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モバイルバッテリーは“かわいい”が大事!? 「準固体電池」ってナニ? 安全性が求められる時代の品質管理とは

「かわいい」は強い。でもバッテリーは“中身”が命

「かわいいだけじゃだめですか?」――CUTIE STREETのヒット曲を思い出したのは、MOTTERUの新製品発表会を見ていたときだった。

 MOTTERUは、黒や白ばかりだったデジタルアクセサリーの世界に、アーモンドミルクやペールアイリスといったニュアンスカラーを持ち込み、「実用品」を「持って出かけたくなるデザインガジェット」へ変えてきた。売上高も第1期の9000万円から第6期には11億2000万円まで拡大。 “見た目”を明確な差別化要因に変えたブランド設計はうまい。

 ただし、モバイルバッテリーだけは、かわいいだけではダメだ。

 私たちはこれまで、「5000mAhか1万mAhか」「何W出るか」「軽いか」「色が好みか」といった“顔”と数字で選びがちだった。しかし本来、一番重要なのは、そのケースの中にどんな電池が入っているかではないだろうか。

発表会場に並んだMOTTERUのモバイルバッテリー。やわらかなニュアンスカラーを前面に出し、携帯アクセサリーを“持って出かけたくなる道具”として見せるのが同社らしい。
発表会場に並んだMOTTERUのモバイルバッテリー。やわらかなニュアンスカラーを前面に出し、携帯アクセサリーを“持って出かけたくなる道具”として見せるのが同社らしい。

容量より「安全性」。選ぶ基準が変わった

 MOTTERUが全国20~69歳の男女500人を対象に実施した調査では、モバイルバッテリー保有者250人が購入時に最も重視すると答えた項目の1位は「安全性」で38.6%。容量は15.4%、価格は13.4%だった。

 さらに40.2%が使用中に「危険・不安」を感じた経験があると回答。触れられないほど熱くなった13.8%、膨張・変形した10.6%など、決して珍しい話ではない。

 興味深いのは、安全性を求める意識と選び方にギャップがあることだ。メーカーに期待する項目では「安全性」が79.6%に達する一方、購入時にPSEマークを「必ず確認する」人は20.8%にとどまる。

 つまり「安全なものが欲しい。でも何を見れば安全なのか分からない」というのが、多くの生活者の現在地なのだろう。しかも、安全性が高ければ一般的な製品より500円以上高くても購入したい人は56.6%。準固体電池の特徴を説明した後には、57.8%が「購入候補になる」「ぜひ購入したい」と回答した。知らない技術でも、意味が分かれば選択肢になる。安全は“当たり前”から、お金を払う価値へ変わりつつある。

MOTTERUの消費者調査では、モバイルバッテリー選びで最も重視する項目は「安全性」が38.6%で1位。容量15.4%を大きく上回り、選択基準の変化を示す結果となった。
MOTTERUの消費者調査では、モバイルバッテリー選びで最も重視する項目は「安全性」が38.6%で1位。容量15.4%を大きく上回り、選択基準の変化を示す結果となった。

「中身」を変える準固体電池

 そこでMOTTERUが力を入れているのが準固体電池だ。同社は2026年3月から準固体モデルを市場投入し、今回の発表会で5000mAh、1万mAh、2万mAh、Qi2ワイヤレスへラインアップを広げた。

 一般的なリチウムイオン/リチウムポリマー電池では流動性のある電解質を使うのに対し、MOTTERUの準固体電池は、電解質をゲルやペーストに近い状態にすることで流動性を抑える。外部から衝撃を受けた際の液漏れや短絡、発火リスクの低減を狙う考え方だ。

 発表会では釘刺し試験や圧壊試験も披露された。比較用の従来型セルが発煙・発火する一方、準固体セルは釘を刺しても発火せず、会場には実際に釘が刺さったままのセルも展示されていた。

 ただし、これはあくまでMOTTERUが設定した条件下での試験結果だ。資料には「絶対に燃えない」という強い表現もあったが、どんな条件でも発火しないと一般化すべきではない。重要なのは、発火リスクを下げるために“電池そのものの構造”を変える競争が始まったことだ。

 同社は準固体電池について-10~60℃の動作温度、2000回以上の充放電寿命も訴求する。従来品を約500回として約4倍という計算で、買い替え頻度を減らせれば廃棄量の抑制にもつながる。さらに5000mAhモデルは約106g、USB-C PD最大20Wに対応。安全性を高めた結果、分厚く重い製品になってしまえば、日常のモバイルバッテリーとしては使われにくい。その点、持ち歩けるサイズに収めたことは商品として重要だ。

