918馬力の“電動ハイパーGT”公道での印象は? 軽さを武器とした「往年のロータス」と一線を画す新世代モデル「エメヤ」は何がスゴい?
ロータスに対するイメージを改めるべきときが来た
ロータスはどこへ行こうとしているのだろう? 筆者(工藤貴宏)に限らずロータスを知るスポーツカー好きは、世に送り出された昨今の新型車を見て、きっとそう感じているのではないでしょうか。

ロータスといえば、「スーパーセブン」や「ヨーロッパ」、そして少し前は「エリーゼ」など、コンパクトな超軽量モデルを多数手がけてきたイギリスを代表するスポーツカーブランド。ストイックに走りを追求し、そのひとつの手法としてとにかく車体を軽くつくることを理想としてきたメーカーです。
しかし、本記事でフォーカスする「エメヤ」は、そんな従来のロータス像とは全く異なるベクトルの上に誕生したモデルです。
ボディは全長5139mmに全幅2005mmと大柄で、車両重量も2575kgとヘビー級。我々が抱くロータス車のイメージとはかけ離れたモデルです。「これがロータスなのか?」と思わずにいられないのは、きっと筆者だけではないでしょう。
しかもドアには、電動による自動開閉機能までついています。ラグジュアリーブランドのモデルならまだしも、「軽さはスポーツカーの命」と説いてきたロータスのモデルにそうした装備が着いているなんて……。
「ムダを削げ、そして軽量化せよ」という明言を残したロータスの創始者、コーリン・チャップマン氏がこのクルマを見たら、いったいどう思うのだろう……なんて要らぬことを考えずにはいられません。ロータス車のシートにマッサージ機能なんて本当に必要なのでしょうか?
もちろん、そんなことはロータスだってしっかり理解しているはず。なので、そもそもロータスは「エメヤ」をスポーツカーとは呼んでおらず、「ロータス初のエレクトリック・ハイパーGT」と位置づけています。そう「エメヤ」は、エンジンを積んでいないピュアなBEV(電気自動車)なのです。
何を隠そうロータスは「2028年までにすべての車両をBEVとするグローバルラグジュアリーブランドを目指す」という方針を以前から打ち出しており、「エメヤ」が送り出されたのもその一貫。いまや我々は、ロータスに対するイメージを改める必要があるというわけです。
大きくて重いラグジュアリー4ドアサルーンのBEV……確かに「エメヤ」は従来のロータスの概念を覆すモデルですが、「ロータスは小型で軽量」という固定概念さえ忘れてしまえば、素晴らしいクルマであるのも事実です。
何が素晴らしいかといえば、その走り。試乗したハイエンドグレードの「R」は、ふたつのモーターによってなんとシステム最高出力918馬力を発生。最大トルクも985Nmと、とんでもないスペックの持ち主です。
その強大なパワーで4本のタイヤを駆動する結果、0-100km/h加速はわずか2.78秒でクリア。さらに最高速度は256km/hと、まるでワープ装置のようです。
アクセルペダルを深く踏み込むと「速い」というレベルではなくタイムスリップするかのような錯覚。900馬力オーバーですもの、そりゃ驚速ですよね。
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