最終的になんと50億円超え!60年前の「フェラーリ」はなぜ高額で落札された? 赤いフェラーリ・レースカーの歴史的な価値とは
1965年にル・マン24時間レースを総合優勝した1台
2025年2月にフランス・パリで開催されたRMサザビーズ主催のオークションに、1964年製フェラーリ「250LM」が出品され、3488万ユーロ(日本円で約56億680万円)という高値で落札されました。
どんなクルマなのでしょうか。

フェラーリ250LMは、1963年のパリサロンで世界初公開されたモデルです。車名の「LM」とは、ル・マンを意味します。その名のとおり、ル・マン24時間レースなど主に耐久レースで活躍するために開発されました。
ただし、FIAからホモロゲーション承認を受けるまでには困難があり、とくに搭載する3リッターエンジンを3.3リッターのSOHCドライサンプのV12エンジンにアップグレードされた際にはさまざまな苦労があったといいます。
こうしたFIAの協力拒否に苛立った当時のフェラーリの総帥、エンツォ・フェラーリ氏は、すぐに250LMへの興味を失っていきました。250LMはフェラーリのワークスチームでの使用ではなく、プライベーターに割り当てられました。こうして250LMはプライベーターに販売された最初のリアエンジンフェラーリとなり、今日まで続くトレンドの始まりとなりました。結果として1966年半ばまでに32台の250LMが製造されました。
今回オークションに登場したシャシナンバー5893の「フェラーリ250LM byスカリエッティ」は、1964年後半に製造された6番目のモデルです。
米国のルイジ・キネッティ氏のチーム、ノースアメリカ・レーシングチーム(NART)に販売された250LMは、翌年1965年のル・マン24時間レースにマステン・グレゴリー選手とヨッヘン・リント選手のコンビで参戦、総合優勝を飾りました。これはプライベーター・フェラーリとして唯一の総合優勝となります。
その後もル・マンに2回、デイトナに3回、1965年に優勝したル・マンを含めると合計6回もの24時間レースに出場。これもフェラーリのレーシングカーとして唯一の記録となっています。
シャシナンバー5893の250LMは、デイトナ24時間レースに参戦した数か月後、1970年4月にNARTから米国のインディアナポリス・モータースピードウェイ博物館に売却されました。以来54年間、細かいメンテナンスを受けながら動態保存・維持されてきました。
注目すべきは、この250LMが、マッチングナンバーのTipo211エンジンとタイプ564/940ギアボックス・トランスアクスルをオリジナルとして保持していることです。これは、このクルマが1965年ル・マン優勝の際と同じドライブトレインで駆動されていることを示しています。
さらに重要なのは、このエンジンにはまだ複数の「検査スタンプ」があり、これはル・マン24時間レースを複数回参戦した証拠で、レースの歴史のなかで重要な位置を占める1台ということになります。
そんなシャシナンバー5893のフェラーリ250LMは、最終的に3488万ユーロ(日本円で約56億2037万円)という高値で落札されました。
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ただしこれが、自動車として史上最高額で落札されたということではありません。
過去には1億3500万ユーロ(現在のレートでは日本円で約217億5300万円。当時のレートで約194億円)で落札されたモデルがあります。
それは2022年5月にオークションに登場した1955年製メルセデス・ベンツ「300SLRウーレンハウトクーペ」で、製造されたのはわずか2台。メルセデス・ベンツ・クラシックコレクションが所有していたもので、収益金は環境科学と脱炭素の分野で若者の教育および研究奨学金を提供する「メルセデス・ベンツ基金」の設立に充てられました。
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