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昔は本革シートより「布シート」のほうが高級品だったってホント? 「本革シート=高級車」の印象はいつから!? その理由とは

いつごろから「布シートより本革のほうが高級」になった?

 実際に、その伝統はいまも一部で引き継がれてます。たとえばトヨタの「センチュリー」です。

 センチュリーのシートには本革仕様の「極美革」も用意されますが、「瑞響(ずいきょう)」と呼ばれる手ざわりの良いウールファブリック仕様となっています。

トヨタ博物館に収蔵されている1928年製「イスパノスイザ 32CV H6b」(フランス)。運転席は本革シート、後席は布シートだ
トヨタ博物館に収蔵されている1928年製「イスパノスイザ 32CV H6b」(フランス)。運転席は本革シート、後席は布シートだ

 センチュリークラスの場合は、もちろん費用をケチって布シートにするわけがありません。これは狙って布シートを採用しているのです。

 ちなみに、1960年代の天皇陛下の御料車「プリンスロイヤル」も、後席はウール織物の布シートでした。前席は本革シートなのに、後席はわざわざ布シートにしていたのです。

 では、いつ頃から、本革シート=高級品となったのでしょうか。それはクルマのシートの歴史を振り返れば、答えが見えてきます。

 クルマが発明され普及へと至る1900年代前半は、ほとんどのクルマがシートに本革シートを採用していました。そして、一部の高級車では、耐久性よりもソフトな布シートが採用されていました。

 この時代は、当然、本革シートよりも布シートのほうが格が上となっていました。

 そして第二次世界大戦後の1950年代以降、日本でも自動車生産が始まります。ここで日本車はどうしたかといえば、人工皮革の塩化ビニールを使っていたのです。これが、当時の日本としてはもっとも安価で現実的な選択だったのでしょう。

 一方で布シートもあり、こちらはウールを利用。当然、塩化ビニールよりも布シートのほうがコストは高くなります。しかし、塩化ビニール&ウールの時代は短期間でした。

 その後、化学繊維の時代が到来します。化学繊維とは、ナイロンやポリエステルなどを使った繊維のことで、第二次世界大戦後に普及した技術です。これが1960年代ごろに自動車シートの素材として利用されることになっていきます。

 この技術が、自動車のシートを決定的に変えることになりました。

 化学繊維の登場により、布シートの耐久性は飛躍的に向上。それまでのウールに比べて化学繊維だとコストもかかりません。こうして布シートの可能性を各段に高めました。

 その結果、1970年代から80年代にかけて、布シートは大いに普及。さらに、ベロア、ジャージー、ツイードなど、さまざまなバリエーションを生み出していきます。

 一方で本革シートは、耐久性という実用面ではなく、ステータス性という側面が強調されることになりました。

 ちなみに、日本で乗用車が庶民の手にわたるようになったのは、化学繊維のシートが登場した後。つまり、ほとんどの日本人は、本革シートが耐久性で布シートを勝るところを見る機会がなかったといえます。

 そして、輸入される欧米の高級車の多くには、トラディショナルな本革シートが装備されていました。これを見ていれば、誰もが本革シートは布シートよりも高級品であるという認識が定着して当然だったかもしれません。

 そんな歴史的な流れが、本革シート=高級品という見方を定着させたのです。

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