走りのいいミニバンを追求した新型ヴェルファイア

　先ごろ8年ぶりのフルモデルチェンジで新型へと生まれ変わったトヨタの4代目「アルファード」と3代目「ヴェルファイア」。新型で注目すべきは、これまで主にデザインのみの違いしかなかった2モデルが明確に差別化されたことでしょう。

　なかでも今回は、先代から見事に“キャラ変”したヴェルファイア、特にスポーティな仕立てのグレード「Zプレミア」の走りについてチェックしたいと思います。

　先ごろ発表された新型は、アルファード、ヴェルファイアともに上質さをブラッシュアップ。ボディサイズは、全長4995mm、全幅1850mm、全高1935〜1945mm、ホイールベース3000mmと、先代よりも全長が45〜60mm長くなり、全高は最大5mmダウンしています。

　エクステリアデザインは、2モデルともフロントフェンダーの上部を起点とし、エッジの効いたキャラクターラインがリアへと走るボディサイドのショルダーラインが目を惹きます。ボンネット先端を前方へと伸ばした逆スラント状のフロントマスクは、従来モデルまでとはひと味違う新鮮な表情を形成しています。

　新型アルファードと新型ヴェルファイアは、“Forceful×IMPACT LUXURY”をキーワードに掲げています。新型アルファードは堂々たるスタイリングを継承する一方、新型ヴェルファイアは先代までの力強いスタイリングをアップデートし、アグレッシブでスポーティな雰囲気に仕上げています。

　インテリアは、コックピットのセンターに最大14インチの大型ディスプレイを配置。インパネなどにはレザーなどのソフトなトリムが大胆にあしらわれ、上質な空間に仕上がっています。また、各シートともに十分なスペースを確保。どの位置のシートに座っても快適に移動できる空間となっています。

　ちなみに2モデルとも、ショーファー仕様の「エグゼクティブラウンジ」を設定。左右独立した豪華なキャプテンシートとなる2列目席は、オットマンやアームレストにもヒーターが内蔵されるなど、VIPに対するおもてなしもハイレベルです。

●新型アルファードにはない専用の心臓部と足回り

　そんな新型“アルヴェル”の一番の特徴は、先代でセールスが低迷していたヴェルファイアが名誉挽回とばかりに“走りのいいミニバン”というキャラを前面に押し出したこと。その結果、2モデルの方向性がより明確になりました。

　新型ヴェルファイアは、アルファードでは一部グレードにオプション設定となる19インチのタイヤ＆ホイールを標準装備。なかでもヴェルファイアのみに設定されるスポーティ仕立てのグレード「Zプレミア」は、走りのいいミニバンという個性をしっかり追求しています。

　新型ヴェルファイアのZプレミアに搭載されるエンジンは、アルファードには設定のない2.4リッターのガソリンターボ。最高出力279ps／6000rpm、最大トルク430Nm／1700〜3600rpmとスポーツカー顔負けのスペックを誇ります。そこに出来のいい8速ATを組み合わせることで、アクセル操作に対して気持ちよく加速するレスポンスのよさを実現しています。

　さらに新型ヴェルファイアは、“運転する喜び”の提供を目指し、ボディやサスペンションも専用チューニング。ラジエターサポートとサイドメンバーをつなぐ“フロントパフォーマンスプレース”でボディ自体を強化したり、専用設定のスプリング＆ショックアブソーバーを採用したりすることで、高い操舵応答性と接地感を実現したといいます。