メルセデス・ベンツ新型「GLC」初試乗!「全方位で盤石な性能」を身に着けたベストセラーSUVの進化とは?
“わずかな層”の顧客までも積極的にねらってきた新型GLC
先ごろ本国で発表されたメルセデス・ベンツ新型「GLC」を、ひと足早くスペイン・バルセロナでドライブしてきた。日本市場への導入は2023年の上半期が予定されている。

メルセデス・ベンツといえば「Sクラス」や「Cクラス」といったセダンのイメージが強いかもしれないけれど、いまや販売台数の中核を成すのはSUVだ。なかでもGLCは、過去2年間におけるメルセデスのベストセラーモデルとなっている。初代GLCが登場したのは2015年。その後「GLCクーペ」を追加したりマイナーチェンジを繰り返したりした結果、総販売台数は実に約260万台に達したそうだ。
そんなメルセデスの屋台骨となったGLCが、このたび2代目へと生まれ変わった。新型GLCのフルモデルチェンジは、予想されていたものでもある。なぜならGLCはCクラスとプラットフォームを共有しており、そのCクラスは昨2021年にフルモデルチェンジしたので、新型GLCの登場まではそう遠くないだろうと思っていたからだ。
メルセデスのラインナップでもっとも売れるモデルということは、多様な顧客を相手にしなくてはならない。加えて、このセグメントのSUVはシティユースがほとんどで、積極的にオフロード走行をするオーナーはわずかである。普段のアシとして難なく快適に運転できるという要望に応えるには、セダンベースの方が何かと都合がいいのである。そして新型GLCは、その“わずかな層”の顧客までも取りにいく開発コンセプトを掲げ、そこそこのオフロード走破性までも備えるに至ったのである。

新型GLCのパワートレインは、ハイブリッドのみとなった。厳密には、マイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドである。ガソリンエンジンの「GLC200」と「GLC300」、ディーゼル仕様の「GLC220d」は、いずれも48V電源を利用したISG仕様のマイルドハイブリッド(EVモードなし)となる。プラグインハイブリッドは「GLC300e」、「GLC400e」、「GLC300de」の3種類で、モーターのみで走るEVモードでの航続距離は約100km強と公表されている。
ISGとはインテグレーテッド・スターター・ジェネレーターの略で、本来ならエンジンとトランスミッションの間に置かれているトルクコンバーターをモーター兼発電機に置き換えたもの。さらに、通常はエンジンの駆動力からベルトを使って作動させているエアコンのコンプレッサーや油圧ポンプといった補機類をすべて電動化し、48V電源で動かすようにした。これにより、エンジンからベルトとプーリーが消え、エンジンの全長が短くなってコンパクトになっている。
一方のプラグインハイブリッドは、このISGをベースにエンジンとモーターの間にクラッチを備え、クラッチを切ってエンジンを切り離すことによりEVモードを可能としている。組み合わされるトランスミッションはすべて9速ATの“9Gトロニック”となる。
サスペンション形式は基本的にCクラスと同じで、フロントが4リンク、リアがマルチリンクだが、SUVであることとオフロード走行も見据えた設計のため、ホイールストローク量はCクラスより増えている。そしてエアサスペンションがオプションで用意された。これにより、乗り心地の向上だけでなく車高調整も可能となる。
エクステアリアデザインは、パッと見だとフルモデルチェンジだとは思えないかもしれないが、先代からの流用部品はなく、すべて刷新されている。ボディサイズは全長がプラス60mm、全幅は変わらず、全高はマイナス4mm、ホイールベースはプラス15mmで、先代とほぼ同じ大きさというのも、ドラスティックに変わった印象が薄い理由のひとつだろう。
全長が延長された分の約半分はリアのオーバーハングの延長に使われた。これによりラゲッジスペースが先代より70リットル増えて620リットルとなった。インテリアの風景や機能や操作方法は、基本的にCクラスと同様。つまり、メルセデス最新のデジタルコクピットとなっている。
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