フェラーリ新型「12チリンドリ」はサーキット走行だけでなく街乗りも快適! 最高時速340キロのフラッグシップ・スーパーカーが“究極の二面性”を手に入れた理由とは
新開発の自然吸気V12エンジンは 踏めば官能の“フェラーリ・ミュージック”を奏でる
それにしても、このような状況で鋭いハンドリングを示したのは、812スーパーファストに対して20mm短縮したホイールベースと、新たに採用した独立型4WS(4輪操舵装置)が功を奏しているように思えました。

ホイールベースを短くすればステアリング・レスポンスがよりシャープになることは、いうまでもありません。ただし、ただホイールベースを短くするだけでは、高速コーナーでの安定性が低下してしまいます。
それを補うのが4WSの役割で、高速コーナーでは前輪と同じ向きに少しだけ後輪の向きを変えることにより、後輪が生み出すグリップレベルを改善し、安定性を高めているのです。
しかも、新型12チリンドリに搭載された独立型4WSは、左右に素早く向きを変えるシーンでは外側の後輪だけを駆動することにより、両後輪の向きを制御するよりも俊敏な反応速度を実現。よりシャープなハンドリングの実現に役立ったといいます。
テストコースで新型12チリンドリを思い切り振り回せたのは、この独立型4WSの効果が大きかったように私には思えました。
さらに、テストコースを走っている途中で急な夕立に見舞われたのですが、湿った路面で前輪がアウト側に逃げ出すアンダーステアが発生しかけると、そのことを伝えるために前輪がブルブルと小刻みに振動。これがステアリングを通じて感じられるため、それ以上アンダーステアを増やさない対処をとることが簡単にできました。
反対に後輪がアウトに流れ出すオーバーステアが出始めると、リアタイヤがむずがる様子がシートから伝わってくるので、こちらも難なく対処できます。
つまり新型12チリンドリのシャシは、市街地での快適性だけでなく、サーキットでの限界走行にも十分応える強靱さも持ち合わせていたのです。
そうしたシャシとともに快適性とハイパフォーマンス性を見事に両立させていたのが、新開発の自然吸気V型12気筒エンジンでした。
このエンジンは最新のユーロ6eという排ガス規制をクリアしているだけでなく、市街地域では静かで、しかも柔軟なドライバビリティを発揮。ところが、スロットルペダルを深々と踏み込んで回転数を上げれば、エンジンが発する音とは思えない美しい音色で乗る者を魅了してしまうのです。
とりわけ、8000〜9000rpmの領域では、女性が泣き叫ぶようなフェラーリ・ミュージックを響き渡らせ、五感を激しく刺激する官能性をもたらしてくれます。
もちろん、そのパフォーマンスは抜群に高く、最高出力は実に830psを発揮。0-100㎞/h加速は2.9秒で駆け抜け、最高速度は340km/hを上回るといいます。公道を走行できるスーパースポーツカーとしては、まさに世界最高峰のレベルにあるといって間違いありません。
快適性とハイパフォーマンス性の両立。これを最新のシャシ技術と自然吸気V12エンジンによって実現した12チリンドリは、フェラーリのフラッグシップモデルに相応しい1台といえるでしょう。
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