人気の“高級SUV”が4代目へ進化!「BMWの今」を網羅したプレミアムSUVのパイオニア「X3」は“全方位的に進化した走り”も魅力的
エネルギッシュで新鮮味にあふれるエクステリア
デビューは2003年。まさにミディアムサイズのプレミアムSUV市場を切り拓いた存在であるBMW「X3」は、いまやこのブランドにとって最大のボリュームセラーになっているそうです。
初代以来の累計販売台数は、2023年に350万台を突破。BMWにとっても、もちろんユーザーにとっても、極めて重要な存在であるこの「X3」がフルモデルチェンジを受けて、新型に生まれ変わりました。

文字どおり、BMWのド真ん中をいくモデルだけに、そこには今のBMWのすべてが盛り込まれている……それがドイツ・ミュンヘン近郊でおこなわれた国際試乗会に参加しての偽らざる印象です。
実際のところ、飛び道具的なものが満載されているというわけではありません。ですが、すべての要素がアップデートされ、しかも次の時代の扉を開くものになっている。その高い完成度に、私(島下泰久)は改めて大いに感心させられることになったのでした。
外観デザインは、最近のBMWの中でも「X1」や「X2」などに通じるエッジが際立ったものになっています。大型のキドニーグリルは「iX」辺りにも通じるものがありますが、いずれにしてもエネルギッシュで、新鮮味にあふれるという印象です。
サイズは、全長が34mm伸ばされて4755mmに。全幅は29mm拡大で1920mmにまで達しています。同時にトレッドも拡大されており、特にリアは最大45mmもワイドになって、フォルムを迫力あるものにしています。
ディテールで目を惹くのは、まずはヘッドライト。“フォーアイズ”を表現するシグネチャーライトは見る角度によって表情を変える複雑なデザインで、強い目ヂカラ、新鮮な印象、そして肝心なBMWらしさを見事に表現していると感じます。
キドニーグリルの左右がしっかり分割され、しかも内部に縦方向だけでなく斜めのスリットが入れられたのも、個人的には注目のポイント。これだけで、まるでアートかのように見えてくるから不思議です。
しかも、この外観はスタイリッシュなだけではありません。空気抵抗を示すCd値は0.27と、優秀な数値を実現しています。これは当然、燃費向上に直結するものです。
あるいは、よりインパクトが大きいのはインテリアの方でしょうか。目の前に置かれるのはお馴染みの“BMWカーブドディスプレイ”。そして「5シリーズ」、「7シリーズ」にも使われている“BMWインタラクションバー”は、今回、ドア部分にもライトが追加されています。
走行モードによって色を変えるほか、室内温度の上げ下げの際の赤/青の点灯、そして後方から車両が接近している際の点滅による警告など、見た目の彩りだけでなく機能も併せ持っているのが、その特徴。正直、最初はまぶしいな、なんて思ったのですが、気づくといろいろとモードを変えるなどして楽しんでしまったのでした。
編み込んだニットのような独特のテクスチャーを持つダッシュボード表皮は、ポリエステルからのリサイクル材です。また、標準シートはやはり再生素材を使ったファブリック“Econeer(エコニア)”を表皮に用いています。
空間の面でも、後席スペース、荷室ともに拡大。特にリアシートのヒザ回りの余裕が増していて、乗降性を高めています。ラゲッジスペースの容量は通常時570リットル。最大では1700リットルにも達します。
●フットワークの小気味よさに気分も弾む「X3 20 xDrive」
そして当然、重要なのが走りの進化です。今回は特にシャシーの細かな変更が注目といえます。
まず目を惹くのが、前輪のキャスター角を先代に対して19%増大させたことです。リアアクスルサブフレームとトルクアームは、油圧マウントを強化。さらに、アンチロールバーのブッシュには新たな素材が使われています。
パワートレインは、まずは5種類を設定。そのうち今回ステアリングを握ることができたのは「X3 20 xDrive」と「X3 M50 xDrive」の2モデル。いずれもBMWの新しい車名ルールが採用され、ガソリンエンジン車は数字の後の「i」が廃されました。今後、「i」は電気自動車にのみ与えられるというわけですね。
「X3 20 xDrive」は2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、マイルドハイブリッドシステムを組み合わせています。合計の最高出力は208ps、最大トルクは330Nmです。

走らせてみると、18ps、200Nmという強力な電気モーターのアシストのおかげでまずは発進がなめらかで力強く、しかもその先ではエンジンが爽快に吹け上がってくれます。
フットワークの小気味よさも気分を弾ませます。土台となるボディはカッチリとした剛性感を誇り、操舵感のいいステアリングは反応も正確。まさにねらったとおりのラインを、さながらひと筆書きのようにクリアできるのです。
さらに特筆すべきは静粛性の高さです。ウインドウモール、ドアミラー形状の変更などが効いていて、速度を上げても車内に響く風切り音などは最小限に留められています。長距離ドライブの疲労軽減に、大いに役立つに違いありません。
総じてその走りは、すべてがハイレベルでバランスされた仕上がり。とても感心させられ、そして思い切り楽しんでしまいました。
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