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「性能は本物、価格は合理的」ハイアールジャパンの冷蔵庫が“冷凍基準”を打ち出す理由とは?【家電で読み解く新時代|Case.29】

冷蔵庫の常識が音を立てて揺らぐとき

 これまで冷蔵庫とは、その名の通り「冷蔵室中心」で語られてきた。そのうえで野菜室が真ん中か下か、冷凍室やチルドルームの性能はどうか、各庫容量バランスは? そうした設計思想が長らく“常識”だった。

 しかし、社会構造と暮らしの時間の流れが大きく変わり、ライフスタイルも多様化、冷蔵庫の使われ方も大きく変化している今、これまでの冷蔵庫選びの常識が音を立てて揺らぎ始めている。

 週末にスーパーでまとめ買いをし、冷凍食品や作り置きストックで日々を回す――そんなライフスタイルは、多くの日本人にとってもはや特別ではないからだ。

 ハイアールが掲げる「これからは冷凍基準。」というメッセージは、まさにその変化に呼応したものだ。マーケティング部 部長の松田完一氏は語る。

「冷凍機能は、もはや“オプション”ではありません。冷蔵庫を選ぶ際の軸そのものを、冷凍性能に据えるべきだと考えています。食の保存、まとめ買い、作り置き――そうした“現代の暮らし”に合致する冷蔵庫が、日本には必要になっています」

発表会でお披露目されたハイアールジャパンの新たな冷蔵庫(右の2ブランド「CORISTA」「CORISM」)
発表会でお披露目されたハイアールジャパンの新たな冷蔵庫(右の2ブランド「CORISTA」「CORISM」)

 その言葉には、冷蔵庫という道具そのものの意味を問い直す覚悟が込められていた。

ハイアールジャパンセールス マーケティング部 部長の松田完一氏
ハイアールジャパンセールス マーケティング部 部長の松田完一氏

世界基準の冷凍技術 × 日本の暮らしへの最適化

 その発言に説得力があるのは、単なるマーケティング論ではないからだ。ハイアールグループは大型家電ブランド販売台数シェア16年連続世界No.1を記録、GE APPLIANCE、Casarte、FISHER & PAYKELなど、世界各国で7つの主要家電ブランドを展開し、グローバルで多様なニーズを満たし続けている。

 しかもその背後には、医療・研究機関向けの超低温冷凍技術を持つグループ企業(Haier Biomedical)があり、日本国内には埼玉県熊谷市にある独自のR&Dセンターが存在する。

 民生用の冷蔵庫を世界規模で展開し、真に必要なニーズを満たし続ける一方、業務用で培った高い技術力を融合、その二層構造が「高い冷凍基準」を支えるリアルな土台である。松田氏は説明する。

「医療・研究用途で求められるハイレベルな冷凍技術――温度の安定性、庫内の湿度コントロール、冷気の循環設計など。その思想とノウハウは、そのままでは使えなくても、“冷凍の質”を維持するための原理として活かせます。

 さらに日本の暮らしを徹底的に研究し、住宅事情、キッチンの使い方に合わせて最適化できるのが、熊谷R&Dの存在。これがなければ“冷凍基準”の再定義は成立しなかったはずです」

 “技術基盤 × ローカライズ開発”というハイブリッド構造。これが、いわゆる“安価な海外家電”ではなく、“世界基準の機能を持つ、合理的な家電”を生み出す原動力だ。

埼玉県熊谷市にあるハイアールアジアR&D
埼玉県熊谷市にあるハイアールアジアR&D

CORISTA と CORISM──冷凍主義のためのプロダクトデザイン

 では、実際の製品はどう仕上がっているのか。CORISTA は定格内容積 450 L、CORISM は 411 L。どちらもこの12月17日から順次発売予定だ。

 前者はオープン価格※店頭予想価格22万円前後(税込)、後者はオープン価格※店頭予想価格14万円前後(税込)。

 CORISTA は幅約 59.5cm のスリムボディに、真ん中に野菜室を配置した日本仕様の5ドア冷蔵庫。キッチン空間の圧迫感を抑えつつ、約 139 Lの冷凍室を搭載するなど、バランスの取れた構成を実現している。

 CORISM は奥行きを抑えた薄型デザインで、都市型住宅やシステムキッチンと調和する設計。

 冷蔵庫の定格内容積の約37%である 151 Lもの「ジャイアントフリーザー」を搭載。週末のまとめ買いや冷凍ストックにたっぷり対応できる大容量冷凍室は、なかなか類を見ない。

 どちらも、ただ“冷凍を詰め込む”のではなく、“冷凍と使いやすさの両立”を志向した。さらに、「鮮度キープ冷凍」と名付けられた冷凍技術が、霜つきやドリップを抑え、解凍後でも食材の旨味と食感を保つ設計だ。

