3万円台で真夏の寝室が“天国”に!? ニトリのポータブルクーラーは歴史的価値のある住宅にも似合うのか【家電で読み解く新時代|Case.49】
名作住宅だからこそ、壁掛けエアコンを付けたくない
「エアコンを付けられない部屋」と聞くと、賃貸住宅や室外機を置けない部屋を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし実際には、物理的には付けられても、できれば付けたくない住まいもあります。
今回、ニトリのポータブルクーラー「NR-101ON」を持ち込んだのは、東京都中野区にあるテラスハウスの2階です。
建築家・前川國男が昭和30年代に設計した住宅を、インテリアスタイリストの窪川勝哉氏がリノベーションし、筆者とシェアオフィス兼「家電とインテリアのショールーム」として使っています。
古い建築には、現代の住宅にはない佇まいがあります。窓の位置、壁の質感、光の入り方。そこで暮らす以上、不便をすべて我慢する必要はありませんが、壁に穴を開け、配管を這わせ、外観に室外機を加えることには慎重になります。
一方、日本の夏は、もはや風情だけで乗り越えられる暑さではありません。検証日の午後2時、外気温は約30℃。暖気が上がる戸建ての2階は暑く、しかも寝室は階下とつながる開放的な構造です。冷気を閉じ込めやすい一般的な個室より、冷房には明らかに不利でした。
建築を守るために暑さを我慢するのか。快適さのために建物へ手を加えるのか。その二者択一に、第三の選択肢を示すのがポータブルクーラーです。

“ポータブル”でも約20.5kg。だが風は本物だ
本機は、冷風、除湿、送風の3モードを備えたコンプレッサー式の冷房機器です。本体サイズは約幅303×奥行286×高さ696mm、質量は約20.5kgあります。
「ポータブル」という名前から、片手で部屋間を移動できる家電を想像するかもしれません。しかし実物は、室内機と室外機の機能をひとつに収めた“移動できる小型エアコン”です。
底面にはキャスターがあり、同じフロアでの移動はスムーズです。ただし階段で2階へ運ぶとなれば、気軽とはいえません。取扱説明書には、大人2人以上で運ぶ必要があると記載されています。
その代わり、電源を入れた直後から吹出口にはしっかりと冷たい風が出ます。水の気化熱を利用する冷風扇とは異なり、冷媒とコンプレッサーで空気から熱を取り除くため、風の冷たさは明確です。約20.5kgという重さは、単なる扇風機ではなく、冷房機器そのものを運んでいるからだと理解できます。

工事不要だが、設置不要ではない
ポータブルクーラーの性能を引き出すうえで重要なのが、排気です。本体前面から冷風を出す一方、室内から取り除いた熱は背面から排出されます。この熱を部屋の中へ出してしまえば、前で冷やしながら後ろで暖めることになります。そこで、付属の排気ダクトを窓へつなぎ、熱を屋外へ逃がします。
本機には、排気ダクト、排気ノズル、ダクトエンド、窓用ダクトパネル、雨よけパーツ、虫よけパーツなどが付属。窓用ダクトパネルは複数枚を組み合わせる方式で、約91〜226cmの高さに対応します。
今回のような高さのある窓にも設置できました。固定にはT型ねじや蝶型ナットを使います。専門業者や大がかりな工具は不要ですが、窓の高さにパネルを合わせ、ダクトを本体と窓へ接続する作業は必要です。

つまり、「工事不要」と「置くだけ」は同じではありません。
窓枠とのすき間があれば外気が入り、冷房効率が下がります。必要に応じて窓枠シールなどでふさぐべきでしょう。また、窓の鍵を通常どおり使えなくなる場合もあるため、補助錠の併用も検討したいところです。
それでも、建物に不可逆的な加工を加えず、これだけの冷風を得られるなら、納得いく工程だと感じました。

30℃の2階に“涼しい居場所”が生まれた
設置では、本体を窓のすぐ横へ置き、排気ダクトをできるだけ短く接続しました。ダクトが長く、鋭く曲がるほど排気効率が落ち、表面から室内へ熱が戻りやすくなります。その意味で、今回の配置は理想的です。

冷風モードの設定温度は16〜32℃。今回は20℃で運転を開始し、十分に冷えた後は22℃、26℃へ調整しました。
電源を入れると、前面のルーバーから冷たい風が吹き出します。暑い2階へ上がった直後でも、本体の近くではすぐに涼しさを感じられました。ただし、壁掛けエアコンのように空間全体を均一に冷やす製品ではありません。特に今回のように階下とつながる部屋では、冷気は逃げやすくなります。
そこで見方を変える必要があります。部屋全体を冷やすのではなく、ベッドやデスクなど、人が長く過ごす場所に“涼しい居場所”をつくる。その使い方なら、本機の価値は明確です。
在宅勤務中の仕事部屋、夜だけ使う寝室、趣味の作業場、夏場だけ暑くなるロフト。すべての部屋に壁掛けエアコンを付けるのではなく、必要な場所へ冷房機器を持ち込む。これは、これからの住まい方にも合った考え方です。

温度だけでなく、湿気も取り除く
日本の夏の不快感は、温度だけでなく湿度によっても生まれます。本機の除湿能力は、東京の50Hz環境で1日24L。実際の排水量は条件によって変わりますが、運転すると室内の水分がドレン水として取り除かれます。
高湿度の環境で長時間使う場合は、背面へ付属のドレンホースをつなぎ、容器などへ連続排水できます。今回は本体の下に容器を置き、ホースから水を受けるようにしました。

排気ダクトに加えて排水ホースや容器まで必要になるため、決してスマートな見た目ではありません。しかし、容器にたまる水を見れば、部屋から湿気を取り除いていることが分かります。

室温が劇的に下がらなくても、湿度が落ちれば汗が蒸発しやすくなり、体感は軽くなる。ポータブルクーラーは、温度計の数字だけでは捉えられない快適さを生み出します。
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