面脱衣室や防水パンの寸法が制約になる。製品価値を決めるのは、性能だけでなく実際に置けるかどうかだ。
洗面台の横にES-10L2を設置した使用イメージ。大容量のドラム式が欲しくても、都市部の住宅では洗面脱衣室や防水パンの寸法が制約になる。製品価値を決めるのは、性能だけでなく実際に置けるかどうかだ。

 ただし、本体幅598mmだけを見て「幅60cmの場所に置ける」と判断するのは危険だ。給排水ホースを含む外形寸法は幅640mmで、実際には防水パン、蛇口、扉の開閉、搬入経路まで確認する必要がある。

家電の役割は「困りごとを最後まで終わらせる」こと

 今回の新製品は、クラウドサービス「COCORO WASH」のダウンロードコースを、従来の1つから最大4つまで本体に保存できる。

「タオル」「赤ちゃん衣類」「カーテン」「浴衣」などのコースを、一度保存すれば本体から選択可能だ。

 機能としては地味に見えるが、毎回スマートフォンを操作しなくても使える点で、日常の利便性に直結する。家電の進化は、搭載機能を増やせばいいわけではない。使うまでの手順を減らし、失敗やストレスをなくして初めて、技術は生活の価値に変わる。

 バブルジェット洗浄は「汚れを落とし切れない」、ふわカラハイブリッド乾燥は「一部だけ乾かない」、コンパクトなES-10L2は「欲しい容量が置けない」という問題への回答だ。

 洗濯機は、すでに洗えるだけでは選ばれない。きちんと乾き、無理なく置けて、周囲の空間まで快適に保てること。

 今回のシャープ新型ドラム式は、成熟した家電市場で問われる価値が、派手な機能競争ではなく「日常の困りごとを最後まで終わらせる力」にあることを示している。

Next【次ページ】気になるスペック詳細はこちら
Gallery 【画像】シャープの洗濯機、新製品のポイントを画像で見る(11枚)
シチズン「プロマスター」新作 “海の男”をうならせた頼れる1本
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

page

VAGUEからのオススメ

海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】

海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】

RECOMMEND