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「そこを直したのか!」東芝ZABOON(ザブーン)を4年使った家電のプロが、新型ドラム式で感心した“地味だけど効く”進化とは

約4年使ったからこそ分かる。「東芝のドラム式」に必要なもの

 今回の開発背景で興味深いのが、ドラム式から再びドラム式へ買い替えるユーザーの増加です。東芝によれば、その割合は2018年の約35%から2025年には約50%まで上昇しました。いまやドラム式は「初めて体験する便利な家電」ではなく、2台目を選ぶ人が半数を占める市場になりつつあります。

 筆者自身、一度、洗濯から乾燥まで自動で終わる生活に慣れると縦型へ戻るのは考えにくい。一方、数年使えば「乾きムラを減らしてほしい」「夜はもっと静かに」「フィルター掃除をラクに」と要求水準も上がります。東芝が約800人のユーザーに聞いた調査でも、総合満足度は約9割と高い一方、乾燥ムラ、運転音、電気代、お手入れなどに改善要望が集まりました。

 成熟市場で重要なのは、新機能を足すことだけではありません。既存ユーザーがどこでストレスを感じ、次の買い替えで離脱するのかを把握すること。新型ZABOONは、まさに「使い込んだ人が次も選びたくなる」方向へ作り直されています。

 市場全体でも大容量化は進み、東芝の説明では2025年のドラム式出荷は100万台を超え、11kg以上が販売の中心になっています。だからこそ新型では、単なる容量競争ではなく「すでに便利さを知る人が、次に何を不満と感じるか」が商品価値を左右します。

新型ZABOON「TW-137XP6」。ナイトグレーとルナホワイトの2色を展開する。外形サイズを大きく変えずに洗濯槽を拡大しつつ、前面はラインや段差を抑えた家具調のデザインに刷新された。
新型ZABOON「TW-137XP6」。ナイトグレーとルナホワイトの2色を展開する。外形サイズを大きく変えずに洗濯槽を拡大しつつ、前面はラインや段差を抑えた家具調のデザインに刷新された。

「13kgになった」だけではない。広い槽を乾燥に生かした設計が面白い

 TW-137XP6は洗濯13kg、乾燥7kg。注目すべきは13kgという数字以上に、槽そのものを広げたことです。洗濯槽の奥行きを35mm拡大し、容積は2025年度モデルTW-127XP5の78.1Lから85.3Lへ約9%アップ。それでいて本体の外形奥行きは従来と変えていません。槽の傾斜角を7度から4度へ変え、内部構造を見直すことで実現しました。

 乾燥容量は7kgのままですが、同じ7kgの衣類をより余裕のある空間で動かせる意味は大きい。ドラム内が窮屈だと、パーカーのフードや袖口、厚手部分などが重なり、乾き残しが起きやすくなります。発表会の比較デモでも、新型は「最終的に乾けばいい」ではなく、終了時の乾きムラを減らすことを狙っているのがよく分かりました。

 一部が湿っていて追加乾燥する、その小さな手間と電力を減らせるなら、毎回乾燥まで使う家庭には数字以上の価値があります。

既存のドラム式ユーザーは総合的には高い満足度を示す一方、乾燥ムラや夜間の運転音、電気代、お手入れなどには「もっとこうなれば」という声が残る。新型はそうした小さな不満を一つずつ拾い上げた。
既存のドラム式ユーザーは総合的には高い満足度を示す一方、乾燥ムラや夜間の運転音、電気代、お手入れなどには「もっとこうなれば」という声が残る。新型はそうした小さな不満を一つずつ拾い上げた。

新型の本当の主役は「風」。乾燥、静音、省エネを一つの設計で改善

 今回、技術的に最も面白かったのは乾燥時の「風」の設計です。新型は槽内へ温風を送る吹き込み口を約90%拡大。従来は開口部の強度を確保するため別体の補強部材が必要でしたが、新型では周辺構造を一体化することで、強度を保ちながら風が通る入口を大きく確保しています。こうした内部パーツの作り方から見直したわけです。

 さらに送風ファンの羽根を27枚から34枚へ増加。低い回転数でも必要な風量を確保しやすくし、乾燥風路も急な曲がりを滑らかに変更しています。風がぶつかって生じる抵抗や風切り音を減らすことで、乾燥性能、省エネ、静音性を別々の機能ではなく、空気の流れという基本設計からまとめて改善したわけです。

 発表会では新「おやすみコース」の運転音も旧型などと聴き比べましたが、新型は特に送風系の音が抑えられた印象でした。夜に洗濯から乾燥まで済ませる家庭が増えたいま、静音性は単なるスペックではありません。寝ている間に家事を任せられるかという、生活時間の自由度に直結する性能です。

