まもなく生産終了のトヨタ「GRスープラ」最終モデルの実力とは? モデル末期とは思えない“商品改良”でさらに進化! “抜群のドライビングプレジャー”は健在です
A90型は抜群のドライビングプレジャーの持ち主
そんな今回のドライブで改めて実感したこと。それは、直列6気筒エンジンを搭載する「GRスープラ」が素晴らしい官能性の持ち主だということです。

アクセルペダルを踏み込むとキャビンには快音が響き渡るとともに、パワーがわき出して盛り上がる回転フィールがドライバーのドーパミンの放出を促します。また、気持ちよくコーナーを曲がり、峠道をスイスイと駆け抜けていくフットワークは、いつまでも走らせていたくなるほどです。
いつまでもどこまでも走り続けていたいスポーツカー……それが「GRスープラ」なのだと感じました。
ところで、そんな「GRスープラ」は、トランスミッションを8速ATと6速MTという2種類から選択できます。デビュー時はATだけの設定でしたが、商品改良のタイミングでMTも選べるようになりました。
今回、双方をドライブできたのですが、率直にいって速いのはATの方です。ドライバーが手と足を使って操作するMTよりも瞬時にシフトアップ/ダウンできるので変速に要する時間が短く、その分、加速が速い。おまけに、MTより2段多い8速のギヤを備えているため、より最適なギヤ比を選べるのも速さにとってはプラスとなっています。
気軽に運転したい人はもちろんのこと、サーキットでのタイムアタックでより速く走りたい人にもオススメできるのが「GRスープラ」のATなのです。ダイレクト感も強く、乗っていて全く不満はありませんでした。
対してMT車は、ドライバー自らがすべてをコントロールしたい人向け、といえるでしょう。MTはATより運転の上手/下手が露呈しやすく、その分、上手く変速できたときの気持ちよさは、AT車では絶対に味わえません。
速さでも燃費でもイマドキのATにはかなわないので、手動での変速操作はムダでしかありませんが、ムダを楽しみ、エンジンの回転数をドライバーのコントロール下に置いて走らせられるのが、MT車の醍醐味といえるでしょう。
そして何より、筆者はゆっくり走ったときにこそ楽しいのがMT車の醍醐味だと信じています。高性能なスポーツカーは「ハイスピードで走らせてこそ」と思われがちですが、実はゆっくり走っても気持ちいいのが真のスポーツカー。特に、エンジンに色気を感じられる「GRスープラ」の6気筒モデルは、ゆっくり走るのもオツなものです。
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A90型の生産が終了した後、次世代の「スープラ」が登場するのか否かは現時点では分かりません。仮に登場したとしても、それは“近いタイミング”ではなさそうです。
現行型「GRスープラ」は、BMWとの協業によって誕生したモデルという色めがねで見られがちですが、抜群のドライビングプレジャーの持ち主であるということ、そして、歴史に残るモデルであることは間違いありません。
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