バブル時代の好景気が生んだ“小さな名車” 「ABC」と呼ばれたユニークな軽スポーツカー3選
残る「B」と「C」の頭文字を持つ軽スポーツ
●「B」:軽初のミッドシップスポーツ「ビート」はホンダならでは
1991年(平成3年)5月、ホンダは軽乗用車として初めて、ミッドシップエンジンとフルオープンの2シータースポーツカー「ビート(BEAT)」を発売しました。

ホンダは、四輪車の製造を開始した黎明期に「S360」という軽自動車のFRオープン2シーターを開発しましたが、残念ながら諸般の事情で発売されず、サイズアップした「S500」(のちにS600/S800)として発売されました。
これらとは異なり、ビートはエンジンをコクピットの後ろに搭載する、ミッドシップを採用しています。
サイズに制限のある軽自動車でミッドシップを成立させるため、ホンダならではの独創のパッケージングで重心を低く、1名乗車時の前後重量配分は43:57という理想的な数値を達成しました。
搭載エンジンは、F1テクノロジーをフィードバックした3連スロットルにPGM-FIを組み合わせた1カム4バルブでした。
多くのライバル車がターボエンジンを採用する中、ノンターボながら軽自主規制値の64psを発生しました。
組み合わされた5速MTはストロークが短く、小気味よいシフトワークを楽しむことができました。
前後異サイズのタイヤや軽自動車初の4輪ディスクブレーキも採用して、運動性能を高めていました。
ミッドシップならではの切れの良いハンドリングにオープンエアモータリングが楽しめる、ビートのフィロソフィは後に登場するS660に継承されました。
●「C」:軽自動車唯一の本格派FRスポーツ、スズキ「カプチーノ」
ビートから遅れること約半年の1991年(平成3年)11月、スズキはミッドシップのビートに対抗して、軽自動車唯一のFRオープンスポーツ「カプチーノ(CAPPUCCINO)」を発売しました。

軽自動車とはいえ、ロングノーズ/ショートデッキのスタイルで、ドライバーとパッセンジャーはリアタイヤの直前に座るという古典的なFRスポーツカーのスタイルを踏襲して、人気を集めました。
しかも、ハードトップは3分割式で、収納可能なリアウインドーも相まって、クローズド/Tバールーフ/タルガトップ/フルオープンという4とおりのルーフアレンジができました。
エンジンはアルトワークスに搭載されていた直3ターボを縦置き用にリファインしてフロントミッドシップ搭載し、前後重量配分は51:49を達成しました。
太いセンタートンネルと大断面のサイドシルで剛性を確保し、軽自動車初の4輪ダブルウイッシュボーン式サスペンションと、前ベンチレーテッドの4輪ディスクブレーキも採用し、FRスポーツらしい走りを楽しむことができました。
1995年(平成7年)にはマイナーチェンジされ、エンジンはオールアルミ製のK6A型となり、最大トルクが8.7kgmから10.5kgmに向上しました。
軽スポーツの「ABC」と呼ばれたAZ-1/ビート/カプチーノは今もなおファンが多く、いずれも中古車業界ではコレクターズアイテムとして高い人気を誇っています。
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