 また新型では湿度センサーをXP6だけでなくXH6、XM6にも広げ、衣類の乾き具合を直接見ながら制御する方向を強めています。風を増やすだけではなく、乾いたかどうかを見極めて止める。この組み合わせが、過乾燥や無駄な運転を抑えるうえでも重要です。

左が新型TW-137XP6、右が2025年度モデルTW-127XP5の洗濯槽。新型は奥行きを35mm広げ、槽容積を78.1Lから85.3Lへ約9%拡大した。乾燥7kg時にも衣類が動く余裕をつくる。
左が新型TW-137XP6、右が2025年度モデルTW-127XP5の洗濯槽。新型は奥行きを35mm広げ、槽容積を78.1Lから85.3Lへ約9%拡大した。乾燥7kg時にも衣類が動く余裕をつくる。

旧型ユーザーとしては「フィルターが外れる」に拍手を送りたい

 約4年間ZABOONを使っている筆者が、とりわけ評価したのがお手入れ性です。乾燥を頻繁に使えば、フィルターにはホコリや髪の毛がたまります。TW-127XP2でも掃除は欠かせませんが、「ここまで外せれば洗いやすいのに」と感じる部分がありました。

 新型では乾燥フィルターの上部パーツを取り外し、分解して水洗いできるようになりました。ドアパッキン周辺も突起を減らすなど、拭き取りやすさに手が入っています。我が家では靴下やヘアピンがパッキン周辺から出てくることもあるだけに、この改善は実感を伴って評価できます。

 洗浄力だけが洗濯機の性能ではありません。掃除する人の手間まで含めて商品体験。長く使う家電では、こういう一見地味な改良ほど効いてきます。

左が新型TW-137XP6、右が従来モデルの乾燥風路。従来は風路の曲がりが急で、空気の乱れや抵抗が生じやすかった。新型は曲がりをなだらかにして風をスムーズに流し、送風効率を高めながら風切り音の低減につなげている。
左が新型TW-137XP6、右が従来モデルの乾燥風路。従来は風路の曲がりが急で、空気の乱れや抵抗が生じやすかった。新型は曲がりをなだらかにして風をスムーズに流し、送風効率を高めながら風切り音の低減につなげている。

3連自動投入が示す、「自動化の次」にユーザーが求めるもの

 TW-137XP6は液体洗剤約1200mL、柔軟剤約1100mLに加え、おしゃれ着洗剤または酸素系液体漂白剤を入れられる約900mLの「セレクトタンク」を備えた3連自動投入になりました。

 自動投入が当たり前になると、次に面倒になるのは“例外”です。普段は自動なのに、おしゃれ着や漂白のときだけ手作業に戻る。その例外まで自動化するための3本目と考えると分かりやすい。家電の自動化競争は「自動にするか」から「どこまで例外をなくせるか」へ進み始めています。

 タンク容量を大きくしたのも実用的です。市販の詰め替えパウチをなるべくまとめて移し替えられれば、少量だけ残る煩わしさも減ります。新設の「黄ばみ落としコース」やウールマーク・ウールケア認証取得の「ウールコース」も、3本目のタンクを使う意味を具体的な家事シーンへ落とし込んだ機能です。

新型の乾燥フィルターは上部パーツを取り外して分解でき、水洗いしやすい構造へ進化した。ホコリや髪の毛が細部に入り込む乾燥フィルターは、数年使うほど掃除のしやすさが製品満足度を左右する。
新型の乾燥フィルターは上部パーツを取り外して分解でき、水洗いしやすい構造へ進化した。ホコリや髪の毛が細部に入り込む乾燥フィルターは、数年使うほど掃除のしやすさが製品満足度を左右する。

新型を見た瞬間に思った。「これ、指紋が目立たない」

 新型に触れてすぐ気づいたのがマットな外装です。筆者宅のTW-127XP2はブラウン系の光沢仕上げで、2022年に購入した当時から色自体は気に入っています。ただ、濃色の光沢面は照明によって指紋や皮脂跡が意外に目立つ。

 新型はルナホワイトとナイトグレーを用意し、不要なラインや段差を抑えた家具調の造形へ変更。マットな表面は実際に触っても指紋が気になりにくい。メーカーはサニタリー空間との調和を訴えますが、毎日使う側からすれば「高級感」以上に、この汚れの目立ちにくさがうれしい。生活の視覚的なノイズを減らすことも、家電デザインの大切な役割です。

