4代目へ進化したBMW新型「X3」は何がスゴい? SUVとは思えない軽快さはお見事! “駆け抜ける歓び”はライバルより濃密です
SUVでありながらBMWらしい走り味を楽しめる新型「X3」
7年ぶりのフルモデルチェンジで4代目へと進化したBMW「X3」。デリバリーが始まったばかりの新型を、早速、公道で試すことができました。

ドイツ車の“プレミアムブランド御三家”といえば、メルセデス・ベンツにアウディ、そしてBMW。なかでもBMWの持ち味といえば、なんといっても“スポーティで楽しいドライビングフィール”でしょう。
ただ筆者(工藤貴宏)の印象でいうと、昨今、ライバルとの差は縮まってきたように感じます。メルセデス・ベンツは、ある時点からアジリティ=俊敏性をテーマに掲げ、ハンドリングなどドライバーを楽しませる運転感覚をブラッシュアップ。またアウディも、大型モデルを除けばスポーティ感を強めてきています。いまや運転する楽しさは、BMWだけの美点ではなくなりつつあるのです。
そんななか、2024年11月に日本へ上陸した新型「X3」をドライブして驚いたのは、その軽快なドライビングフィールでした。
第一印象は「これはもはや、SUVの走り味ではない」というもの。車両重量が2トン近い上に、重心も高いSUVとはとうてい思えない、圧倒的な軽快感でスイスイ走ってくれることに感動しました。
ステアリング操作に対する反応が素早くスッと曲がってくれる感覚が強調されており、そこから先は後輪の追従性の高さがもたらすドライバーとの一体感が、思いどおりにクルマが動いてくれる感覚をもたらしてくれます。
新型「X3」は、SUVでありながらそんなBMWらしいドライビングフィールを味わわせてくれるモデルであり、ライバルとなるメルセデス・ベンツ「GLC」やアウディ「Q5」と比べると、ドライブ時の爽快感が格上。BMWらしさを改めて定義するかのような仕上がりです。
そんな新型「X3」は、BMWのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)ラインナップにおいて“「X1」より上で「X5」より下”という位置づけ。いわゆる“Dセグメント”SUVに位置しています。
今では欧州だけでなく米国でも売れ筋のカテゴリーで、グローバルでみれば「GLC」やフォルクスワーゲン「ティグアン」がそうであるように、「X3」もまたBMWにおける売れ筋ナンバーワンモデルになっています。
それだけに「多くの人に受け入れられつつ、BMWらしい個性をしっかりと強調する」というのが、開発時の重要なテーマだったに違いありません。そして、そんなBMWらしさの表現に欠かせなかったのが走りのよさ。“駆けぬける歓び”だったというわけです。
●スポーティなだけでなくモダンで都会的なルックス
そんな新型「X3」のスタイリングは、好き嫌いはともかくとして、ひと目でBMWと分かるもの。

BMWのアイデンティティともいうべき“キドニーグリル”は先代モデルより大型化したものの、物議を巻き起こした「4シリーズ」ほど巨大なものではありません。多くの人が受け入れられるレベルに抑えられているのは、ある意味、個性と親和性とのバランスを図った結果といえそうです。
ちなみに、暗くなると“キドニーグリル”のフレームに埋め込まれた光ファイバーが灯ることで、夜間もBMW車だとひと目で分かります。この辺は遊び心が効いているなと感じます。
そんな新型「X3」のスタイリングにおけるハイライトは、プロポーションにあると考えます。
ルーフラインは後方へ向かうに連れ、なだらかなカーブを描きながら下降していきますが、その傾斜はかなりきつい印象。後方へ向かうに従って上方へのカーブを描くサイドウインドウ下端のラインと相まって、キャビンを小さく軽快に見せてくれます。
これは実にカッコいいデザイン処理であり、スポーティなだけでなくモダンで都会的な雰囲気に仕上がっています。
SUVは広い室内を期待されることもあるため、逆にキャビンを大きく見せた方がより多くの人に受け入れられるのかもしれません。しかし、あえて軽快なフォルムを選んだことに、BMWのこのモデルにかける意気込みを垣間見た気がします。
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