次期型「エルグランド」にも搭載決定! 日産車の未来を占うパワートレイン“第3世代e-POWER”の実力とは? 気になる燃費や走り味は?
動力性能もフィーリング面でも期待が持てる“第3世代”
そんな“第3世代e-POWER”の試乗車として今回用意されていたのは、「キャシュカイ」の英国仕様でした。

本記事を読んでいる人の多くは「『キャシュカイ』ってナニ?」と思うことでしょう。ひと言で説明するならば「エクストレイル」の弟分であり、かつて日本でも販売されていた「デュアリス」の最新モデルです。
実は「デュアリス」というのは日本仕様のみのネーミングであり、生産拠点であった欧州では当時から「キャシュカイ」を名乗っていました。
「エクストレイル」と基本メカニズムを共用しつつデザインを変更し、車体をやや小型化しているのが「キャシュカイ」の特徴。全長は4425mなので、トヨタ「カローラクロス」くらいの大きさをイメージするといいでしょう。
“第3世代e-POWER”を搭載した最新の「キャシュカイ」を前にして感じた素直な気持ちは、「コレ、日本でも売ってくれないかな?」というものでした。なぜならサイズ感が、日本の道路環境にちょうどいいからです。
現在、日本市場におけるSUVの売れ筋は「エクストレイル」より小さいサイズのモデルです。日産は同セグメントに「キックス」を用意していますが、車格的に下のポジショニングであり、インテリアも格下感がぬぐえません。
それに対して「キャシュカイ」のインテリアはクオリティが高く、先進装備なども充実。明確にひとクラス上のモデルだと感じます。
サイズをコンパクトに抑えながら、内外装のクオリティと車格感が高いのが「キャシュカイ」の長所。どう考えてもコレ、日産は日本で売るべきです。なぜなら“日本にちょうどいいSUV”なのですから。
そんな「キャシュカイ」に搭載されるパワーユニットは、これまで“第2世代e-POWER”でしたが、先ごろ発表されたばかりの新型は、それが“第3世代e-POWER”へと進化しています。今回は双方を乗り比べることができたので、その進化を明確に感じることができました。
日産によると「“第2世代e-POWER”を搭載した従来モデルに対して、“第3世代”を採用した新型は高速燃費が15%、モード燃費平均が9%向上したほか、静粛性も5.6dB低減した」といいます。
とはいえ乗り比べてみると「劇的に変わった!」というほどの違いはありません。しかし、確かに静かになったと感じる領域がありました。
静かになったと感じた理由はふたつ。ひとつは、アクスルの一体化によって剛性が上がるとともに、部品どうしの振動のズレが減り、それに起因するノイズが減ったこと。そしてもうひとつは、新エンジンは効率のいい回転域が従来のそれより低くなっており、純粋にエンジン回転数が高くなりにくいこと。その分、静かに感じるというわけです。
特に後者は、アクセルを全開にした状態での発電時などで、エンジン音が静かになったのを実感します。
しかし、筆者(工藤貴宏)が感心したのは、むしろ“第3世代e-POWER”の搭載に伴うデメリットが感じられないことでした。それは、加速を始めとする動力性能においても、音などのフィーリングにおいても同様です。
“第2世代e-POWER”は、可変圧縮エンジンという極めて高コストのエンジンを組み合わせていましたが、“第3世代”のエンジンはそれに比べるとシンプル。それによりコスト低減も図られています。
コストダウンを実現しながら、走りの面ではデメリットを感じさせない……それって素晴らしいことではないでしょうか!
コストダウンというとネガに感じる人もいるかもしれませんが、「より安価で提供される」ことを考えれば、ポジティブにとらえることができるはずです。
それでいて、“第3世代e-POWER”搭載モデルは、“第2世代”を搭載する従来モデルより性能や快適性において優れているのですから、それはうれしい進化といえるでしょう。
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試乗を終えて、同様のシステムを採用する次期型「エルグランド」への期待ががぜん高まってきました。2026年度のデビューが今から楽しみです。
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