日産 新型「フェアレディZ NISMO」の開発を指揮した“3人の匠の情熱”とは? どんなクルマを目指した? 新次元に到達した最強Zのこだわり
いかに美しく官能的なデザインを生み出せるかにチャレンジ
続いて、新型フェアレディZ NISMOを“形作った”グローバルデザイン本部 アドバンスドデザイン部 主管の森田充儀さんは、フェアレディZ NISMOのデザインについて「開発チームと連携して空力的要件を満たしながら、いかに美しく、官能的なデザインを生み出すかのチャレンジでした」とコメント。
その上でデザインのねらいを、次のように解説しています。

「NISMOはフェアレディZに対してフロントとサイド、リアデザインを大きく変更しました。ノーズ先端は前方に延長しながら40mm低くし、バンパーのメインの面を逆スラントさせ、風を上に逃さずに効率的にラジエターに取り込むようにしました。
同時にサイドへの風の流れをつくって、カナードの効果を最大化する工夫をしました。カナードでつくられた縦渦はホイールハウス内から空気を抜き出してダウンフォースを増やすとともにブレーキの冷却性能も高めています。
サイドでは、リアフェンダーとシルのデザインでフロントエンジン、リアドライブという駆動方式を象徴的に表現しました。パワーがリアタイヤに伝達され大地を蹴るイメージですね。
一方リアのデザインは、風を巻き込まないように後方に流して、よりダウンフォースを生み出すデザインです。
フェアレディZらしい美しい表情作りをつねに意識しながら、空力性能向上のためにリアバンパーをサイドに張り出させ、それがセパレーションエッジになって気流を綺麗に剥離させてCd値を低減しています。
また、リアスポイラーも専用デザインで、バックドア上部のより高い部分の風の流れを捉えてダウンフォースを生み出しています。
このクルマのデザインは、開発チームと緊密に連携して空力的な要件を満たしながら、いかに美しく、官能的なデザインを生み出すかのチャレンジだったと思います」(森田さん)
●純粋にドライビングが愉しめるスポーツカーに仕上げた
最後にコメントを寄せているのは、新型フェアレディZ NISMOを“築き上げた”製品開発本部 製品開発部 車両開発主管の川口隆志さん。川口さんは「GT-Rで培ってきたさまざまなテクノロジーがフェアレディZ NISMOにも織り込まれています」と解説しています。
「多くの開発メンバーはGT-RとフェアレディZの両方を担当しています。このためGT-Rで培ってきたさまざまなテクノロジーがフェアレディZ NISMOにも織り込まれています。
速く走るためには動力性能を上げ、ブレーキ性能も上げなければならない。速く旋回するためには、車体をしっかり押さえつけてコーナリングのパフォーマンスを上げなければならない。当たり前のことですが、やれることはすべてやりました。
フェアレディZ NISMOはターボのブーストを上げ、エンジンの回転数も上げていますが、そこにGT-Rでも採用している気筒別点火時期制御を入れ、各気筒に最適なタイミングで点火する制御で出力を上げています。
さらに、トラクションモードも採用しました。トラクションモードでは、ブレーキを前後左右で制御することができます。早めにアクセルを踏んでテールが出そうになるときに、リア外側タイヤを制動することで車両の向きをコントロールできるのです。
それから、ドライビングポジションにもこだわりました。より速いコーナリングのために、肩甲骨周辺をしっかりサポートできるようなシート構造を採用しています。
フェアレディZ NISMOは、純粋にドライビングが愉しめるスポーツカーに仕上がっています。ぜひその走りを体感して欲しいですね」(川口さん)
* * *
世界中で高い評価を獲得するスポーツカーは、熱い情熱とこだわりを持った作り手の姿とともにあります。
コンセプター、デザイナー、車両開発エンジニアという3人の匠たちが連携し、ひとつのチームとして作り上げた新型フェアレディZ NISMOも、きっと世界中の多くの人々を魅了することでしょう。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】