「12倍ズーム」より、60mmが効いた! DJI「Osmo Pocket 4P」を羽田空港で実写レビュー ——2眼化で“ひとり撮影”はどう変わる?
「Osmo Pocket 4」の約2か月半後に現れた、もうひとつの答え
DJIは2026年4月16日に、1インチCMOSセンサーを搭載した「Osmo Pocket 4」を発表しました。その約2か月半後となる6月29日に国内発表されたのが、デュアルレンズ仕様のOsmo Pocket 4Pです。
短い間隔で登場した本機は、単なる上位版というより、Pocketシリーズの撮影距離を広げる別解といえます。
広角カメラは、35mm判換算20mm、F2.0のレンズと新設計の1インチCMOSセンサーを採用。上側には、60mm相当、F1.8の中望遠レンズと1/1.28インチCMOSセンサーを搭載しています。
上下に重ねた二つのレンズは存在感がありますが、ジンバル一体型の小さなボディに収まっており、実際に手にすると「二眼カメラ」という印象より、従来のPocketを少したくましくした感覚に近いものでした。

本体サイズは159.5×63.3×33.5mm、重量は230g。シングルカメラのOsmo Pocket 4より約40g重くなりました。数字だけを見ると増量していますが、本体だけなら片手で構え続けられ、羽田空港の広いターミナルを歩き回っても負担は大きくありません。
一方、ハンドルやFrameTap、マイク、ミニ三脚まで加えると、ポケットカメラというより小型の撮影システムになります。
羽田の航空機で分かった、実用の中心は「3倍」
Osmo Pocket 4Pは最大12倍ズームに対応します。しかし、展望デッキで実際に使ってみると、最も出番が多かったのは最大倍率ではなく3倍でした。
1倍では20mm相当の広角カメラを使い、展望デッキや駐機場の広がりまで一度に収められます。
3倍に切り替えると60mm相当の中望遠カメラが働き、同じ立ち位置のまま航空機を主役として引き寄せられました。人物や料理、製品を撮るときにも、周囲の情報を整理しながら被写体を自然に目立たせられる画角です。

従来のPocketシリーズは、広角でその場の雰囲気を残す撮影には強い一方、少し離れた人物や製品を印象的に見せたいときには、撮影者自身が近づく必要がありました。空港の展望デッキのように立ち位置が限られる場所では、その制約がよく分かります。
Osmo Pocket 4Pでは、1倍で場所を説明した直後に、3倍で航空機や人物を切り取れます。撮影者が移動せずに二つの画角を持てるため、短いVlogでも映像に強弱をつけやすくなりました。
カフェではドリンク全体を1倍で見せ、6倍ではラベルや水滴へ寄ることもできます。遠景だけでなく、手元の製品や料理を撮る場面でも、広角と望遠を組み合わせる意味があります。
羽田空港での撮影を通じて、3倍は「遠くを見るための倍率」ではなく、「主役を決めるための画角」だと感じました。

ズームボタンは1回押すと3倍、2回押すと6倍に切り替わり、長押しでは一定速度で倍率を変更できます。画面上に1倍、3倍、6倍が並ぶため、撮影中でも迷いにくい操作です。
同じJAL機を1倍、3倍、6倍、12倍で撮ると、1倍では駐機場全体、3倍では機体、6倍では尾翼や胴体のディテール、12倍では尾翼のロゴまで引き寄せられました。
ただし12倍では画質がやや柔らかくなり、小さな手の動きも大きく見えます。記録のための12倍に対し、画質と構図のバランスがよい3倍が日常的に最も使いやすい、というのが実写での結論です。

人混みで試したActiveTrackと複数人物の追跡
出発ロビーでは、画面上に現れた人物候補から追跡対象を選択しました。周囲に別の旅行者が入り込む場面でも、選んだ人物を中心に構図を保とうとするため、ひとり撮影で人物を追う負担はかなり減ります。
とくに3倍は画角が狭く、手動ではフレームアウトしやすいだけに、追跡との相性が良好です。一方、混雑した場所では最初に「誰を追うのか」を明確に選ぶ操作が重要でした。

2眼は「ズームレンズ」ではなく、「2本の単焦点レンズ」と考えたい
上下に並んだ2眼構造は、横並びのカメラと比べて、レンズ切り替え時の横方向の構図ズレを抑えやすい設計です。実際に1倍と3倍を行き来しても、主役が大きく左右へ飛ぶ印象はありませんでした。
ただし、Osmo Pocket 4Pは20mmから60mmまでを光学的に連続して動かすズームレンズではありません。撮影時に動作するのは片方のカメラで、倍率に応じて広角カメラと中望遠カメラが切り替わります。
そのため、1倍から3倍へ録画中に切り替えると、画角や描写が変わる瞬間は分かります。滑らかなズーム演出をひとつのカットで見せるより、1倍で全景を撮り、いったん録画を止めて3倍で次のカットを撮る方が自然です。
これは弱点であると同時に、Osmo Pocket 4Pの性格を理解するための重要なポイントでもあります。
本機は、12倍のズームレンズを持ったビデオカメラというより、20mmと60mmという2本のレンズを、ポケットの中で持ち替えられるカメラなのです。
羽田空港では、ターミナル全体、旅行者、航空機の尾翼という順に画角を変えて撮影しました。場所、人物、ディテールを一台でそろえられるため、撮影時点から編集後の流れを考えやすくなります。

強い日差しで分かった、17ストップと二眼用フィルターの意味
羽田空港の展望デッキは、夏の強い日差し、白い機体、暗い機内側の影、ガラスの反射が同時に入る厳しい撮影環境です。
広角カメラにはLOFIC技術を採用した1インチCMOSセンサーが使われ、公称17ストップのダイナミックレンジをうたいます。実際のプレビューでも、明るい空や白い機体を残しながら、ターミナル内の暗部を完全につぶさずに構図を確認できました。
ただし、明暗差に強いことと、映像の動きを意図どおりに見せることは別問題です。日中にシャッタースピードを抑えたいときには、NDフィルターが必要になります。
今回試したフィルターセットにはND16、ND64、ND256に加え、光源を柔らかくにじませるBlack Mistが用意されていました。

フィルターは広角と中望遠の二つのレンズをまとめて覆う一体型です。二眼それぞれに別のフィルターを付け替える必要がなく、20mmと60mmを切り替えながら同じ光の条件で撮影できます。
実際にカメラヘッドへ装着しても、フィルターは二つのレンズに沿ってコンパクトに収まります。NDは日中の動きを自然に見せるため、Black Mistは空港照明や反射光を少し柔らかくしたい場面に向きます。
高解像度を追うだけでなく、撮影意図に合わせて描写を変えられる点は、Osmo Pocket 4Pがクリエイター向けへ踏み込んだ部分です。

10-bit D-Log 2にも対応し、カラーグレーディングを前提とした撮影では、明暗や色を追い込む余地があります。ただしD-Log 2が利用できるのは広角カメラの1倍時のみです。
今回の羽田での検証は撮って出しと操作性を中心に行いました。中望遠カメラはD-Log 2に対応していないため、色編集を前提に広角と中望遠を混在させる場合は、撮影モードを事前に決めておく必要があります。
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