新型「トライトン」登場でパジェロ復活のウワサも現実味!? いまも続く“4WDの三菱”という称号にある長い歴史とは
2009年にモータースポーツから撤退後も進化する三菱の4WD技術
世界的なラリーで輝かしい実績を持つ三菱ですが、なぜラリー参戦にこだわってきたのでしょうか。

三菱で長年、4WD開発に携わる澤瀬 薫さんは、「三菱自動車がラリーに挑むのは、クルマの性能を磨くことが目的です。パリダカでの活躍でパジェロの4WD性能の高さが有名になりましたが、三菱はFRのコルトで、1967年から国際ラリーに挑戦しています。その時代から様々なラリーに参戦することで、クルマの耐久性を評価する手段として活用していました。そこで発生した不具合を開発にフィードバックし、設計基準に落とし込んでいきました。だから、昔から、三菱の駆動系は丈夫だと言われてきました。だからこそ、時代の流れでラリー競技車が、走行性能が高い4WD車へと変化し出したときも、いち早く4WD研究開発に取り組むことが出来ました」と、ラリー参戦が、三菱4WDの歴史に大きく関与していることを指摘します。
ラリー参戦は、三菱自動車の市販車にどのような変化を生んだのでしょうか。
澤瀬さんは、センターデフ付き4WDシステムの普及が大きいといいます。当初のパジェロは、パートタイム式4WDと呼ばれる悪路走行など必要なシーンだけ4WDにするものでした。しかし、当時、ラリーの世界では、センターデフ式のフルタイム4WDが主力。初代パジェロのような直結式4WDでは、砂漠を疾走するようなシーンは良いのですが、曲がりくねった道のあるテクニカルセクションでは、曲がりにくいなどの悪影響がでてしまいます。
もちろん、WRCでは、タイトなターンが連続するので、コーナリング性能が重要となります。そこでセンターデフ付きのフルタイム4WDの開発が一気に進み、2代目パジェロよりセンターデフ付きの4WDシステム「スーパーセレクト4WD」が搭載されています。このスーパーセレクト4WDは進化し、第2世代となる「スーパーセレクト4WDⅡ」に。最新のトライトンにも「スーパーセレクト4WDⅡ」の進化版が搭載されています。もちろん、中身は大きく進化していますが、理想とする4WDの概念に違いはなく、その思想は今も受け継がれています。
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近代三菱の4WDシステムの特徴といえば、ランエボシリーズで積極的に採用された電子制御技術があります。
これは安全性の向上が目的であり、三菱のクルマ作りの信念のひとつである「ドライバーの意のままに走れることが、一番の安全」という考えに基づいてたものだそう。そのため、4WDのデメリットを制御で解決し、ドライバーが想う通り操れるクルマに仕上げることで、ドライバーがミスを起こさないような運転環境を実現しているのです。
もちろん、これらはランエボが育んできたこともあり、速く走るための技術と受け止められていますが、高速域での安全性の確保は、日常運転の余裕に繋がるため、相乗的に安全なクルマ作りに繋がるとしています。
ただ三菱は、2009年にモータースポーツから撤退を決断。ラリーなどのモータースポーツでのクルマの磨き上げは行われなくなりましたが、その高い4WD技術が失われることなく、アウトランダーなどの電動4WDやトライトンのようなフルタイム4WDに受け継がれ、高い評価を受けています。
ギャランVR-4やランエボのように、WRCで大暴れした三菱の姿も見てみたいものですが、ピックアップトラックながら、SUVのような高い快適性と優れた悪路走破性を備える新型トライトンの登場は、パジェロ復活の期待を膨らませるばかりです。
またアウトランダーのような電動車でも自前の4WDの魅力を発揮しているだけに、これからも安全かつ走りの愉しい4WD車を送り出してくれることでしょう。
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