プジョー新型「308」は「“二度見”するほどの美しさ」永遠の宿敵VW「ゴルフ」との勝負にも注目
新型308の真骨頂は“立体的な造形美”
クルマにとってデザインは重要な要素だ。クルマ好きはもちろんのこと、そうでない人でも、愛車選びの際に“見た目”を気にしない人など少数派だろう。その点、先ごろ上陸したプジョー新型「308」のスタイリングは、思わず二度見してしまうほど美しい。その真骨頂は“立体的な造形美”にある。

全体的なプロポーションは奇をてらったものではなく、オーソドックスなCセグメントハッチバックの王道をゆくもの。それはある意味、見る人を安心させる要素といってもいいだろう。
しかし、フロントやサイド、そしてリアの造形は、それぞれに個性があって表情豊か。それでいて主張しすぎない絶妙なバランス感覚がお見事だ。
フロントは、バンパーを大きくえぐるようにして下へと伸びたフロントグリルと、ヘッドライトから下方へと走る、ライオンが爪でひっかいたような細いアクセサリーランプが個性的。こういった演出はやりすぎると好き嫌いがわかれるものだが、新しい308は見た人が拒否反応を起こさないギリギリのところでバランスさせている。
一方、ボディサイドとリア回りのハイライトは、凹凸によって生じる陰影だろう。前後フェンダーはパネルの“張り出し”と“くびれ”で豊かな表情を生み出し、リアにまわるとテールランプ下部にある車体との境目をフラットにせず、あえて段差を設けて印象的なスタイルを構築している。さらにリアゲートの下部も、真横から見ると、えぐられたような形状になっている。
こうした段差やくびれによるデザイン上の演出は、さじ加減を間違えると逆に不細工に見えてしまうが、新型の立体処理は個性を高めるプラス要素となっている。
新しい308のルックスは美しくて色っぽいが、そこには理屈抜きで人々を納得させるだけのデザイン力が息づいている。
●最大のライバルであるVW「ゴルフ」との違い
そんな308のライバルは、CセグメントハッチバックのキングともいうべきVW(フォルクスワーゲン)「ゴルフ」だ。果たして新しい308は、永遠のライバルを凌駕しているのか? ここからはそんな視点を交えながら新型308の美点をチェックしてみたい。
まずはエクステリアデザインだ。
ゴルフのエクステリアはスッキリとしたラインでまとめられており、誰がみても嫌悪感を抱かないもの。見方を変えれば、万人受けする無難なルックスといえなくもないが、それもまた多くの台数を売るクルマとしては大切な要素なのだろう。
対照的に、新しい308にはあえて個性を強調するためのデザイン要素がそこかしこに散りばめられている。その結果、好き嫌いはわかれるものの、それらがクルマの醸し出す色気につながっている。個人的には、そんなルックスに魅せられて新型308を選びたくなる。
つづいてチェックするのは、インテリアの仕立てと実用性。
リアシートの居住性は、広さも居心地も両車互角。ラゲッジスペースに関しては、ゴルフの380リッターに対して新型308は412リッターと、数値的には308が勝るものの、実車をチェックしての印象は、決定的な差があるというほどではない。

両モデルで大きく異なるのは、コックピットのインターフェイスだ。現行ゴルフは物理スイッチを徹底的に排し、操作スイッチの大半をタッチパネル化/タッチスイッチ化している。
一方、新しい308もスイッチ類の大半をタッチパネル化した先進的な設計ではあるものの、エントリーグレードの「アリュール」ではエアコンの操作パネルを残すなど、ゴルフほどの割り切りはない。それらのよし悪しは好みの問題となるが、現行ゴルフのそれは「先進的すぎる」と拒否反応を示す人も少なくないだろう。
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