早くも受注停止に! 爆発的人気の日産新型「フェアレディZ」は日本が世界に誇るスポーツカー文化の象徴
国産スポーツカーの歴史こそ新興ブランドにはないアドバンテージ
ここであらためて、現在の日本のスポーツカーラインナップを眺めてみる。マツダのロードスターにはじまり、トヨタの「GR86」、「GRスープラ」、「GRヤリス」、スバルの「BRZ」、レクサスの「LC」、「IS500」、「RC F」、ホンダの「シビックタイプR」、ダイハツの「コペン」、そして復活したフェアレディZ。一部の富裕層をねらった高価なモデルだけでなく、手の届く価格帯のスポーツカーを数多くそろえているのも特筆ポイントだ。

そう、いまの日本は、絶滅危惧種であるスポーツカーの保存にもっとも積極的に取り組んでいる国なのだ。経済的で信頼性の高い商品、いい換えれば文明の産物としてのクルマづくりで世界をリードしてきた日本だが、いまや文化面でも世界を牽引しているといっていいだろう。
折りしも今年、2022年には、韓国のヒョンデ、中国のBYDが日本に上陸してきた。僕は、中韓の自動車メーカーが日本市場で成功するのはかなり難しいと考えている。が、海外マーケットでは今後、日本メーカーの強力なライバルになっていくのは間違いない。実際、ヒョンデの世界販売台数はすでにホンダを超えている。そんな強力な新興メーカーを相手に日本メーカーはどう戦っていくべきか。彼らが得意とするEV(電気自動車)領域で負けない商品を投入することも大切だし、日本の強みである信頼性や耐久性にさらに磨きをかけることも重要だ。
しかし、日本の強みはほかにもある。過去70年間にわたってクルマ文化の担い手であるスポーツカーをつくりつづけてきた歴史だ。こればかりは新興メーカーには絶対にマネのできないアドバンテージである。「クルマを絶対にコモディティ商品にしないぞ」というつくり手の熱い想い、それを具現化する技術、センス、歴史、伝統……。スペックだけでは語れない魅力的なスポーツカーづくりに必要な有形無形のノウハウは一朝一夕で手に入るものではない。たとえスポーツカーが電動化する時代がやってきてもそれは同じで、魅力的なスポーツカーの存在はそのメーカーのブランドイメージを高め、結果として新興メーカーとの価格競争に巻き込まれることを防ぐ防波堤になるだろう。
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「たとえ、もうからなくても自動車メーカーにはスポーツカーが必要だ」。最近増えてきた、短期的な損得でしかクルマを見ない経営者には理解できない考えだと思う。しかし、フェアレディZの父が遺したこの言葉の意味は日本の自動車産業の未来にとって極めて重要だ。そして、それを見事に具現化してみせたのが新型フェアレディZなのである。
●NISSAN FAIRLADY Z Version ST
日産 フェアレディZ バージョンST
・車両価格(消費税込):646万2500円
・全長:4380mm
・全幅:1845mm
・全高:1315mm
・ホイールベース:2550mm
・車両重量:1590kg(MT)/1620kg(AT)
・エンジン形式:V型6気筒DOHC+ターボ
・排気量:2997cc
・駆動方式:FR
・最高出力:405ps/6400rpm
・最大トルク:475Nm/1600〜5600rpm
・燃料消費率(WLTC):9.5km/L(MT)/10.2km/L(AT)
・サスペンション:(前)ダブルウイッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)255/40R19、(後)275/35R19
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