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総合出力920馬力! ランボルギーニの新スーパーカー「テメラリオ」サーキットでの印象は? プラグインハイブリッドながら“エンジンの魅力が濃密”です

強烈そして爽快とも表現したくなる心臓部の吹け上がり

 大ヒット作となった「ウラカン」の後継モデルとなるランボルギーニ「テメラリオ」。その車名は、ブランドの伝統に則り、伝説的な闘牛の名からつけられています。さらに、スペイン語で“勇敢”や“命知らず”といった意味も持つそうです。

 日本でも、昨2024年11月の「ランボルギーニ デイ」ですでにお披露目済みのこの「テメラリオ」を、ついに試乗することができました。舞台はポルトガルのエストリルサーキットです。

ランボルギーニ新型「テメラリオ」
ランボルギーニ新型「テメラリオ」

「テメラリオ」の最大の注目点は、やはりそのパワートレインでしょう。

「ウラカン」のV型10気筒自然吸気ユニットに代わって選ばれたのは、4リッターのV型8気筒ツインターボエンジン。それだけ聞くと、今風のダウンサイジングと思われそうですが、さにあらず。何しろこのエンジン、単体でも800CVという驚異的な出力を発生し、最高許容回転数は実に1万rpmオーバーという異例の超高回転型・高出力ユニットなのです。

 これを実現するために用いられているのが、フラットプレーンのクランクシャフトやフィンガーフォロワーのDLCコーティングといったレース用の技術。飛び道具を使うわけではなく、あくまで精緻で丹念なつくり込みの成果だといいます。

 このエンジンに、さらにフロントに2基、リアにクランクシャフト直結の1基と、計3基のアクシャルフラックスモーターを組み合わせるプラグインハイブリッドとすることで、トータル出力は920CVにも達します。

 V12ユニットを積む「レヴエルト」の1015CVには及びませんが、少なくとも“ベイビーランボ”なんて呼び名が似つかわしくないすさまじいパワーであることは間違いありません。

 デザインも完全に刷新されました。伝統の“クンタッチ”シェイプこそ踏襲されていますが、アイキャッチとなっているDRL(デイタイムランニングライト)を始めとする各部にあしらわれたヘキサゴンシェイプ、リアタイヤ後方を大胆にカットして跳ね上げたモーターサイクルに通じるモチーフなどによって、一層の躍動感が演出されています。

 車体は「ウラカン」と同様にオールアルミ製で、サイズアップにも関わらず重量を低減。ねじり剛性は24%増にもなるそうです。

 空力特性も改善されていて、例えばリアダウンフォースは108%も増加しています。実は特徴的なDRLは、形状を吟味することで適切なエアフローを導く空力アイテムとしても機能しているのだそうです。

「レヴエルト」にも通じる、まさにコックピット感覚の設えとされたインテリアは、居住スペースが大幅に拡大されていて、ヘルメット着用でも頭がルーフに触れることはありません。

 実は全高は「ウラカン」より増加していますが、それでも1201mmですから、この広さは想像以上といえます。ちなみにヘッドルームは「ウラカン」比で34mm拡大されていて、身長2mのパッセンジャーにも対応するそうです。

 しかも、シート背後にはカバンなどの日用品を収めるのに十分なスペースが用意されています。フロントにも容量112リットルの荷室が備わりますから、サーキット用のギアを積み込むのも、ふたりで旅行で出かけるのも余裕でこなせるでしょう。

 今回の試乗車は、軽量仕様の「アレジェリータ パッケージ」つき。主にCFRP製となる内外装パーツによって25kgの軽量化を実現するだけでなく、トータルダウンフォースを67%増とするなどエアロダイナミクスも向上させた仕様です。

ランボルギーニ新型「テメラリオ」
ランボルギーニ新型「テメラリオ」

 試乗の舞台はサーキットのみ。各ジャーナリストに与えられたのは、全長4.36kmのコースを慣熟走行含めて4周×3セットでした。

 まずはハイブリッドシステムを「パフォーマンス」、走行モードを「スポーツ」にセットしてコースへ向かいます。ちなみにこのモードの組み合わせは実に13とおりにも及びます。

 何より楽しみにしていたそのパワートレインは、期待を裏切らない仕上がりでした。いや、正直にいえば、想像をはるかに凌駕していました。

 V型8気筒ターボエンジンはいくつも経験しているので、おおむね同じような感触かと思っていましたが、「テメラリオ」のそれは全くの別物です。

 吹け上がりは強烈、そして同時に、爽快とも表現したくなるもの。電気モーターがターボラグを打ち消すため、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から背中を蹴飛ばされるような加速が始まりますが、その後のパワーの伸び、レスポンスはあくまでリニア。回転も粒がそろっていて、まるで自然吸気ユニットのようにも感じられます。

 爽快とはそういう意味ですが、線が細いわけではなく、ターボエンジンらしくいつでもどこでも右足に力を入れれば力強い反応を得ることも可能。まさに双方のいいとこ取りのようなフィーリングとなっているのです。

 その勢いは、高回転域でも変わらないどころか、さらに勢いを増してきます。実際、CTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)のルーベン・モール氏が「それ以前の領域でも十分なトルクがあるから、今までどおりの感覚だと7000rpm辺りでシフトアップしたくなるかもしれない。でも、このユニットの見せ場はそこから先。7000〜1万rpmが一番おいしいところだから!」と話していたとおり、さらに澄んだサウンドとともにパワーが上乗せされていき、1万rpmオーバーまではまさに一気!

 さらに、自然吸気エンジンと違って最後までパワーの落ち込みがなく一直線に駆け上がっていくのですから、速さもすさまじいものがあります。いやはや、こんなエンジンを今の時代に味わえるとは思いませんでした。

 しかも面白いことに、このエンジンはマウントの工夫によって、主に高回転域でバイブレーションをシート、ステアリングに微妙に伝えるようにしてあります。決して不快な振動が入るわけではありませんが、間違いなくこれも臨場感を高めることにつながっているはずです。

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