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航空機内のWi-Fiは今もなぜ“遅い”? 「国際線」にもやってきた無料化の流れ 今後期待される超高速Wi-Fiはいつ頃実現される?

近い将来 超高速Wi−Fiも実現か

 そもそも、機内Wi-Fiの仕組みは大きく2種類あります。

機体には衛星との通信を行うためのアンテナが装備されている(矢印)。写真はJALモバイルが就航しているA350-900
機体には衛星との通信を行うためのアンテナが装備されている(矢印)。写真はJALモバイルが就航しているA350-900

 ひとつは人工衛星を使うもので、この場合は機体の上部にアンテナが取り付けられ、高軌道の静止衛星を介して地上と通信することでインターネットへ接続されます。海上での移動が多い国際線ではこの方法が一般的ですが、日本は国内線でも海上での移動が多いためにこの方法が採用されています。

 もうひとつは地上に設置された基地局と直接通信する方法で、この場合、アンテナは機体の下側に取り付けられます。

 大陸を移動することが多い、たとえばアメリカ国内線ではこの方法が採用されていますが、この方法では海上を移動するフライトの設定はできなくなります。そのため、日本ではこの方法を採用する例はありません。

 それぞれにメリット/デメリットがあるわけですが、やはり使い勝手の面で不便を強いられているのは高軌道の静止衛星を使う方法でしょう。衛星を介して通信するためにどうしても通信速度が遅くなる上に、静止衛星から離れる北極圏では通信がほぼできない状態が続いてしまう傾向にあるからです。

 こうした状況を改善する方法として期待されているのが、スペースX社が提供する低軌道衛星によるインターネットアクセス「スターリンク(Starlink)」です。

 これはスマートフォンで地上局の電波が圏外になっても通信ができるというサービスとして生まれ、日本ではauがこれを無料で使えるプランを用意したことで注目を集めました。実は、このサービスを機内Wi-Fiでも活用することで、通信速度の改善や北極圏での安定した通信に役立てようという動きが始まっているのです。

 米軍がスターリンクを使って北極圏で9か月間にわたるテストを行った結果、信頼できる通信システムであることを証明したとの報道もあり、機内Wi-Fiでの期待値は極めて高くなっていると言って間違いないでしょう。

 また、2024年2月には、現在Wi-FiサービスをJALに提供している米インテルサット社が、同社の静止衛星とパートナー企業の低軌道衛星を組み合わせてネットワークを構成する「マルチオーピット」による北極圏での実験に成功しました。

 JALは2026年より同社が導入を予定する「ボーイング737 MAX」にこの方式を採用することを発表。これによりJALは、これまでにない広いカバー率と低遅延性を乗客に提供できるとしています。

 実は、JALは2024年10月より、これまでのWebサイト閲覧やメールなどのテキスト通信の利用に加えて、YouTubeなどストリーミング配信の動画視聴サービス利用を可能にしています。これは日本の航空会社では初めてのことで、こうした対応は乗客にとっても大きなメリットをもたらしたと言えるでしょう。

 今後はスターリンクなど低軌道衛星の活用により、飛行機で移動中でもあっても日常とさほど変わらない超高速でのネット接続が可能になるかもしれません。

 これが実現すれば、飛行機での移動がこれまで以上に楽しく快適になっていくことは間違いなく、そんな進化を遂げていく機内Wi-Fiには大いに期待したいと思います。

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会田肇
会田肇
モータージャーナリスト
1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌の編集部を経てフリーランスに転身。カーナビやカーAV分野を中心に取材・執筆活動をスタートし、現在はインフォテインメントシステム、ADAS(先進運転支援システム)、ITS(高度道路交通システム)など幅広いモビリティ分野を取材対象としている。また、趣味である旅行好きが高じてエアライン関連の取材・執筆も行う。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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