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ドラム式があっても乾燥機を足す理由は? パナソニック「Solaire(ソレイル)」が変える“洗濯の同時進行”

ガス乾燥機の躍進が、電気式の弱点を浮き彫りにした

 パナソニックが取材会で示したデータでは、ガス衣類乾燥機の出荷台数は2012年度の約2.2万台から、2023年度には約12万台へ拡大しました。

 共働き世帯の増加や家事時短ニーズも背景にありますが、支持される理由はやはり速さです。一方、パナソニックの従来100V電気衣類乾燥機は6kgで約235分。工事不要で導入しやすい反面、乾燥時間には明確な差がありました。

 ソレイルが変えたのは、単にヒーターの出力だけではありません。従来機は衣類から出た水蒸気を機内で水に戻して排水するため、その処理に時間がかかります。ソレイルは湿気を水に戻さず、ダクトを通してそのまま屋外へ排出します。

 そこに単相200Vの高出力を組み合わせることで、60Hz地域なら6kg約135分、50Hz地域でも約150分。従来機に対して約45%の時短を実現しました。

パナソニックの屋外排気式電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」。単相200Vと屋外排気方式を組み合わせ、6kgの衣類を約135分(60Hz)で乾燥します。
パナソニックの屋外排気式電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」。単相200Vと屋外排気方式を組み合わせ、6kgの衣類を約135分(60Hz)で乾燥します。

「速さ」だけではなく、低温乾燥とのバランスを選んだ

 それでも乾太くんの約60分には届きません。しかしソレイルの狙いは、ガス式と同じ仕組みを電気で再現することではなく、速さと衣類へのやさしさを両立することにあります。

 ガス式が庫内約80℃前後で乾燥するのに対し、ソレイルの庫内温度は約60℃前後。低温・大風量で乾かすことで、縮みや熱ダメージを抑えつつ、ふんわりした仕上がりを目指しています。つまり「ガス式より遅い電気乾燥機」ではなく、従来電気式より大幅に速くしながら、低温乾燥という別の価値を残した製品と見るべきでしょう。

ソレイルの主な特徴。6kgを約135分(60Hz)で乾燥し、従来電気式に対して約45%の時短を実現。約60℃前後の低温・大風量乾燥や6種類のコースも特徴です。
ソレイルの主な特徴。6kgを約135分(60Hz)で乾燥し、従来電気式に対して約45%の時短を実現。約60℃前後の低温・大風量乾燥や6種類のコースも特徴です。

オール電化住宅の“最後の弱点”を埋める存在

 筆者が今回もっとも興味深いと感じたのは、開発背景です。新築戸建では太陽光発電、蓄電池、エコキュート、IHなどを組み合わせたオール電化住宅が広がっています。ところがパナソニックによれば、乾燥機だけはガス式を選び、そのために新たにガス管を引くケースが実際にあるといいます。

 各電力会社からも「オール電化住宅で提案できる、速乾性の高い電気乾燥機が欲しい」という要望があったそうです。ソレイルは、まさにその空白を埋める製品です。太陽光の余剰電力や夜間電力を活用できる点も、電気式ならではの強みになります。

 その代わり、ソレイルは量販店で買ってコンセントにつなぐ家電ではありません。単相200V電源に加え、直径約100mmの排湿ダクトを壁に通す施工が必要です。パナソニックが新築戸建を主なターゲットに据えるのもそのためで、性格としては白物家電というより住宅設備に近づいています。

衣類乾燥機市場ではガス式の伸びが目立ちます。パナソニックの説明では、2023年度のガス式出荷は約12万台、同社の従来電気式は約6万台でした。
衣類乾燥機市場ではガス式の伸びが目立ちます。パナソニックの説明では、2023年度のガス式出荷は約12万台、同社の従来電気式は約6万台でした。

ドラム式があっても、独立乾燥機を足す理由

 取材会では、ソレイルの下に縦型ではなくドラム式洗濯乾燥機が組み合わせられていました。一見すると乾燥機能が重複しますが、ここにもいまの家事事情が表れています。

 1日に2回以上洗濯する家庭では、ドラム式1台で洗濯から乾燥まで終えるのを待つと、次の洗濯を始められません。そこで1回目の洗濯物をソレイルへ移し、乾燥している間にドラム式で2回目を回す。

 洗濯と乾燥を“直列”ではなく“並列”で処理する考え方です。これは大家族に限らず、子育て世帯や共働き家庭にも十分あり得る使い方でしょう。

ソレイルは衣類から出た高温多湿の空気を水に戻さず、排湿ダクトを通じてそのまま屋外へ排出します。排気経路の施工が必要になる点は、従来の100V電気式との大きな違いです。
ソレイルは衣類から出た高温多湿の空気を水に戻さず、排湿ダクトを通じてそのまま屋外へ排出します。排気経路の施工が必要になる点は、従来の100V電気式との大きな違いです。

家電ではなく「洗濯という家事」を設計する

 ソレイルが示しているのは、乾燥機単体の進化だけではありません。200V電源、排気ダクト、太陽光発電、ランドリー動線まで含めて考えると、選んでいるのは一台の家電ではなく「洗濯という家事をどう設計するか」です。

 乾太くんの約60分に対し、ソレイルは約135分。まだ速さだけならガスが優位です。それでも従来電気式の約235分から100分短縮した意味は小さくありません。ガスに追いつくことだけを目的にせず、オール電化との親和性、衣類へのやさしさ、住宅設計、家事の並列化まで含めて新しい落としどころをつくった。

 ソレイルは、家電と住宅設備の境界が曖昧になっていく時代を象徴する一台に見えます。

Solaireで乾燥したタオルと天日干ししたタオルを比較するデモ。低温・大風量で衣類をかき上げながら乾燥し、ふんわりした仕上がりを狙います。
Solaireで乾燥したタオルと天日干ししたタオルを比較するデモ。低温・大風量で衣類をかき上げながら乾燥し、ふんわりした仕上がりを狙います。

製品概要
「パナソニック 屋外排気式電気衣類乾燥機「Solaire(ソレイル)」
・品番:NH-EN12A1WJP
・価格:オープン価格
・発売日:2026年11月上旬
・タイプ:屋外排気式電気衣類乾燥機
・乾燥容量:6kg
・電源:単相200V
・乾燥時間:標準コース6kg 約135分(60Hz)/約150分(50Hz)
・乾燥温度:庫内温度約60℃前後
・搭載コース:標準、15分ドライ、ワイシャツ、厚物、化繊、タイマー
・主な特徴:200V高出力、屋外排気方式、低温・大風量乾燥
・設置条件:屋外への排湿管工事、単相200V電源工事が必要
・販売形態:住宅設備ルート専売品

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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