VWの“W型10気筒エンジン”を搭載したBMW「M5」って何だ? VWグループのテストカー!? ワケあり車両が生き残った理由とは
VWはBMW「M5」を使ってW10エンジンをテストしていた!
VW(フォルクスワーゲン)グループが誇るW型エンジンを搭載したE39型のBMW「M5」をヨーロッパで見つけました。もちろん、VWグループからBMW側にW型エンジンが供給された事実はありません。このワケあり車両、一体どんな経歴を持つモデルなのでしょうか?

VWグループのW型エンジンは、V型エンジンを組み合わせることで“ダブルV型”(VV)に見えることから、W型と呼ばれるようになりました。最大のメリットは、エンジン長を抑えられること。簡単にいえば、エンジンの省スペース化と多気筒化、ハイパワー化が一度に解決できるわけです。
W型エンジンといえば、VW「パサート」に搭載された4リッターのW8エンジン、フォルクスワーゲン「トゥアレグ」やアウディ「A8」に積まれた6リッターのW12エンジン、ベントレー「コンチネンタルGT」や「フライングスパー」に採用された6リッターのW12ツインターボエンジン、そして、ブガッティ「ヴェイロン」のためにつくられた8リッターのW16クワッドターボエンジン辺りが記憶に新しいところです。
W8は“VR4”と呼ばれるV型4気筒エンジンを、W12は“VR6”と呼ばれるV型6気筒エンジンを、そしてW16はV8エンジンを、それぞれふたつずつ組み合わせたものです。すでにラインナップしているエンジンの“派生”ユニットという解釈もできます。
4気筒、6気筒、8気筒、12気筒、16気筒と出てきましたが、「そういえば10気筒エンジンはないの?」と思った方、鋭いです。VWには“VR5”と呼ばれるV型5気筒エンジンがラインナップされていたので、W10エンジンを生み出すことは、そう難しくはなかったはずです。
事実、ネットに転載されているVWのメカニック向け研修資料には、W10エンジンの可能性についてもしっかり言及されています。ただ現実には、VWグループの市販車でW10エンジンを搭載した車種は1モデルも存在していないのです。
●W10エンジンをMTと組み合わせたかった!?
ここにご紹介するBMWのE39型M5には、そんな幻のVW製W10エンジンが搭載されています。
ただし、VWがBMWへエンジンを供給した事実はありません。実はこのワケありモデル、VWのテスト車両としてW10エンジンを開発していた証なのです。
W10エンジンを開発する際、このユニットの性能に見合うシャシーがVWには存在していませんでした。また開発陣は、W10エンジンをMTと組み合わせたかったことから、E39型M5に白羽の矢が立ったようです。
開発を担当したのは、ザビーネ・ヴィレケ博士であると、このワケあり車両を販売しているベルギーとドイツのGTレーシングチーム・GDMモータースのホームページには謳われています。
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