防災用なのに“しまわない”!? DJIの小型ポータブル電源を「延長コード」のように使って見えた新しい価値
ポータブル電源のはずが、いつしか「棚の中の電源」になった
DJI Power 1000 Miniを実際に使い始めて、最初に印象が変わったのは置き場所だった。ポータブル電源というと、どうしてもキャンプ用品、防災用品、あるいは物置にしまっておく備蓄品のような姿を想像してしまう。しかし本機を白い棚の中に収めてみると、その見え方はかなり違った。
本体サイズは約314×212×216mm。1008Whクラスのポータブル電源としては、かなり四角くまとまりがよく、棚の下段やデスク脇にも置きやすい。
正面にディスプレイ、AC出力、USB端子、LEDライトが集約されているため、棚に入れたままでも操作しにくさはない。黒い筐体なので存在感はあるが、いかにも“非常用の機械”を置いているような圧迫感は少ない。

実際、設置して数日もすると、筆者はこれをポータブル電源として意識しなくなった。ノートPCのACアダプターを挿したままにし、スマートフォンやイヤホン、撮影機材を充電したいときにはUSBケーブルを挿す。充電が終われば抜く。それだけである。使い方としては、一般的な電源タップや延長コードとほとんど変わらない。
しかし、通常の電源タップとは決定的に違う。内部には1008Whの電気が蓄えられており、家庭の電力供給が止まっても、つないでいる機器へ給電できる。普段は電源タップ、非常時はバックアップ電源。この二つの役割がひとつの筐体に入っていることが、本機を“しまわない防災用品”にしている。

ノートPCをつなぐと、見えなかった電気が数字になる
日常使いでとくに面白かったのは、電気の流れが数字として見えることだ。ノートPCをつないで作業していると、本体のディスプレイには100%のバッテリー残量とともに、出力66W前後の表示が出ていた。普段なら、PCがどれくらいの電力を使っているかなど意識しない。コンセントに挿せば動く。それだけである。
ところがDJI Power 1000 Miniを介すと、その当たり前の行為が少し違って見える。PCをつなぐ。表示が変わる。スマートフォンを追加する。出力が少し増える。
サーキュレーターのような小型家電を使うと13〜15W前後で動く。ドライヤーを使うと、表示は一気に1000Wまで跳ね上がる。電気は目に見えないが、数字になった瞬間、生活の中でどう消費されているのかが実感できる。

省エネ性能や消費電力という言葉は、カタログ上では当たり前に使われる。しかし生活者の多くは、家電が実際にどれほどの電力を使っているのかをリアルタイムでは知らない。ポータブル電源を電源ハブとして使うと、家電の消費電力が生活の手触りに戻ってくる。
家電をオンにするという行為が、単なるスイッチ操作ではなく、限られた電気をどう配分するかという感覚へ変わる。これは、防災時だけでなく、エネルギー価格や電力需給を意識せざるを得ない時代の暮らしにおいて、意外に大きな意味を持つ。

アプリを入れると、安心感はさらに増す
DJI Homeアプリと接続すると、本体の状態はさらに細かく把握できる。今回の実機では、アプリ画面上で総出力38W、48W、61W、69Wといった変化を確認できた。USB出力の内訳も見え、USB-C1が26W、USB-C2が28Wといった具合に、どの端子がどの程度使っているのかまで表示される。

また、アプリ上ではバッテリー残量、残り使用時間、内部温度、AC出力のオン/オフ、USB出力、SDCなどの状態も確認できる。
設定画面では、バッテリー残量低下アラーム、AC出力自動オフ、AC安全アラート、充電モード、交流周波数、ACタイムアウトなども管理できる。単なる「電気を出す箱」ではなく、状態を見ながら運用する電源機器になっている。

一方で、Android端末ではアプリをDJIの専用ダウンロードセンターから導入する必要があり、一般的なアプリストアからそのまま入れる感覚とは少し違う。ここは、初めて使う人にとってやや戸惑うポイントだろう。
ただし接続後の使い勝手はわかりやすい。昨今、モバイルバッテリーや蓄電池まわりの事故が報じられることもあり、大容量バッテリーを室内に置くことへ漠然とした不安を持つ人は少なくない。
もちろん、アプリで数字が見えるから事故が起きないという話ではない。重要なのは、LFP、つまりリン酸鉄リチウムイオン電池の採用や、BMSによる保護設計、正しい使用環境である。

それでも、入出力や温度、残量がブラックボックスではなく確認できることは、日常的に使ううえでの心理的な安心につながる。電源タップよりも“安心して見守れる電源”という感覚がある。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】