 またMOTTERUは、すべてを準固体へ置き換えるわけではない。スマートフォンへ直接挿すダイレクト型では、セラミックコートセパレーターと安全添加剤を使ったLi-ionの「安全セル(仮称)」を採用するという。製品の形や用途に応じて異なる電池技術を使い分ける。ここにも「準固体」という言葉を売るのではなく、“中身の安全性”そのものを競争力にしようとする姿勢が見える。

会場に展示されていた、釘を刺した状態の準固体電池セル。発表会では同社の試験条件下で発火しなかった結果が示された。安全性は試験条件と合わせて理解する必要がある。
会場に展示されていた、釘を刺した状態の準固体電池セル。発表会では同社の試験条件下で発火しなかった結果が示された。安全性は試験条件と合わせて理解する必要がある。

“かわいい”の、その先へ

 MOTTERUが今回掲げたテーマは「安全×環境×デザイン」の融合だ。準固体電池だけでなく、不要になった自社製モバイルバッテリーの無償回収、JBRCを通じたリサイクル、全モバイルバッテリーへの2年保証まで含めて、購入後の安心もブランド価値にしようとしている。

 モバイルバッテリーは、捨て方を間違えると収集車や処理施設での発火につながりかねない。つまり安全性は「買うとき」「使っているとき」だけでなく、「役目を終えた後」まで続く問題だ。メーカーが回収まで自分たちの責任範囲として見せることには、単なるCSR以上の意味がある。

 ここが次の勝負どころだ。“かわいい”はブランドを知ってもらう強力な入口だが、色や形はいずれ模倣される。その先に、どんな技術を選ぶのか、使い終わった後までどう責任を持つのかという企業姿勢を積み上げられるかが、長く支持されるブランドになるかを分ける。

“かわいい”は正義だ。毎日持つものだから、気に入った色や形であることには大きな価値がある。

 でも、モバイルバッテリーについては、かわいいだけじゃダメなのだ。

 かわいいは「買いたい」を生む。安全は「使い続けたい」を支える。

 モバイルバッテリー選びは、いよいよ“顔”だけではなく、“中身の電池”まで見る時代に入ったのかもしれない。

新しい準固体モバイルバッテリーの展示。5000mAh/1万mAhクラスを中心に、MOTTERUらしいニュアンスカラーとストラップ型USB-Cケーブルを組み合わせ、安全性だけでなく日常に持ち歩きやすい佇まいまで含めて提案している。
新しい準固体モバイルバッテリーの展示。5000mAh/1万mAhクラスを中心に、MOTTERUらしいニュアンスカラーとストラップ型USB-Cケーブルを組み合わせ、安全性だけでなく日常に持ち歩きやすい佇まいまで含めて提案している。

【製品概要】
準固体モバイルバッテリー 5,000mAh(MOT-MBSS5003)

価格:参考価格 税込4970円
発売時期:2026年9月より順次発売
カラー:アーモンドミルク、ペールアイリス
タイプ:準固体電池採用モバイルバッテリー
バッテリー容量:5000mAh
出力:USB-C PD 最大20W
本体サイズ:約72.5×55.5×19.5mm
重量:約106g
主な機能:準固体電池、USB-C PD最大20W、急速充電対応ストラップ型Type-Cケーブル、2年保証
付属品:急速充電対応ストラップ型Type-Cケーブル
保証期間:2年間

準固体モバイルバッテリー 10,000mAh(MOT-MBSS10003)
価格:参考価格 税込6640円
発売時期:2026年9月より順次発売
カラー:アーモンドミルク、スモーキーブラック、ペールアイリス、パウダーブルー、ラテグレージュ
タイプ:準固体電池採用モバイルバッテリー
バッテリー容量:1万mAh
出力:USB-C PD 最大20W
本体サイズ:約74×56×33mm
重量:約182g
主な機能:準固体電池、USB-C PD最大20W、急速充電対応ストラップ型Type-Cケーブル、5色展開、2年保証
付属品:急速充電対応ストラップ型Type-Cケーブル
保証期間:2年間

準固体モバイルバッテリー 20,000mAh(MOT-MBSS20003)
価格:参考価格 税込1万1080円
発売時期:2026年9月より順次発売
カラー:アーモンドミルク、スモーキーブラック
タイプ:準固体電池採用・大容量モバイルバッテリー
バッテリー容量:2万mAh
出力:USB-C PD 最大45W
本体サイズ:約99.5×70.4×32.7mm
重量:約329g
主な機能:準固体電池、USB-C PD最大45W、ノートPC充電対応、急速充電対応ストラップ型Type-Cケーブル、2年保証
付属品:急速充電対応ストラップ型Type-Cケーブル
保証期間:2年間

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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