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58年前なのに最高時速270キロ! 世界に衝撃を与えたスーパーカー「ミウラ」を発見 274台しか作られなかった初期「P400」の気になる落札価格は

後に登場したスーパーカーすべてに影響を与えた1台

2026年3月に米国フロリダ州アメリア島で開催されたブロードウェイオークション主催のオークションで、1968年式ランボルギーニ「ミウラP400」が出品され、高値で落札されました。

 1966年のジュネーブ・モーターショーで市販モデルが公開されたミウラは、自動車界に大きな衝撃を与えました。

 1963年に創業したばかりのランボルギーニにとって、わずか3年でこのような革新的モデルを世に送り出したこと自体が驚きだったのです。

 このクルマの最大の特徴は、それまでの高性能ロードカーの常識を覆すパッケージングでした。ベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニ(Marcello Gandini)が描いた未来的なボディの内側には、コクピット直後にV12エンジンを横置きで配置するミッドシップレイアウトが採用されていました。

 当時のスーパーカーはフロントエンジンが主流であり、この構成は非常に大胆なものだったのです。

 まるでレーシングカーのようなこの設計と美しいスタイリングは、のちの高性能スポーツカーの方向性を決定づける存在となりました。ミウラは単なる速いロードカーではなく、スーパーカーという概念そのものを形作ったモデルといえるでしょう。

 シャシー自体の構造を見ると、設計は意外なほど堅実でした。上下Aアーム式サスペンションやベンチレーテッドディスクブレーキ、ラック&ピニオン式ステアリングなど、当時のスポーツカーとして標準的な技術が採用されています。しかし、このクルマの真価はパワートレインにありました。

オークションに出品、落札された1968年式ランボルギーニ「ミウラ」(c)BROAD ARROW Auctions
オークションに出品、落札された1968年式ランボルギーニ「ミウラ」(c)BROAD ARROW Auctions

 エンジンはジオット・ビッツァリーニ(Giotto Bizzarrini)が設計した3.9リッターV12ユニットで、これを横置きミッドシップで搭載しています。標準仕様でも350馬力を発揮し、最高速度は174mph(約270km/h)に達しました。これは当時の市販車として非常に高い数値であり、ミウラの名声を世界中に広めました。

 こうした魅力に惹かれ、王族や富豪、映画スターなど世界各国の著名人がこぞってミウラを手に入れました。その成功は、ライバルメーカーにも大きな影響を与えます。とりわけエンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)は、ミッドシップレイアウトのロードカー開発を急ぐ必要に迫られたといわれています。

 もちろんミウラは完璧なクルマではありませんでした。操作性や居住性には独特のクセがあり、扱いには慣れが必要でした。しかし、それを補って余りあるほどの刺激的なドライビング体験が、多くのオーナーを魅了したのです。

 最初の量産モデルであるP400は1969年4月までにわずか274台しか生産されませんでした。その後改良型も登場しましたが、革新性という観点から見れば、初期型は特別な存在といえるでしょう。

 今回オークションに出品されるシャシ番号3637も、そうした初期モデルの一台です。この車両は1968年7月19日にサンタアガタ・ボロネーゼの工場で完成したシリーズIIの強化シャシ車で、外装はビアンコ、内装はロッソレザーという印象的な組み合わせで仕上げられていました。

 装備には大型ホイールやKoni製ショックアブソーバー、ラジオなどが含まれ、英国の正規ディーラーを通じて納車されています。最初のオーナーはサウジアラビア王族のアブドゥル・エラ王子で、リヤドとロンドンを拠点に生活していました。外交官向けの特別割引で購入されたともいわれ、英国到着後にはショーやテレビ番組に登場した可能性も指摘されています。

 その後このミウラは英国で登録され、1980年代になるとレバノンの実業家の手に渡りました。レバノンにあった時期にはボディに損傷が生じ、別のミウラのパネルを用いた修復が行われたと考えられていますが、オリジナル部品の一部は現在も残されています。

 2005年に売却された後、この車両はクウェートへ渡り、元首相シェイク・ジャーベルのコレクションに加わりました。2018年からは大規模なレストアが実施され、当初のビアンコ/ロッソのカラーリングへと忠実に復元されています。その後アメリカへ輸入され、現在は非常に良好なコンディションを保っています。

 シャシ番号3637は、王族が最初のオーナーであったという華やかな来歴を持ち、その後も中東の名士たちの手を経て大切に受け継がれてきました。工場記録と一致するオリジナルのV12エンジンを搭載している点も重要で、希少なP400の一台として高い価値を備えています。さらに工具一式やレストア記録も揃っています。

 そんな1968年式ランボルギーニ「ミウラP400」、落札予想価格は150万ドル以上とされていましたが、最終的に215万ドル(1USドル=159円換算で、日本円で約3億4183万円)という高値で落札されました。

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