VAGUE(ヴァーグ)

築100年の洋館で、ボロネーゼとローズティーを。横浜・元町「カフェ エリスマン」で過ごす、公園を望む午後

 初めて来た場所なのに、なぜか落ち着く雰囲気がある、レトロ建築のカフェやレストラン。建物によって個性があり、それぞれに、職人の技が光る壁の模様や飾り、昔の手延べガラスを使った窓など現代では再現できない繊細な建築美を眺めるのはもちろんですが、何度もペンキを塗り重ねられた結果、でこぼこしている窓枠や腰板、柱に残る傷や凹みなどを眺めつつ、この建物に集ったであろう古き良き時代の人々に思いを馳せるといった楽しみも。

 そんな、ノスタルジックなカフェやレストランで、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか。

元町公園の緑に囲まれたエリスマン邸
元町公園の緑に囲まれたエリスマン邸

100年前、スイス人の邸宅として建てられた洋館。移築を経て現在の場所に

 みなとみらい線「元町・中華街」駅から坂を上がって徒歩約8分、高台に建つのが「エリスマン邸」。

 エリスマン邸は、生糸貿易商社「シーベルヘグナー商会」の横浜支配人格として日本で暮らした、スイス出身、フリッツ・エリスマン氏の邸宅だったもの。1925(大正14)年〜1926(大正15)年にかけて同じ横浜の山手町127番地に建てられたのですが、1982(昭和57)年にマンション建築のため解体。1990(平成2)年に元町公園内に再現されたという歴史があり、横浜市認定歴史的建造物の一つです。

 設計は、「近代建築の父」といわれるチェコ出身の建築家アントニン・レーモンド。東京女子大学礼拝堂や、小林聖心女子学院本館、旧イタリア大使館日光別邸などでも知られる建築家です。

 エリスマン邸の創建当時は、木造2階建て、和館付きで建築面積は約81坪。屋根はスレート葺で、階上は下見板張り、階下は竪羽目張りの白亜の洋館でした。

 外観は、煙突、バルコニー、屋根窓、上げ下げ窓、鎧戸といった洋風住宅の意匠と、軒の水平線を強調した”木造モダニズム”的要素を持つデザインになっていて、設計者レーモンドの師匠である、世界的建築家フランク・ロイド・ライトの影響が見られます。

 そして邸内は1階に暖炉のある応接室、居間兼食堂、サンルームなどがあり、置いてある椅子やテーブルなどの家具は、レーモンドが設計したもの。かつて3つの寝室があった2階は、写真や図面で山手の洋館に関する資料を展示、地下ホールは貸しスペースとして利用されています。

 「直線を生かした、無駄のないデザインなのがレーモンドの特徴なんですよ」と話すのはエリスマン邸館長の小高さん。レーモンドが建てた洋館の中でも初期の建物のため、チェコ人であるレーモンドならではのキュビズムと、師匠であるライトの影響が混在する、唯一無二の建物です。

 そして、元厨房だった場所にあるのが「Café Ehrismann(カフェ エリスマン)」。2022年7月にオープンしたカフェで、気品溢れる食器と共に、コーヒーやデザートを味わえます。一面ガラス張りのテラス席からは、緑豊かな元町公園を見下ろすことができ、四季折々の風景を楽しめます。

 そんなカフェエリスマンで味わいたい、おすすめのメニューを紹介します。

ボロネーゼ 牛の赤ワイン煮添え1,800円。大きめだけれどホロホロの牛肉!
ボロネーゼ 牛の赤ワイン煮添え1,800円。大きめだけれどホロホロの牛肉!

ごろっとしたホロホロの牛肉が贅沢なおいしさ「ボロネーゼ 牛の赤ワイン煮添え」

 「ゴロリとはいった牛肉は煮込まれていて、ほろりと溶けていくほどの柔らかさで、コクのあるソースのパスタは食べ応え充分です。お好みでタバスコやチーズをかけて召し上がってください」と話すのは、カフェのリーダー。

 トマトベースのソースと存在感のある肉がたまらない、贅沢感のあるボロネーゼ。他にも、季節のパスタや野菜のキッシュといった軽食があり、コーヒーまたは紅茶とのドリンクセットは100円引きになります。

ローズティー600円。チーズケーキ800円などと一緒に味わうのもおすすめ
ローズティー600円。チーズケーキ800円などと一緒に味わうのもおすすめ

一口飲むと、鼻からふわっとバラの香りが抜けていく。洋館の雰囲気にマッチした「ローズティー」

 「世界有数の紅茶の産地、スリランカ産の茶葉にバラの花びらをブレンドした、気品あふれる、香り豊かな紅茶です。事務所では、お土産としてティーバッグを販売しています」。

 写真のティーカップやソーサーなどは香蘭社のもの。お皿は青いバラが描かれたものを用い、建物の雰囲気ととてもマッチしています。横浜市の市の花はバラ。だからこそのローズティーです。

 「ゆったり過ごすなら、午前中、オープン直後がおすすめですね。土日などはお客様が並ばれる場合があり、お待たせするかもしれません。来店された順番に席を案内しておりますが、大人数向けの席はないので、少人数で来ていただくのがおすすめです」と館長。

 季節の装飾も楽しみの一つ。2026年のハロウィーン館内装飾は10月17〜31日です。季節のメニューや催しは、来館前に公式案内を確認してください。

 建築や庭の風景に加え、季節ごとの表情も楽しめるエリスマン邸。フォトジェニックなひとときも、かなりおすすめですよ!

店舗情報

 Café Ehrismann(カフェ エリスマン)

住:神奈川県横浜市中区元町1-77-4 エリスマン邸内

TEL:080-7067-7056

営:10:00〜16:00(LO15:30。開館時間延長時は変更あり)

休:第2水曜(休日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)

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