萬古焼の里で見た“土を家電にする”現場とは——タイガー〈炊きたて〉JRX型が生む土鍋ご泡火炊きの一膳【家電で読み解く新時代|Case.19】

±0.3mmを守る検査体制
精度は現場で担保される。外形はゲージ、底面厚はレーザー、そして打音(タッピング)で微細なクラックを拾い切る。
「焼成での割れは2〜3%。 それでも最終NGが2〜3割に達する日があります。焼いたNGは土に戻せないので砕いて路盤材に回します」
数字だけ見れば非効率だが、±0.3mmを守るための合理でもある。わずかな厚薄の差がIHの温度地図を狂わせ、味の再現性を落とすからだ。萬古焼の器づくりに家電の検査密度を重ね、土鍋を精密部品へ引き上げていく。

人の耳と指で仕上げる最後の1%
ミヤオカンパニーリミテドのラインは少数精鋭だ。粘土の締まり、成形の出方、焼成後の“音”——数値化しきれない微差を、人の目と耳と指で拾い続ける。
「誰かが休むと回らないくらい、ぎりぎりの密度でやっています。 でも、その最後の1%を人の判断で締めるから、家電の精密部品として通用する土鍋になる」
量は月で揺れるが、概ね8,000〜1万個規模。萬古焼の産地で鍛えられた工芸の作法が、今日も家電の工程管理の中で息をしている。

茶碗一杯で伝わる説得力
ここまでの手間は、茶碗の中の一粒で回収される。おすすめはやや控えめの加水から始め、炊き上がり後に5分置いて蓋を開けること。
湯気は澄み、しゃもじを入れても粒の輪郭が崩れにくい。噛み進めるほど、芯のない弾力と甘みが滲む。
3.5合のJRX-S060でも、5.5合のJRX-S100でも、萬古焼の泡と火はきちんと働く。もし店頭で試食の機会があれば、まず“いま炊いたご“はんを口にしてほしい。スペック表では測れない説得力が、きっと舌でわかる。
そしてこの「説得力」は、市場の数字にも表れている。日本の炊飯器市場は500万台規模から近年縮小傾向にある一方で、平均単価は上昇し、特に5万円以上の高価格帯モデルが大きく伸びている。
その中でタイガーの〈土鍋ご泡火炊き〉シリーズは進化のたびに人気を高め、2025年3月には台数ベースでシェアナンバーワンを獲得した。背景にあるのは、他社との差別化を可能にした「火入れ精度」だ。
300℃のWレイヤーIHによって内なべ全体に均一な熱を与え、さらに萬古焼の土鍋内なべを±0.3mm単位で焼き上げる精密な製造技術。
これらの組み合わせが、米の甘みを最大限に引き出し、ふっくらと粒立ちの良いごはん安定して提供する。タイガーの強みは、まさに“内なべへのこだわり”に尽きる。

萬古焼の町・三重で見たのは、伝統と最新が気取らず共存する風景だった。土を家電にする——無茶に見える挑戦は、±0.3mmという数字と、三度焼きという手間、そして現場の耳と指に支えられている
赤く光る窯の前で、筆者は思う。JRX型のごはん、単に“うまい”のではなく、産地の技を毎日の食卓へ翻訳した一膳だ、と。その訳をぜひ舌で確かめてほしい。
製品概要
【タイガー〈炊きたて〉「土鍋ご泡火炊き JRX-S060/S100」】
・本土鍋内なべ採用
・300℃ WレイヤーIH
・70銘柄炊きわけ
・3.5合/5.5合炊き
・食洗機対応部品
・実勢価格 12万6500円(3.5合)/13万2000円(5.5合)
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