VAGUE(ヴァーグ)

3万円台で真夏の寝室が“天国”に!? ニトリのポータブルクーラーは歴史的価値のある住宅にも似合うのか【家電で読み解く新時代|Case.49】

寝室で使うなら、音との折り合いが必要

 操作パネルは日本語表記で、冷風、除湿、送風、風量、タイマー、おやすみ、ロックを直接選べます。

 リモコンには、設定温度16℃・風量強で運転する「急冷モード」も搭載。暑い寝室へ入った直後に一気に冷やし、その後は通常運転へ戻す使い方に向いています。

付属リモコンでは、冷風、除湿、送風、風量、温度、タイマー、おやすみ設定に加え、設定温度16℃・風量強で運転する「急冷モード」も選択できる。ベッドから起き上がらずに操作できるのも寝室では便利だ
付属リモコンでは、冷風、除湿、送風、風量、温度、タイマー、おやすみ設定に加え、設定温度16℃・風量強で運転する「急冷モード」も選択できる。ベッドから起き上がらずに操作できるのも寝室では便利だ

「おやすみ設定」では、風量が弱になり、LED表示も暗くなります。さらに1時間後に設定温度を1℃、2時間後にもう1℃上げ、12時間後に自動停止。寝入りばなの暑さを和らげながら、夜中の冷やしすぎを抑える制御です。

「おやすみ設定」を選択し、22℃で運転している様子。風量を弱め、表示部を暗くするだけでなく、1時間後と2時間後に設定温度を1℃ずつ上げ、12時間後には自動停止する
「おやすみ設定」を選択し、22℃で運転している様子。風量を弱め、表示部を暗くするだけでなく、1時間後と2時間後に設定温度を1℃ずつ上げ、12時間後には自動停止する

 一方、運転音は無視できません。本体内部にはコンプレッサーがあり、壁掛けエアコンなら屋外にある室外機の機構が、室内で動きます。送風音に加えて、コンプレッサーの始動音や振動も聞こえます。

 静寂がなければ眠れない人には気になるでしょう。ただ、暑さで何度も目が覚める夜と、一定の運転音がありながら涼しく眠れる夜のどちらを選ぶか。筆者は圧倒的に後者を選びます。

前面の上下・左右ルーバーは手動で風向きを調整する。ベッド脇で使う場合は、体へ冷風を直接当て続けるのではなく、やや上向きにして空間へ流すと冷えすぎを抑えやすい
前面の上下・左右ルーバーは手動で風向きを調整する。ベッド脇で使う場合は、体へ冷風を直接当て続けるのではなく、やや上向きにして空間へ流すと冷えすぎを抑えやすい

文化的価値のある住宅にも似合うのか

 今回、性能と同じくらい確かめたかったのが、インテリアとの相性です。

 使用したライトグレーのモデルは、前面がファブリックのように見える落ち着いた仕上げで、一般的な白い冷房機器より家電らしい圧迫感が抑えられています。

 グレーの寝具、木製ベッド、ブラウンのブラインドを組み合わせた寝室にも、本体そのものは意外なほど自然になじみました。

 もちろん、太い白い排気ダクトまで含めて美しいとは言いません。しかし、壁に配管穴を開け、室内機を固定し、外観に室外機を加えることと比べれば、圧倒的に可逆性が高い。夏が終われば取り外し、建築を元の姿へ戻せます。

 文化的価値のある建物を守るとは、昔の不便さまで保存することではありません。建築の魅力を損なわず、現代を生きる人が快適に使い続けられる方法を探すことです。その意味で、ポータブルクーラーは古い建築と現代生活の間に立つ、ひとつの翻訳装置といえます。

吹き抜けによって白い壁面が大きく広がり、植物のスワッグが印象的に飾られた吹き抜けの空間。空間の静けさや余白を損なうノイズになるため、壁掛けエアコンはあえて設置せず、必要な季節だけ使えるポータブルクーラーを選んだ
吹き抜けによって白い壁面が大きく広がり、植物のスワッグが印象的に飾られた吹き抜けの空間。空間の静けさや余白を損なうノイズになるため、壁掛けエアコンはあえて設置せず、必要な季節だけ使えるポータブルクーラーを選んだ

3万円台で買えるのは、冷風ではなく「選択肢」

 起業家の視点で見ると、この製品の面白さは、大きな設備投資を小さな意思決定へ変えることにあります。

 壁掛けエアコンを新設するなら、本体代だけでなく、設置工事、配管、専用回路、室外機の場所、原状回復まで考えなければなりません。その結果、「そこまで手間をかけるなら、今年も我慢しよう」となる人もいるでしょう。

 ニトリのポータブルクーラーは、3万円台で、その判断を小さくします。完璧な冷房設備を整えるのではなく、今年の夏、この部屋で涼しく過ごせる状態をつくる。すべての性能で満点を取る製品ではなく、切実な課題を現実的に解決する製品です。

 約20.5kgの重さがあり、窓用ダクトパネルの組み立ても必要。ダクトは目立ち、運転音もある。部屋全体を均一に冷やすことも得意ではありません。それでも、「エアコンを付けられないから暑さを我慢する」という問題には、しっかり応えてくれます。

本体下部に設けられた排水ドレン栓。移動や長期保管の前には、栓を外して内部に残った水を排出する。連続排水用のホースとは別に、使用後の水抜きが必要になる点は覚えておきたい
本体下部に設けられた排水ドレン栓。移動や長期保管の前には、栓を外して内部に残った水を排出する。連続排水用のホースとは別に、使用後の水抜きが必要になる点は覚えておきたい

 真夏の午後、暑さのこもった2階の寝室でスイッチを押す。やがてベッドの周囲に冷たい風が流れ、肌にまとわりついていた湿気が薄れていく。壁を壊さず、建築の魅力を残したまま、今日から涼しく眠れる。

 それを“天国”と呼ぶのは、少し大げさかもしれません。しかし、これまで暑さを我慢してきた部屋で、その冷風を初めて受けたなら、きっと同じ言葉が口から出るはずです。

 ニトリのポータブルクーラーは、壁掛けエアコンの代用品ではありません。エアコンを付けられない場所に、快適さという選択肢を持ち込む、真夏の現実的な救世主なのです。

製品概要
ポータブルクーラー NR-101ON
価格:3万4900円(税込)
カラー:ライトグレー/ダークグレー
本体サイズ:約 幅303×奥行286×高さ696mm
重量:約20.5kg
冷風能力:50Hz 2.3kW/60Hz 2.6kW
消費電力:50Hz 880W/60Hz 950W
定格除湿能力:50Hz 24L/日、60Hz 28L/日
適用畳数の目安:木造6~7畳、鉄筋・プレハブ9~10畳
設定温度:16~32℃
運転モード:冷風/除湿/送風/急冷
主な機能:風量2段階、1~24時間タイマー、おやすみ設定、操作ロック、キャスター
運転音:約54dB
主な付属品:リモコン、排気ダクト、排気ノズル、ダクトエンド、窓用ダクトパネル、雨よけ・虫よけパーツ、ドレンホース

Gallery 【画像】工事不要で冷風を届けるニトリの「ポータブルクーラー」を写真で見る(23枚)
「2段あたため」レンジがすごすぎるっ!? 最新レンジを徹底紹介
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

page

  • 1
  • 2

VAGUEからのオススメ

ポータブル電源が都心で過ごす夜を変える──Jackeryがかなえる“オフグリッド”なスポーツ観戦【PR】

ポータブル電源が都心で過ごす夜を変える──Jackeryがかなえる“オフグリッド”なスポーツ観戦【PR】

RECOMMEND