プレミアムブランドの底力を見た“レクサス初のEV専用車”「RZ」で味わえる格上のドライビング体験とは
一段とブラッシュアップされたステア・バイ・ワイヤシステム
そんな走りの質感をさらに高めるアイテムとなるのが、“ワンモーショングリップ”と称されるステア・バイ・ワイヤシステムだ。

これはステアリングと前輪とのやり取りがデジタル信号化されて物理的な接続を持たない操舵機構で、かつては日産が「スカイライン」&インフィニティ「G50」に実装していたが、万一のトラブル時には操舵機能を即座にカバーする物理的な接続部位が残されていた。対してRZはステアリングシャフトそのものを廃した完全分離の形式を採っている。
足かけ10年に渡る開発過程で、フェイルセーフもデジタルでカバーする点を含めた信頼性は問題のない領域に達しており、現在は主に低速域での動的質感を高めるためのチューニングを重ねているところだという。それゆえワンモーショングリップ仕様は、RZの日本発売時からやや遅れて市場投入される予定だ。
筆者は以前、レクサスのホームグラウンドともいえる愛知県のトヨタテクニカルコース下山でそのプロトタイプを体験させてもらったが、それから1年余を経た現在の仕上がりは、確かに低中速域のゲインの立ち上がりが若干マイルドになり、とっつきやすさが増したなという印象だった。

それでも、ステアリングの可動域はロックtoロックと称するのもはばかられる150度ゆえ、ポンと乗せられて肌身に馴染むという感覚ではない。特に発進から20km/hくらいの領域、つまり路地裏や駐車場などでの取り回しは、思った以上に切れ込む感覚を修正しなければならない。逆に30km/hから向こう、速度が高まるほどに操舵感覚は普通のステアリングに近づいていく。
ワンモーショングリップの美点は、操舵フィードバックからノイズ成分を取り除くことができることだ。例えば、路上から歩道へ段差を超えていく、大きな轍(わだち)に出くわすなど、日常でも遭遇する状況でステアリングが振られることがない。あるいは、舗装面の変化による“ビリザラ”系の振動も遮断することができる。
先述した低速域での取り回しも、慣れてしまえばステアリング操作が楽になり、むしろ他のクルマに乗れなくなるかもしれない。個人的には、障害や加齢で腕が上がりづらい方々に取り回しやすさをもたらすデバイスになりえるのでは、とも思う。
操縦桿=ヨークと称されるステアリング形状は、微細な入力を加える上でもとても扱いやすい。車両の操縦性や挙動とすり合わせながら、相当な吟味を重ねてこの形状に収まっていったことが伝わってくる。単純にインターフェイスの新体験のみならず、動的質感の向上という点からもRZとの相性はとても好ましい。早期の市場導入を望みたいところだ。
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