「レンジローバー」が高級SUVの王座であり続ける理由とは? 新型の存在感と完成度はライバルを圧倒する
ラグジュアリーSUVクラスで頭ひとつ飛び抜けた完成度
新型「レンジローバー」を軽井沢でテストドライブしたのだが、試乗を終えた直後、思わず、はぁ……とため息が出た。このため息こそが、このクルマがどういうものなのかをストレートに表してる。
それくらい、このクルマを表現する適切な言葉が見つけられなかったのだ。あまりにも素晴らしくて。歴史的に見て、レンジローバーがずっとラグジュアリーSUVカテゴリーの最高峰であり続けてきたのは周知の事実だが、それを継承するだけじゃなく、頭ひとつ飛び抜けてる……。新型はそう感じさせるほどの完成度だった。

レンジローバーは新型で5代目となるが、ラグジュアリーカー、エステートカー、パフォーマンスカー、クロスカントリーカーという4つのクルマの役割を1台でカバーするというコンセプトは、1970年に発表された初代から変わっていない。その考え方は後に多くのフォロワーを生み出すことになったわけだが、にも関わらず50年以上も軸足がブレないまま玉座を守り続けてきたという事実を前にすると、自然と敬意がわいてくる。
もちろんそれが、安穏と構えてた結果でないことは触れるまでもないだろう。自分たちの哲学に極めて忠実に、レンジローバーという存在そのものを磨き続けてきたからにほかならない。今回のフルモデルチェンジでは、そのことがことさら強く伝わってくる。
というのも、新型レンジローバーは先代とさほど変わってないように思えるかもしれないけれど、車体の骨格、パワートレイン、サスペンション、電子デバイス……と何から何までまったく違う。ひとつひとつ並べていくだけで絵巻物ができそうなほどだ。
見る人が見れば一発でわかることだけど、エクステリアデザインもまるっきり新しい。絶妙ななだらかさで下降していくフローティングルーフのライン、きれいに水平を描くショルダーライン、少しずつ上昇していくサイドシルのラインという“レンジローバーの伝統”というべき3本のラインを基に構成したことで“らしさ”あふれるスタイリングが出来上がっている。
けれど、余計な加飾を徹底的に排除し、パネル類やガラス類、ランプ類などのつなぎ目や段差もストイックなまでになくしたミニマリズムさえ感じられる手法が、その“らしさ”を独特な美しさにまとめ上げ、まるでコンセプトカーのような非現実的な印象を持たせてる。極めてシンプルなデザインに見えるけれど、これを現実のものとするにはすさまじいばかりの技術と労力を要したはずだ。
インテリアも同じ。水平を描くダッシュボードとそれに垂直に交わるセンターコンソールという、これまたレンジローバーの伝統といえる構成を保ちながら、センターにフローティングディスプレイを配し、ウッドパネルをさらに繊細な造形に加工し、各部の素材や質感をさらに高め……と明確な進化をとげている。見せかけのラグジュアリーじゃないことが、どの座席に収まってもじんわりと伝わってくる。従来までのレンジローバーでも文句なしどころか“これ以上は望まない”とまで感じたものだったが、それをあっさりと超えて来た。贅を凝らした素晴らしく上質な空間ではあるけど、これみよがしなところはどこにもない。「本物というのは威圧感など持たせる必要はないのだな」と思わされた。
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