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30万円オーバーのドラム式洗濯乾燥機となにが違う? ニトリの新「約10万円ドラム洗乾」を家電のプロが試してわかったこと

「10万円を切るドラム式」は、もう“安いだけ”では語れない

 ドラム式洗濯乾燥機という家電は、ここ数年でかなり意味が変わったと思っています。

 かつてドラム式は、洗濯機の上位版でした。縦型洗濯機より高く、サイズも大きく、ある程度の広い洗面所がある家庭が選ぶもの。共働き世帯や子育て世帯にとっては便利だけれど、誰もが気軽に買える家電ではありませんでした。

 ところが今は、少し違います。天気を気にせず、夜でも洗濯できる。ベランダに干す手間を減らせる。部屋干しのスペースを減らせる。タオルや下着を洗濯から乾燥まで任せられる。つまりドラム式洗濯乾燥機は、単なる高級家電ではなく、暮らしの時間をどう取り戻すかという道具になっています。

 今回試したニトリの10kgドラム式洗濯乾燥機は、その意味でとても象徴的な一台でした。洗濯容量10kg、乾燥容量5kg。本体サイズは約幅600×奥行595×高さ857mm。

 左開きのND100KL2、右開きのND100KR2が用意され、洗剤自動投入タンクは約1000mL、柔軟剤自動投入タンクは約600mL。主な機能として、洗剤・柔軟剤自動投入、温水洗浄、低温乾燥コース、特急洗乾、左右開き、上面給水などを備えています。

10kgドラム式洗濯乾燥機。正面に余計な表示が少なく、洗面所の空間にすっきり収まる佇まいから、約10万円モデルでありながらデザイン面にも配慮されていることが伝わる
10kgドラム式洗濯乾燥機。正面に余計な表示が少なく、洗面所の空間にすっきり収まる佇まいから、約10万円モデルでありながらデザイン面にも配慮されていることが伝わる

 これだけ見ると、いわゆる“必要十分”のドラム式です。もちろん、30万円オーバーのフラッグシップモデルと同じではありません。ヒートポンプ式ではなくヒーター式ですし、スマートフォン連携やAI制御、高度なシワ抑制、きめ細かな自動お手入れ機能など、上位機ならではの価値もあります。

 ただ、実際に使ってみると、日常の洗濯において「ここが決定的に足りない」と感じる場面は、思っていたほど多くありませんでした。ここが、今回もっとも面白かったところです。

約10kg分の衣類をかごに入れた状態。二人暮らしから3〜4人家族まで、日常の洗濯物をまとめて洗える容量感を視覚的に確認できる
約10kg分の衣類をかごに入れた状態。二人暮らしから3〜4人家族まで、日常の洗濯物をまとめて洗える容量感を視覚的に確認できる

まずデザインがいい。ニトリ家電は“生活空間に置くもの”をわかってきた

 実機を見て最初に感じたのは、見た目がかなり整っていることでした。

 ドラム式洗濯乾燥機は、どうしても操作パネルや表示が前面に集まりがちです。もちろん、それはそれで使いやすいのですが、洗面所という生活空間に置くと、情報量が少し多く見えることがあります。家電量販店では気にならなくても、自宅に置くと急に存在感が強くなる。そういう家電は少なくありません。

 その点、本機は操作ボタンを上面にまとめています。正面から見ると、ドアと本体の面がすっきり整い、余計なノイズが少ない。

 白は清潔感があり、ダークグレーならよりモダンな雰囲気になります。ドラムまわりには、水流を思わせる控えめな紋様も入っていて、近くで見るとわずかな質感の演出があります。

ドラムまわりには、水流を思わせる控えめな紋様が入っている。大きく主張する装飾ではないが、近くで見ると清潔感と質感があり、生活空間に置く家電としての表情をつくっている
ドラムまわりには、水流を思わせる控えめな紋様が入っている。大きく主張する装飾ではないが、近くで見ると清潔感と質感があり、生活空間に置く家電としての表情をつくっている

 これは単なる見た目の話ではありません。洗濯機は、キッチン家電やオーディオのようにリビングで見せるものではないかもしれません。

 でも、いまの住まいでは洗面所やランドリースペースも、暮らしの質を左右する場所になっています。毎日目に入るものが、ちゃんと整っている。これは想像以上に大事です。

 家電スペシャリストとして長く製品を見てきて思うのは、家電のデザインは「かっこよさ」だけでは成立しないということです。操作しやすく、掃除しやすく、置いた空間を邪魔しないこと。ニトリのこの10kgドラムは、低価格帯でありながら、そこをかなり意識していると感じました。