 冷気の出入口に開閉式の蓋を設け、霜取り運転時の暖気の流入を防ぐことで、庫内温度の乱高下を抑えるという。

鮮度キープ冷凍機能が非搭載の冷凍庫に保管した左の牛肉は霜がついて白っぽくなってしまっている。一方、右の鮮度キープ冷凍機能搭載CŌRISTAやCŌRISMの冷凍室で保管すると、赤味が強く鮮度が保持されているのがわかる
鮮度キープ冷凍機能が非搭載の冷凍庫に保管した左の牛肉は霜がついて白っぽくなってしまっている。一方、右の鮮度キープ冷凍機能搭載CŌRISTAやCŌRISMの冷凍室で保管すると、赤味が強く鮮度が保持されているのがわかる

 もちろん冷蔵室にも手が抜かれてはいない。背面いっぱいに設置された「シアター照明」は、庫内を広く明るく照らして食品を見やすくし、「きれいエアー」による除菌・脱臭で空気の清潔さを保つ設計だ。

 チルドルームも複数搭載され、モード切り替えも可能とするなど、利便性を追求している。冷蔵庫を日々の“貯蔵庫”ではなく、“見える、選べる、管理できる”空間と捉え直すアプローチである。

 こうして、冷凍・冷蔵の両輪を高いレベルで両立しながら、設置性や使い勝手、デザインも妥協せずバランスさせたのが今回の2機種である。

2製品共通の特長として背面いっぱいに設置された「シアター照明」が搭載されていて視認性を高める。CORISTAのチルドルームは冷蔵室内で2段に分かれる
2製品共通の特長として背面いっぱいに設置された「シアター照明」が搭載されていて視認性を高める。CORISTAのチルドルームは冷蔵室内で2段に分かれる

なぜ“本物をここまで安く作る”が成立するのか

 ここまで本物の技術力を背景に、ユーザーニーズを徹底的に反映した冷蔵庫群にも関わらず、価格帯はこれまでの大容量モデルに比べて、“ミドルレンジ〜ややお手頃”を実現している。

 とはいえ、これは当然“品質を削ったから安い”のでは決してない。むしろ、ハイアールの“合理性”こそが、価格と品質のバランスを引き寄せているのだ。

 7大ブランドが世界中をまたぐ巨大なサプライチェーンと、共通プラットフォームによる部材共有で生産効率を高めつつ、各国の生活習慣に応じてローカルのR&D拠点でカスタマイズする。

 この製造モデルを実現できるからこそ、医療・業務用に使われるような冷凍技術という“本流”を家庭用に落とし込みつつ、価格帯を抑えることができるのだ。松田氏は言う。

「私たちは“価格を下げるために質を落とす”メーカーではありません。むしろ、“世界規模のスケールメリット × 日本での最適化”という構造により、品質を落とさずに合理的な価格を実現することを目指しています」

 少ないコスト、多くの価値――この逆説こそが、ハイアールの本質だ。

グローバルで主要7ブランドを各地域で展開していることで多様なニーズを満たし続ける
グローバルで主要7ブランドを各地域で展開していることで多様なニーズを満たし続ける

冷蔵庫は“暮らしを設計する装置”へと変わっていく

 冷蔵庫の価値観は、いま静かに転換点を迎えている。「冷蔵中心」から「冷凍中心」へ。冷凍を軸にした暮らしは、忙しさに追われ、日々のタスクをこなすことで精一杯の現代人にとって、生活を立て直すための非常に現実的な選択肢になりつつある。

 冷蔵庫という家電は、私たちが意識する以上に“生活の時間構造”を握っている。

 あなたがいま使っている冷蔵庫は、生活のどの時間をつくり、どんな負担を軽くしてくれているだろうか。

 その問いに向き合うとき、ハイアールが掲げる「冷凍基準」というメッセージは、決して新しさだけで語られるものではなく、未来の暮らしを形づくるための確かな提案として立ち上がってくる。

マーケティング戦略として、料理系インフルエンサーの冷凍子ママさんをエヴァンジェリストに迎える。おいしい冷凍レシピをどんどん生活に取り入れる“凍活”を、インスタグラムなどを活用しながら、ハイアールジャパンとしても強く訴求していく
マーケティング戦略として、料理系インフルエンサーの冷凍子ママさんをエヴァンジェリストに迎える。おいしい冷凍レシピをどんどん生活に取り入れる“凍活”を、インスタグラムなどを活用しながら、ハイアールジャパンとしても強く訴求していく

 CORISTAとCORISMは、その提案をもっとも実践的な形で示したプロダクトであり、冷凍を中心に据えた“これからの暮らし”を静かに、しかし確実に後押しする存在となるだろう。

Gallery 【画像】発表会でお披露目された新製品ラインナップを画像で見る(26枚)
「2段あたため」レンジがすごすぎるっ!? 最新レンジを徹底紹介
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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