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【業界初】ベントレーが自ら作曲!? 運転シーンに合わせた「アダプティブ・ミュージック」とは

まるで映画のワンシーンのように音楽が気分をアゲる

 ドライバーの入力や運転スタイルに応じてサウンドトラックを作曲する機能を備えた、ベントレーのデモンストレーションがおこなわれた。この車両は、リアルタイムでインストゥルメンタルミュージックのライブ演奏を生成し、あらゆる旅の感動体験を高めるものである。

 このアダプティブ・ミュージックは、業界をリードするライフスコア社との提携により実現した。

 刻々と変化する運転状況やドライバーのスタイルに合わせて、音楽を提供するアダプティブ・ミュージックとは、どのようなものなのだろうか。

  • ベントレーが自動車業界では初めて採用したアダプティブ・ミュージック

●アダプティブ・ミュージックとは

 ベントレーが自動車業界では初めて採用したアダプティブ・ミュージック。この革新的なアプローチは、人間が作曲した音楽と演奏された音楽を組み合わせ、それをクルマが必要に応じてアルゴリズムで再現するというものだ。ベントレーのクラス最高のキャビン、サウンド環境を介して提供されるからこそ、その価値はさらに高まる。

 まず、作曲家やミュージシャンが音楽素材のビルディングブロック(セル)を作り、それを車両が選択、組み合わせ、重ね、配列して、最終的な音楽をリアルタイムに生成する。その結果、反復的で合成的なサウンドになることなく、長時間聴いてもユニークな、無限に変化する表現が可能になるという。

 膨大なオーディオデータと音源を含むサウンドバンクライブラリーからは、60分のドライブで銀河系の星の数よりも多い1000億以上のユニークな音楽トラックを作曲することが可能とのことなので、常に新鮮なサウンドが流れることになるだろう。

 たとえばベントレーの4つのドライビングモードのうち、「コクーン・モード」を選択して音楽を再生すると、街中でのワインディングでは音楽がゆっくりと展開し、巡航速度に達すると、音楽が持続して深く落ち着けるようになる。

 一方、「エンハンスド・ドライビング・モード」では、トランスミッションの変速や加速度、トルクなどを感知して音楽が反応し、よりエキサイティングなものとなり、ドライビングスタイルとサウンドが一体となったハイテンションなオーディオ体験を提供するといった具合だ。

 このように人工知能を用いたソフトウェアは、ドライバーのために音楽を作る際の反応を最適化し、さらにアルゴリズムは、一貫性を最大化するとともにセルの繰り返しを最小化、その他のAI技術によりテーマとバリエーションをもって作曲されるように設計されている。

 したがって、人間が作曲した1時間分のセルが、実質的に無制限の時間の音楽を生み出すことになるというわけだ。

●どのようにして作られた?

 サウンドバンクライブラリーの素材は、世界的に有名なアビーロードスタジオで、世界的なミュージシャン、現代楽器、クラシック楽器、そして最先端の技術を駆使してレコーディングされた。

 すべてのオーディオ要素は、将来起こりうるあらゆるフォーマットにも対応できるように、50本以上のマイクを使用したフルアンビソニック(フルスフィアサラウンドサウンド)オーディオで収録。

 つまり未来のベントレーのキャビンでは、音が可能な限りいい音質でどの方向からでも出るように設計することができるのである。

 ライフスコア社は、こうした職人技と最新の技術を駆使して最高の品質を提供するベントレーとの提携により、ビジネスクラウドの2021年メディアテックイノベーター賞を受賞した。

* * *

 ベントレーではアダプティブ・ミュージックは、ドライバーをより没入感あるドライビングエクスペリエンスを提供するためのイノベーションの第一歩と捉えている。

 アメリカの広大な土地を真っ直ぐに進むフリーウェイ、北イタリアの山岳地帯のワインディングロード、英国の丘陵地帯のカントリーロード……、様々なシーンでどのような音楽がドライブを盛り上げてくれるのか興味津々だが、サーキット走行の際にどんな音楽で気分を高めてくれるのか、一度試してみたいものだ。

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