「レンジローバー」が高級SUVの王座であり続ける理由とは? 新型の存在感と完成度はライバルを圧倒する
全幅2m超えの大柄なボディでも切り返しなしでUターン
そんな新型レンジローバーでもっとも気持ちが震えたのは、駐車場から道路に出たときに、最初にフロントタイヤが段差をトンと越えた瞬間だった。段差を越えたことはわかるのに衝撃というものがない。なんともいえないやわらかな感触で包み込んでしまうかのようだった。

なにせ、新型レンジローバーが履くのは23インチのホイールにハイト薄めのタイヤである。路面とのコンタクトに硬さが混じっていてもまったく不思議はない。なのに、微速域から高速域まで終始、ソフトで快適な乗り心地を提供してくれる。ふわっとやわらかいのに、ふにゃっとしたところはなく、やわらかさのなかに腰のすわった重厚さがあって、その感触がなんともいえず心地いい。
わざと路面が荒れたところにそこそこのスピードで突入しても、不快感というものに向き合わされることがない。今回は舗装路のみでの試乗だったが、未舗装の道を走り抜けるときも同じように凹凸をいなしてくれることが十分予想できる。
これまで以上にガッチリした車体、電子制御のエアサスペンションと車体の動きを1秒間に500回以上モニタリングしてダンパーを可変させるアクティブダイナミクスの採用など、乗り心地のコンフォート性を追求する姿勢は以前から一貫しているけれど、新型ではそこがまた一段階、進化した印象だ。車内に伝わってくるノイズをモニタリングしながらスピーカーから逆位相の音を出して、それを打ち消すというアクティブノイズキャンセリングの採用など、徹底した遮音などで室内空間が驚くほどの静けさを保っていることも、常に快適でいられるひとつの大きな要因だろう。
新型レンジローバーにおけるもうひとつの驚きは、意外なくらい小回りが効くことだ。全長は5mを超え、全幅は2mオーバーという大柄な車体だというのに、路肩をうまく使えば標準的な往復1車線の道を切り返しなしでUターンできてしまうくらい、といえば想像がつくだろうか。最小回転半径5.7m弱という数値は、もっと車体の小さなトヨタ「ハリアー」とほぼ同じ。車体の四隅をつかみやすいという伝統に対して忠実に設計されてることも大きいが、車体の大きさを考えたらこの取り回しはかなり良好な部類だ。
それには、ランドローバーとしては初採用となる、微速域では後輪が逆位相に7.3度まで切れる4輪操舵システムが備わっていることが大きく貢献してるのだが、それも含めて新型レンジローバーは、とてもよく曲がる印象。よく曲がるというより、願ったとおりに曲がってくれる、というべきかもしれない。
ステアリングはオフロードでの走行を考えてクイックなしつらえにはされてないし、車重が2.6トンを優に超える重量級でもあるから、コーナーでのクルマの動きは敏捷というわけではないが、それでもタイトターンが続くような峠道を気持ちよく走り抜けることなど楽々できる。ステアリングの操作に対して車体の反応が遅れることがなく、行きたい方向へと忠実に向かってくれるようシャシも電子デバイス類も忠実に調整されているからだ。ちょっと攻めた走り方をしても腰砕けになることはなく、スポーツカー級とまではいわないまでも、ナリからすれば信じられないくらい速い。
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