「タイプR」以外も高嶺の花!? ホンダ「CR-X」や「シビック クーペ」のスポーティ仕様「Si」が極上のMT車なら1000万円で取引される時代に
25年以上前のホンダ車が約1000万円で落札
ここへきて、ホンダが25年以上前に世に送り出した「CR-X」や「シビック クーペ」のスポーティグレード「Si」のMT仕様が、オークションにて約1000万円で取引されたと聞いて筆者は驚きを隠せません。

確かに最近、お金の流れが変わってきていることを実感しています。高級腕時計、ビンテージのワインや衣料品、スニーカーなど、中古品の取引が活発なのは、それだけ購入や売却の機会が増えたからでしょう。
それらの“市場”は、かつてはプロが活躍する世界でしたが、インターネットオークションを始めとするオンライン化とともに、最近のユーザーは千差万別。もはや商売、転売、投機、投資の境目すら曖昧になりつつあります。
単にそれらアイテムが欲しいだけの、投機や投資とは無縁の購買層にとっては迷惑千万な話ではありますが、これが自由主義経済なのかもしれません。
中古車市場に目を向けてみると、かつては一部のクラシック・フェラーリだけが高値で取引されていたものの、今ではポルシェもランボルギーニも、はたまた日本のスポーツカーも、高値取引される時代になっています。
興味深いのは、それらが“スポーツカーに限定された話”であるという点でしょう。いわゆる往年の高級セダンが高値で取引されるケースというのは、今のところ希ケースといってもいいでしょう。
そんな中古車市場ですが、局所的にオカシなことになり始めています。場所はアメリカ、クルマは古いホンダ車です。
ホンダといえば、各種「タイプR」や「NSX」などが、新車時価格を上回る価値が取引されるようになって久しく、「S2000」も高嶺の花へと昇華しそうな勢いを見せています。
これら生産台数の少ないモデルであれば、希少価値が見出されることに多少なりとも納得はできるのですが、先ごろMECUMオークションズが開催したオークションでは、1991年式の「CR-X Si」が7万1500ドル(約1071万円)で、2000年式の「シビック クーペ Si」が6万6000ドル(約989万円)で落札されたといいますから、開いた口がふさがりません。
●スポーティグレードさえも高評価される時代が来た!?
今回、オークションに出品されたのは、1987年に登場した2代目となる「CR-X」の「Si」グレードで、スポーティなコンパクトモデルとして人気を博しました。
心臓部には1.6リッターの直列4気筒DOHCエンジンを搭載しており、エクステリアには、後方視界を向上させるためのエクストラウインドウが採用されていました。
出品車両は、走行距離がわずか326マイル(525km)という掘り出し物で、外装は魅力的なティール=青緑で仕上げられています。
いわゆる“フルオリジナル”の状態を保っており、純正ホイールが装着されたまま。目立つキズもなさそうです。
内装も同様の状態。シート、カーペット、ステアリングホイールは、まるで工場出荷時のようなコンディションに見受けられます。
車両の所有歴や整備歴の詳細は記載されていませんでしたが、入札者たちの熱意を妨げることはありませんでした。おそらく実際には乗られることのないクルマを巡って、入札者たちは熾烈な価格競争を展開。低走行の「CR-X」を所有したいという願望は十分理解できるものの、7万1500ドルを支払うというのはいささか異常でしょう。
一方、6万6000ドルで落札された2000年式の「シビック クーペ」も素晴らしい状態でした。
「シビック クーペ」は北米市場をメインターゲットに、アメリカで開発/生産されたクーペモデル。北米仕様の後期モデルに設定された「Si」は、“VTECエンジン(B16A型)”を搭載するスポーティグレードでした。
今回の出品車両は、走行距離わずか2061マイル(3316km)の「Si」で、エレクトロンブルーパールの外装と全く使用感のない内装は、まるで月日が止まっていたかのようです。
メーターパネルやオーディオまわりこそ現代の基準からすると古く感じられますが、逆にそこがノスタルジックでたまりません。
この2台が高く評価された理由としては、走行距離が極少であることに加え、MT車であることも評価されたポイントのようです。
とはいえ、「CR-X」も「シビック クーペ」も、スポーティな「Si」グレードではあるものの、スポーツカーと呼べるほどのモデルではありません。裏を返せば、この先、スポーティグレードでさえも高く評価される時代が訪れるのかもしれません。
現在の相場が続く、もしくはさらに高騰するのであれば、新車時からおおむね25年以上が経過したスポーツカーやスポーティモデルで、かつMT車であれば、高値での落札が見込めることになりそうです。保管場所に困らない人の中には、長期定期預金の代わりにクルマを“寝かす”人が出てきても不思議ではありません。
ノスタルジーが金銭的な狂気に変わりつつある中、クルマの買い方も変わってきそうですね。
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