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“素”のヴェイロン史上 最高落札額!? 15年前の「ブガッティ」が高値で落札 1000馬力超えで最高時速407キロのハイパーカー「EB16.4クーペ」とは

220万5000ドル(約3億4000万円)は史上最高額

 2025年10月に米国ラスベガスで開催されたブロードアローオークションにて、2010年式ブガッティ「ヴェイロン EB16.4クーペ」が出品され、高額落札されました。

 どんなクルマなのでしょうか。

米国開催のオークションで高値で落札された2010年式ブガッティ「ヴェイロンEB16.4クーペ」
米国開催のオークションで高値で落札された2010年式ブガッティ「ヴェイロンEB16.4クーペ」

 ブガッティ・ヴェイロンは、21世紀の自動車史において象徴的な存在です。

 単に速さを追い求めたクルマではなく、公道を走るハイパーカーの概念そのものを変えたモデルでした。比類ないエンジニアリングと洗練された造形で、ブガッティの名を再び世界最高峰へ押し上げたのです。

 フォルクスワーゲン傘下で再出発したブガッティにとって、ヴェイロンは初の量産モデルでした。

 1990年代末、当時のフォルクスワーゲン会長フェルディナント・ピエヒ氏は「史上最高のエンジンを持つ車を作る」という構想を掲げ、伝統と芸術性を兼ね備えたブガッティを選びました。1998年の傘下入り後、フランス・モルスハイムでブランドは再興し、技術革新と歴史的遺産が融合する土台が築かれます。

 量産型ヴェイロンEB16.4のデザインはハルトムート・ワークス監修のもと、ヨゼフ・カバンが手がけました。

 車名は1939年ル・マン優勝者ピエール・ヴェイロンへの敬意を込めたもので、「E.B.」は創業者エットーレ・ブガッティを指します。8リッターW16クワッドターボエンジンは1001馬力を発生し、7速デュアルクラッチと四輪駆動を組み合わせていました。

 10基のラジエーターや特注ミシュランタイヤなど、細部まで徹底した設計が施されています。

 電子制御では最高速度が時速213マイル(約347km/h)に制限されていますが、「スピードキー」を使用すると400km/hを超える走行が可能です。

 インテリアにはハンドステッチのレザーやアルミを用い、まるで高級サロンのような空間が広がっていました。そのためヴェイロンは「タキシードをまとった弾丸」と呼ばれたのです。

 2005年の正式発表直後、ヴェイロンは世界を驚かせました。ドイツのテストコースで最高速度408.5km/hを記録し、公道走行可能な最速車として名を刻みます。

 翌年にはBBC「トップギア」でも再現され、ジェームズ・メイ氏が同等の速度を達成しました。マクラーレンF1の設計者ゴードン・マレー氏も運転後には「これは偉業だ」と称え、そのデザインを「時を超える美しさ」と評しています。

 ヴェイロンは単なるスーパーカーではなく、文化的象徴でもありました。映画やメディアで頻繁に登場し、“夢の車”として世代を超えて語られています。速度という概念が「ヴェイロン」と同義になるほど、その存在は圧倒的でした。

 生産期間は約10年に及び、クーペはわずか252台のみ。技術的完成度と希少性、そして文化的影響力により、今もコレクターズカーの頂点に立ち続けています。

 出品された2010年型ヴェイロンはアメリカ市場向けに製造された一台で、ブラックとブルーのツートンボディに黒革の内装を備えます。メーカー保証の延長も可能な状態で、走行距離は約1万500kmと極めて少なく、現在も完璧なコンディションを維持しています。

 2010年式ブガッティ「ヴェイロンEB16.4クーペ」、予想落札価格は150万ドルから180万ドル(1USドル=154円換算で日本円で約2億3150万円から2億7780万円)とされていましたが、最終的には予想を大幅に上回る220万5000ドル(約3億4030万円)で落札されました。

Gallery 【写真】3億4000万円で落札!15年前に登場したブガッティ「ヴェイロン」を見る(31枚)

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