3ローター・ロータリーターボ搭載の「夢のコンセプトカー」 1985年に公開されたマツダ「MX-03」は“最高にスタイリッシュでハイテクな未来予想図”
全高わずか1200mmで航空機を思わせるスタイリング
マツダ広島本社のショールームに、先日まで展示されていた「MX-03」。それは1985年の「東京モーターショー」で公開されたコンセプトカーで、ボンネットフードの下には夢のエンジンを搭載していました、果たしてどんなクルマだったでしょう?
「MX-03」のエクステリアを現代の視点で見つめ直すと、そのプロポーションの美しさに驚かされます。全長4510mm、全幅1800mmという堂々としたサイズに対し、全高はわずか1200mm。現在では再現が難しいであろう低く構えたシルエットは、空気の壁を切り裂くような鋭さに満ちています。
ボディと一体化した造形のリアスポイラーや、ムダなラインを排してフラッシュサーフェス化されたボディワーク。それは1980年代特有の“未来感”を漂わせるもので、1周回って現代にも通じるクールなたたずまいです。
その“航空機的”なアプローチは、インテリアでより顕著となっています。ドライバーの前には、操縦桿を思わせる“ヨーク型ステアリング”が鎮座し、シフトセレクターは戦闘機のようなガングリップ式を採用。さらに、フロントウインドウに情報を投影するヘッドアップディスプレイや多重表示メーターなど、当時のエンジニアが思い描いたハイテクがコックピットまわりで具現されています。
しかし、「MX-03」の真価は、美しいスタイリングだけではありません。特筆すべきは、当時の常識を覆す強烈なエンジニアリングです。車名の「MX」とは「Mazda eXperimental(マツダの実験的モデル)」を意味していますが、その名に恥じない心臓部が与えられていたのです。

搭載を想定していたのは、654ccのローターを3つ連ねた“3ローター・ロータリーターボエンジン”。セラミック製タービンを採用したツインスクロールターボを組み合わせることで、最高出力は315馬力以上が想定されていました。
しかも、目標車両重量はわずか1150kg。もしこのまま市販されていれば、スーパーカー顔負けのパフォーマンスを発揮していたことでしょう。
その強大なパワーを受け止めるため、駆動系には電子制御式トルクスプリット4WDを採用。さらに電子制御式4WS(4輪操舵)や速度感応型の可変ギアレシオステアリングなど、現代のハイパフォーマンスカーでは当たり前となった技術が、当時の時点ですでに構想されていました。
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ご存じのとおり、この3ローター・ロータリーターボエンジンは1990年登場の「ユーノス コスモ」で量産化され、絶大なインパクトを残しました。
「MX-03」は、当時のマツダ技術者の情熱が詰まった“走る実験室”だったといっても過言ではなりません。そのスタイリッシュな姿とオーバースペックな中身は、40年の時を経た今もなお、クルマ好きの心を熱くさせてくれます。
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