「コードバンの財布」はなぜ人気? フツーの革と何が違う? “革のダイヤモンド”の本当の価値とは?
“革のダイヤモンド”とも評されるコードバン
年末のギフトシーズンに財布をプレゼントしたいと考えている人や、新たな年に革小物を新調しようと計画中の人も多いのではないでしょうか。
数ある革小物の中でも、近年、高い人気を集めているのがコードバン製のアイテム。コードバンとは馬の臀部=お尻の部分の皮からとれる最高級の皮革素材です。

今では“革の王様”や“革のダイヤモンド”と評されることもあるコードバンですが、革小物の世界でその魅力が広く知られるようになったのは、ここ25年ほどの話なのだとか。人気レザーグッズブランド・キプリスを手がけるモルフォの広報担当・石岡晃二さんは、その背景を次のように振り返ります。
「モルフォが創業した1995年頃は、コードバンといってもご存じない方が多くいらっしゃいました。当時から、アメリカの老舗タンナー(製革業者)であるホーウィン社のコードバンを使ったオールデンの靴がドレスシューズの最高峰と評されていましたが、コードバンという素材自体は、あくまで靴向けの革という評価だったようです」
そんななか、モルフォ社を立ち上げた当初、代表の小澤廣幸さんはキプリスというオリジナルブランドをスタートさせるに当たり、コードバン製の革小物の取り扱いを始めます。その後、百貨店でキプリスの展開が始まると、小澤さんは百貨店のバイヤーに、生後6か月以内の仔牛の革=ベビーカーフでつくった財布とセットで、コードバンの財布を提案していたそうです。
「バイヤーの方々に『コードバンとはこういう特徴を持った素材なのです』と説明すると、皆さん『面白い!』と高く評価いただき、それとともに、キプリスが手がけるコードバン製の革小物を取り扱う店舗が増えていきました。その結果、昔は服飾好きの方などが好むマニアックなアイテムだったコードバンの革小物も、現在では一般の方が指名買いされるケースが増えています」(石岡さん)
●使い込むほどに味わいが増す“エイジング”の魅力
こうしてコードバン製革小物の伝道師となったモルフォですが、なぜ当時、革小物の素材としてはめずらしかったコードバンに目をつけたのでしょう? そこには同素材ならではの美点があると石岡さんは続けます。
「素材表記には単に“馬革”と書かれていますが、コードバンは馬の臀部、おしりの部分の皮膚組織内部にある1~2mm厚程度の“コードバン層”を指します。コードバン層は緻密で繊維がギュッと詰まっており、非常に丈夫。タンナーさんはこのコードバン層を削り出すべく、他の部位を削ぎ落としていくのですが、その分、取れる量に限りがあることから希少性が高いんです。
そうしたストーリー性に加えて、表面のツヤが美しい上に使い込むほどに味わいが増す“エイジング”を楽しめるのもコードバンの魅力です。特に革小物用のコードバンは、染料染めやアニリン染めと呼ばれる表面仕上げが施されていて、水分による影響を受けやすいものの、使い込むほどに手の脂やケアオイルなどが入り込み、独特の風合いが生まれてくるのです。
キプリスの革小物は、そうしたエイジングや革本来の表情を楽しんでいただきたいとの思いから、あえて経年変化しやすい仕上げの革を選ぶことが多いですね。ただし、コードバン特有のツヤは大事にしたいので、工房での製作時はキズをつけないよう細心の注意を払って仕上げています」
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時間とともに味わいが増すコードバン製の革小物は、使い込むほどにその人ならではの表情と独特のツヤをたたえるようになります。まさに大人の一生モノと呼びたい、長く愛用するのにふさわしい秀作です。
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