「えっ!?」40年前のランクルに最先端の389馬力ツインターボを搭載? 米国トヨタ「ターボ・トレイル・クルーザー」世界初公開 SEMAショーで展示
見た目はそのままFJ60型ランドクルーザーだが…
米国トヨタは、2025年11月5日から米国ラスベガスで開催されている世界最大級のカスタムカーショー「SEMAショー」において「ターボ・トレイル・クルーザー」を初公開しました。

このモデルは、往年の名車「ランドクルーザーFJ60」のクラシックな魅力と、最新のi-FORCEツインターボV6エンジンによる現代的なパフォーマンスを融合させた特別な1台です。
クラシックとモダンが共存するこのプロジェクトは、トヨタが誇る最新技術をレトロなプラットフォームに違和感なく組み込む試みであり、レストモッドとホットロッドの中間に位置する、新しい「トヨタ流の再解釈」を体現しています。
搭載されているのは、現行トヨタ「タンドラ」にも採用されている3.4リッターV6ツインターボ「i-FORCE」エンジン。
このユニットは389馬力と479lb-ft(約650Nm)のトルクを発揮し、オリジナルのFJ60に搭載されていた直列6気筒エンジンの出力をほぼ倍増させています。
ただし進化のポイントは、単なるパワーアップだけではなく、新エンジンは静粛性、精密さ、燃費、排出ガスのクリーン化など、現代的な性能向上も実現しています。2基のターボチャージャーによるリニアで力強いトルク特性は、クラシックなランドクルーザーを一段と扱いやすく、現代の走行環境にもふさわしいものにしています。
トヨタ・モータースポーツ・ガレージのオペレーションディレクターであり、このプロジェクトのリードビルダーを務めたマーティ・シュヴェルター氏は、「ターボ・トレイル・クルーザーは、トヨタの最新パフォーマンステクノロジーを象徴的なクラシックモデルに融合させた例です。ホットロッド的な発想でありながら、トヨタDNAに基づいたパワー、走行性能、信頼性を兼ね備えています」と語っています。
ターボ・トレイル・クルーザーが他のレストモッドと異なるのは、「あくまで純正風に仕上げる」という哲学のもとに造られた点です。
1985年製FJ60ランドクルーザーの構造を損なわず、ボディやマウント位置に手を加えることなく、新しいエンジンを搭載できるよう設計されています。
チームは専用のエンジンマウントを新たに製作し、i-FORCEエンジンをFJ60の純正5速マニュアルトランスミッションに接続するためのアダプタープレートを加工。さらに、車体レイアウトに合わせてオイルパンを再設計し、専用のエキゾーストシステムを開発しています。
ターボエンジン用に冷却能力を高めたヒートエクスチェンジャーを純正位置に設置し、カスタムワイヤーハーネスを介してエンジン制御ユニットと接続することで、まるで工場出荷時のような完成度を実現しています。
足回りもアップデートされ、1.5インチのリフトアップ、35インチの大径タイヤ、フロントシャックルの反転などにより、悪路走破性を向上させています。
外装は1986年当時の「シルバー147」をPPG製塗料で忠実に再現し、当時の雰囲気を残したカラーリングとグラフィックが施されています。インテリアには最新のJBLステレオシステムが組み込まれ、ヴィンテージなキャビンの雰囲気を保ちながらも快適性を高めています。その姿は、まるで40年間ガレージで眠っていた1台が現代に蘇ったかのようです。
トヨタ・マーケティング部門のマイク・トリップ副社長は、「ターボ・トレイル・クルーザーは単なる馬力の誇示ではなく、愛好家が大切にしてきたクラシックの魅力を守りつつ、最新技術によってドライビング体験を向上させることを示しています」とコメントしています。このプロジェクトはコンセプトビルドでありながら、トヨタと顧客が共有する“クラシックを未来へつなぐ情熱”を体現しています。
この特別仕様車は、SEMAショーのトヨタブースで展示され、トヨタの「マルチパス戦略」におけるガソリン車の重要性を示す一例として紹介されます。この戦略は、エンジン車、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EV、燃料電池車といった多様なパワートレインを提供し、ユーザーに最適な選択肢を与えるというトヨタの基本方針を表しています。
なお、ターボ・トレイル・クルーザーは特別なプロトタイプであり、純正ではないパーツやアクセサリーを使用しているため、公道走行に適合しない可能性があるといいます。
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