51年前の「4人乗りフェラーリ」がオークションに登場 走行まさかの6800キロ とある事件をきっかけに“封印”され眠り続けた「ディーノ308GT4」とは
初めてベルトーネがデザインしたフェラーリモデル
2025年10月にベルギーで開催されるブロードアローオークションに、1974年式フェラーリ「ディーノ308GT4」が出品される予定です。
どんなクルマなのでしょうか。

1973年にディーノ308GT4を発表したとき、それはフェラーリのロードカー哲学に大きな転換をもたらしました。
20年以上にわたりピニンファリーナの曲線美を特徴としてきたフェラーリは、このモデルのデザインを初めてベルトーネに委ねました。シャープなエッジとウェッジシェイプを持つそのクーペは、新たなデザイン美学を提示すると同時に、フェラーリにおけるミッドシップV8時代の幕開けを告げる存在となりました。
2.9リッターDOHCエンジンをキャビン後方に横置きし、その下に5速ギアボックスを配置した構造は、2+2シートレイアウトを実現。これによりフェラーリは、ランボルギーニ「ウラッコ」のようなライバルに真っ向から挑むことが可能になりました。
さらに開発段階では、F1チャンピオンのニキ・ラウダ氏がテストに参加し、そのハンドリングバランスと操縦性を高く評価したことでも知られています。今日では308GT4は、優れたドライバビリティを備えたクラシック・フェラーリとしてだけでなく、308/328、F355、360モデナへと続くV8血統の原点として再評価されています。
この個体は1974年7月、イタリアの実業家であり政治家、ジャーナリストでもあったアメデオ・マリオ・オルトラーニ氏のもとに納車されました。
わずか134台しか存在しない、マローネ・ディーノ・メタリッツァート(メタリック・ブラウン)のボディにベージュのベルベット内装という組み合わせを持つ希少な仕様です。
さらに高価なボルレッティ製エアコンを装備するなど、当時としては贅沢なオプションが選ばれていました。納車後の初期整備は、ジョアッキーノ・ヴァリ氏によって1974年10月までに3回行われ、走行距離は5000kmに達していました。
1975年4月、オルトラーニ氏がローマの大手電子機器メーカー「ヴォクソン(Voxson)」の社長に就任した際には、記念として同社製のステレオ8ラジオを搭載するアップグレードが施されました。
しかしそのわずか2か月後の6月10日、オルトラーニ氏は誘拐事件に巻き込まれてしまいます。身代金10億リラが支払われ、11日後に解放されましたが、この出来事をきっかけに家族は目立たぬよう生活することを望み、308GT4はガレージに封印されました。そのまま1989年まで保管され、走行距離は7000kmに満たない状態で売却されています。
その後、複数のオーナーのもとを転々としたものの、車両は事実上“眠り続けた”ままでした。
そして2023年末、長い沈黙を破って「ミラノ・オートクラシカ」にて“発見されたまま”の姿で展示され、大きな注目を集めました。現在もオドメーターの表示は7000km未満で、ボディやインテリアはほぼ当時のまま。まさに“タイムカプセル”のような状態を保っています。
そのオリジナリティと低走行距離は、現存する中でもっとも保存状態の良い個体のひとつといえます。
予想落札価格は5万ユーロから7万ユーロ(1ユーロ177円換算で日本円で886万円から1241万円)とされています。
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