TW-137XP6の大容量3連自動投入タンク。液体洗剤約1200mL、柔軟剤約1100mLに加え、約900mLのセレクトタンクを搭載し、おしゃれ着洗剤または酸素系液体漂白剤を設定できる。
TW-137XP6の大容量3連自動投入タンク。液体洗剤約1200mL、柔軟剤約1100mLに加え、約900mLのセレクトタンクを搭載し、おしゃれ着洗剤または酸素系液体漂白剤を設定できる。

乾燥だけではない。13kgでも「洗濯約30分」を維持

 今回のフルモデルチェンジは乾燥性能の進化が主役ですが、洗濯性能もきちんと底上げされています。広くなった槽で衣類が動きやすくなり、高濃縮ワイドシャワーで洗剤液を衣類全体へ届けることで、洗濯13kgでも標準コースの洗濯時間は約30分を維持。

 さらに東芝の強みである「抗菌ウルトラファインバブル洗浄EX」を継承し、ウルトラファインバブルで汚れを落とし、マイクロバブルで浮いた汚れをキャッチして再付着を抑えます。発表会では疑似汚れを使った比較実験も行われ、乾燥だけでなく「洗う」という基本性能を外していないことも確認できました。

「抗菌ウルトラファインバブル洗浄EX」の実演で用意された左が水道水と、右がウルトラファインバブル&マイクロバブル水の比較。微細な泡で汚れを落とし、浮いた汚れをマイクロバブルがキャッチして再付着を抑えるという東芝の洗浄技術を確認した。
「抗菌ウルトラファインバブル洗浄EX」の実演で用意された左が水道水と、右がウルトラファインバブル&マイクロバブル水の比較。微細な泡で汚れを落とし、浮いた汚れをマイクロバブルがキャッチして再付着を抑えるという東芝の洗浄技術を確認した。

40万円を超える家電は、何にお金を払ってもらうのか

 最上位TW-137XP6の想定価格は税込42万6800円前後。一方、市場では10万円台のドラム式も存在感を増しています。機能表だけなら、洗濯、乾燥、自動投入を備える低価格機も珍しくありません。ではプレミアムモデルは何に価格差を生み出すのか。

 今回のZABOONの答えは、派手な一発ではなく積み重ねです。槽を35mm広げ、吹き込み口を約90%拡大し、ファンの羽根の枚数を27枚から34枚にする。風路を滑らかにし、フィルターを洗いやすくし、自動投入を3連にし、抗菌ウルトラファインバブル洗浄EXや外装も磨き込む。一つなら小さな改良でも、それが365日積み重なれば使い勝手の差になる。

 約4年間TW-127XP2を使ってきた筆者には、新型は単に性能を上げた後継機ではなく、「ZABOONを使い込んだ人が次に買うZABOON」を作り直したモデルに見えました。4年使ったからこそ気づく不満にきちんと答える。機能の有無だけでは差別化しにくい時代に、生活者の小さなストレスをどこまで消せるか。それこそが、今回のフルモデルチェンジの本質だと思います。

発表会で乾燥後のパーカーを背中側から並べた比較。乾き残しが出やすいフードや袖口まで見えるため、仕上がりの差を確認しやすい。新型は広くなった槽内と大風量によって、厚手部分を含む乾きムラの低減を狙っている。
発表会で乾燥後のパーカーを背中側から並べた比較。乾き残しが出やすいフードや袖口まで見えるため、仕上がりの差を確認しやすい。新型は広くなった槽内と大風量によって、厚手部分を含む乾きムラの低減を狙っている。

【製品概要】
東芝 ドラム式洗濯乾燥機 ZABOON TW-137XP6
価格:オープン価格(市場想定価格 税込42万6800円前後)
発売時期:2026年10月
カラー:ナイトグレー(H)/ルナホワイト(W)
タイプ:ドラム式洗濯乾燥機(ヒートポンプ除湿乾燥)
洗濯・脱水容量:13kg
乾燥容量:7kg
目安時間:洗濯 約30分/洗濯~乾燥 約87分
本体サイズ:幅645×奥行720×高さ1060mm(給・排水ホース含む)
重量:約97kg
自動投入:液体洗剤 約1200mL/柔軟剤 約1100mL/セレクトタンク 約900mL
主な機能:大風量ふんわリッチ速乾、抗菌ウルトラファインバブル洗浄EX、高濃縮ワイドシャワー、湿度センサー、大容量3連自動投入、おやすみコース、黄ばみおとしコース、ウールコース、9.2型カラータッチパネル、乾燥フィルター分解・水洗い、IoLIFEアプリ連携

Gallery 【画像】新型ドラム式洗濯機、東芝ZABOONを細かく画像で見る(15枚)
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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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