なぜマツダ車は走りも質感もいいのか? 完成度を支える“工場の裏側”が想像以上だった! 製造現場に行って感じた「精度への執念」とは
マツダの将来をけん引する志と技術の集大成
自動車メディア関係者向けに実施された「マツダ体験会」で、山口県防府市に位置する防府工場を見学してきました。
マツダ車といえば、美しいデザインと走りの良さが特徴として語られることが多いですが、その裏側には緻密で徹底された生産技術が存在しています。実際に工場を訪れてみると、“見た目やフィーリングだけではない”ものづくりへのこだわりが随所に感じられました。
防府工場では、プレスから溶接、塗装、組み立て、そして完成検査に至るまで、車両が完成する一連の工程を見学することができます。
特に印象的だったのが、マツダが推進する「ものづくり革新2.0」と呼ばれる生産方式です。これは、従来の混流生産をさらに進化させたもので、異なる車種やパワートレインを同一ラインで柔軟に生産できる仕組みを実現しています。
防府工場には第1工場と第2工場があり、第1工場ではコンパクトカー、第2工場ではいわゆる「ラージ商品群」のSUVモデルが生産されています。
今回見学した第2工場では、ラージ商品群となる「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」といった多様な仕様の車両が同じライン上で組み立てられていました。

最新設備が導入された工場内では、プレスや溶接といった工程の多くがロボットによって自動化されています。しかし、単なる機械化ではなく、熟練工の技術をデータ化し、その動きを再現している点が特徴です。いわば「匠の技の再現」であり、品質の均一化と高精度化を両立しています。
例えば足回りの調整では、ホイールの取り付け角度や位置を高精度で測定する装置が導入されており、走行性能に直結する部分の精度管理が徹底されています。
また、車高のばらつきを抑えるために、個体ごとに最適なコイルスプリングを選択する仕組みも採用されています。
パワートレインの搭載工程でも、重心位置を正確に合わせるための専用治具が使われており、振動の低減や乗り心地の向上に貢献しています。
さらにボディの接合には減衰ボンドが使用されており、その塗布量はカメラによってリアルタイムに管理されています。こうした細かな工程の積み重ねが、最終的な静粛性や質感の高さにつながっています。
そして、ドアの取り付け工程では、マツダのデザイン思想である「魂動デザイン」の面の美しさを重視しており、わずかなズレでも外観の印象に影響を与えます。そのため、ドアとボディの隙間は極めて繊細に調整されています。

興味深いのは、単純に隙間を小さくすれば良いわけではないという点です。隙間が狭すぎると、開閉時に干渉しそうな印象を与え、ユーザーに違和感を与える可能性があるといいます。つまり、見た目と使い勝手のバランスを取った“最適な隙間”を見極める必要があります。
現在では、この調整作業もロボットによって行われています。各車両を個別に計測し、そのデータをもとに最適な取り付け位置を決定。もしズレがあれば再調整を行うなど、1台ごとに最適化された組み付けが実施されています。
防府第2工場の生産能力は、1時間あたり38.5台、約1.5分に1台という高い効率を誇ります。それだけの生産スピードを維持しながら、ここまで細かな精度管理を徹底している点は注目に値します。
今回の見学を通じて感じたのは、マツダのクルマづくりが単なるスペック競争ではなく、「人の感覚」にまで踏み込んでいるということです。見た目の美しさや走行性能だけでなく、触れたときの感覚や使い勝手までを含めて設計されているからこそ、多くのユーザーに支持されているのでしょう。
製造現場の一つひとつの工程に込められた工夫とこだわり。その積み重ねこそが、マツダ車の魅力を支えているのだと実感できる体験でした。
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