操作部は上面に配置され、洗剤・柔軟剤の自動投入量や水温、残り時間などを見やすく表示。ボタン表記も漢字中心で、初めてでも操作に迷いにくい
操作部は上面に配置され、洗剤・柔軟剤の自動投入量や水温、残り時間などを見やすく表示。ボタン表記も漢字中心で、初めてでも操作に迷いにくい

洗剤自動投入は“高級機の機能”ではなく、日常の小さな面倒を消す機能

 今回のモデルで大きな進化点となるのが、洗剤・柔軟剤自動投入です。

 洗濯のたびに洗剤ボトルを取り出し、キャップで量り、こぼさないように入れる。柔軟剤も同じように入れる。ひとつひとつは小さな作業ですが、毎日続くと意外に面倒です。こういう家事は、やった人にしか見えにくい。いわゆる“名もなき家事”です。

 本機では、洗剤用と柔軟剤用のタンクがそれぞれ独立しており、取り外して洗える構造になっています。投入口も広く、液体洗剤や柔軟剤を注ぎやすい。一般的な詰め替え用パウチを入れやすい容量で、頻繁に補充しなくてよい点も便利です。

洗剤自動投入タンクは投入口が広く、液体洗剤を注ぎやすい。毎回キャップで量る手間を減らせるだけでなく、補充時にこぼしにくい点も日常使いではありがたい
洗剤自動投入タンクは投入口が広く、液体洗剤を注ぎやすい。毎回キャップで量る手間を減らせるだけでなく、補充時にこぼしにくい点も日常使いではありがたい

 この機能は、実は価格差を語るうえでかなり重要です。かつて洗剤自動投入は、大手メーカーの上位モデルに搭載される“ちょっと贅沢な機能”でした。しかし一度使うと、戻りにくい機能でもあります。毎回の計量がなくなる。洗剤の入れすぎを防ぎやすい。家族の誰が洗濯しても、同じように使いやすい。

 これはプロダクトの価値が「高機能化」から「摩擦の削減」へ移っていることを示しています。すごい機能を増やすのではなく、毎日の小さな面倒を確実に減らす。その意味で、自動投入が10万円を切るモデルに入ってきたことは、かなり大きな変化です。

温水洗浄はかなり強い。汚れ落ちは正直、想像以上だった

 洗濯機として最も大事なのは、当然ながら汚れ落ちです。価格が安くても、ここが弱ければ話になりません。

 今回は、白いTシャツにケチャップ、コーヒー、カレーを付着させ、約40℃の温水洗浄でどこまで落ちるかを試しました。洗剤・柔軟剤自動投入を使って運転し、時間は約2時間半程度。決して短くはありませんが、洗い上がりはかなり印象的でした。

ケチャップ、コーヒー、カレーを付着させた洗濯前のTシャツ。色素の強い汚れも含め、温水洗浄でどこまで落とせるかを確認した
ケチャップ、コーヒー、カレーを付着させた洗濯前のTシャツ。色素の強い汚れも含め、温水洗浄でどこまで落とせるかを確認した

 汚れを付けたTシャツが、新品かと思うほどきれいになっていたのです。ケチャップ、コーヒー、カレーのいずれも、目立つ汚れはほぼ見当たらず、日常汚れへの洗浄力はかなり好印象でした。

温水洗浄後のTシャツ。ケチャップ、コーヒー、カレーのいずれも目立つ汚れはほぼ見当たらず、日常汚れへの洗浄力はかなり好印象だった
温水洗浄後のTシャツ。ケチャップ、コーヒー、カレーのいずれも目立つ汚れはほぼ見当たらず、日常汚れへの洗浄力はかなり好印象だった

 もちろん、これは万能という意味ではありません。汚れの種類、付着してからの時間、衣類の素材、使う洗剤によって結果は変わります。とくにカレーのような色素の強い汚れは、本来であれば予洗いをしたほうが安心です。

 それでも、今回の結果を見る限り、「10万円を切るから汚れ落ちはほどほど」と考える必要はなさそうです。少なくとも、家族の日常洗濯において、食べこぼし、汗、タオル、部屋着、仕事着を洗うという用途では、十分な実力があると感じました。

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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