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バブル時代の「世界一ゴージャスなクーペ」はどうして生まれた? ベントレー「コンチネンタルR」が誕生30周年を迎える

ベントレー・ブランドの復権を決定的なものとした功労者

 ベントレー「コンチネンタルR」に搭載されたパワーユニットは、V8OHV・6747ccの「L410」系エンジンに、米ギャレット・エアリサーチ社製TO4B型ターボチャージャーを装着する。つまりは、同時代のターボR/RLと共通のものである。

  • ピニンファリーナとの協業でオープン化した「アズール」

 出力は当時のR-R/ベントレーの伝統に従って未公表。「必要にして充分」ながら、インタークーラーの追加によってターボRから大幅なパワーアップを果たし、389psに達していたという。このパワーは、2.4トンにも達する超ヘビー級ボディにも充分以上のもの、高性能は折り紙つきだった。

 トランスミッションは、このコンチネンタルRで初採用された北米ゼネラルモータース社製「ターボハイドラマティック」GM700型4速ATが組み合わされ、セレクターもスポーツモデルに相応しく、ベントレーのオートマティック車としては史上初めてフロアに置かれることになった。

●予想を大きく上回るヒット作

 その一方で、英国コノリー社が製作していた時代の最上級レザーハイド「オートラックス」で包み込まれたインテリアは、左右対称の「ミラーマッチング」とされたウッドキャッピングも、量産ベントレーとしては初めてエルム(楡)材が選択可能となった。

 また、縁(ふち)にレザーのパイピングが施されたウィルトンのウールカーペットや、ダッシュパネルに設けられたイグニッションスイッチなども、すべて第二次世界戦前以来のベントレーの伝統にしたがったものとされるなど、1990年代における革新と伝統がみごとに融合した1台となったのだ。

 こうして誕生したコンチネンタルRは、ベースとなったターボRを遥かに上回るプライス(日本では3950万円)が設定されたものの、その素晴らしい魅力は当時のロールス・ロイス社首脳陣の予想を上回るヒットをもたらし、2002年ごろまでに1533台が生産されることになる。

 また、ピニンファリーナとのコラボで開発したドロップヘッド・クーペ(コンバーチブル)版「アズール」や、ホイールベースを短縮し、V8ターボを大幅に増強したハードコア版「コンチネンタルT」など、派出モデルも数多く製作されている。

 そしてロールス・ロイスと袂を分けた21世紀の現在にまで至る、ベントレー独自のスポーティで骨太なキャラクターを、今いちど世界に印象づける功労者ともなったのだ。

* * *

 蛇足ながら、ベントレー・コンチネンタルRのジャパンプレミアとなった1991年東京モーターショーに、当時のベントレー日本総代理店「コーンズ&カンパニー・リミテッド」のスタッフとして関与し、真っ赤にペイントされたプロトタイプに触れたこと、あるいはR-R/ベントレーを蒐集する私設博物館「ワクイミュージアム」の創立メンバーとして、長らくキュレーションを担当してきた筆者には、このクルマにひとかたならぬ思い入れがある。

 しかしこの典雅なクーペへの想いを募らせる要因は、決して個人的な感傷だけではない。圧倒的に美しいスタイリング、そして過剰なまでに贅沢なドライブフィールこそが、コンチネンタルRの真骨頂と思うのだ。

 自動車にとって1990年代とは、ある意味「ヴィンテージ」イヤーともいうべき傑作ぞろいの年代であると確信している。その豊饒な1990年代にあって世界最上級のクーペだったコンチネンタルRは、間違いなくほかのクーペよりも抜きんでた、究極にして至上の存在だったのである。

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