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エボIIといっても三菱じゃない 伝説のホモロゲモデルを発見 派手なエアロがカッコいい 36年前に登場したメルセデス「190E 2.5−16エボリューションII」とは

DTMで勝つために生まれた502台限定のホモロゲーションモデル

 2026年4月にモナコで開催されるRMサザビーズ主催のオークションに、1990年式メルセデス・ベンツ「190E 2.5−16エボリューションII」が出品予定です。

 190E 2.5−16エボリューションIIは、1980年代後半のホモロゲーションモデルの中でもとりわけ印象的な1台として知られています。

 その誕生は、メルセデス・ベンツとコスワースの協業によるもので、当初はグループBラリー参戦を目的に190Eの開発が進められていました。

 しかし、アウディのクワトロ勢が圧倒的な強さを見せたことから、開発の主眼はツーリングカーレースであるDTM(Deutsche Tourenwagen Meisterschaft、ドイツツーリングカー選手権)へと移行します。

 これに伴い、W201シャシには強化スタビライザーや高剛性ブッシュ、専用ダンパー、リミテッドスリップデフ、クイックステアリング、さらにゲトラグ製5速ドグレッグ・トランスミッションなどが採用されました。

 エンジンでは、コスワースが手がけた改良が大きな特徴です。標準のM102型2.3リッター直列4気筒エンジンに、DOHCおよび1気筒あたり4バルブを備えた軽合金製シリンダーヘッドを組み合わせ、「2.3-16」の名が与えられました。

 その後も改良が続けられ、1988年には排気量が2.5リッターへと拡大されます。さらに翌年には“エボリューション”仕様が登場し、高回転化されたエンジンはボア拡大とストローク短縮により、同等の出力をより効率的に発揮するようになりました。

 シャシも大幅に進化しており、3.27:1のアクスルレシオやトレッド拡大、調整式の高剛性サスペンション、大径ブレーキ、高性能タイヤ、そして専用ボディワークが与えられています。

 そして1990年、最終進化型となる190E 2.5-16エボリューションIIが登場しました。

 最高出力は232馬力に達し、レブリミットもさらに引き上げられています。ギア比の最適化や大径ホイール、ブレンボ製4ピストンキャリパーの採用により、運動性能は一段と高められました。中でもひときわ目を引くのがエアロパーツで、大型リアウイングや張り出したフェンダー、アグレッシブなフロントスプリッターが強烈な存在感を放っています。

オークションに出品予定の1990年式メルセデス・ベンツ「190E 2.5−16エボリューションII」Lukas Magerl(c)2026 Courtesy of RM Sotheby's
オークションに出品予定の1990年式メルセデス・ベンツ「190E 2.5−16エボリューションII」Lukas Magerl(c)2026 Courtesy of RM Sotheby's

 エボリューションIIはレースシーンでも圧倒的な強さを発揮し、1991年と1992年にはDTMにおいてメルセデス・ベンツにコンストラクターズタイトルをもたらしました。

 ホモロゲーション取得のために用意された市販仕様はわずか502台のみ生産され、すべてがブルーブラックメタリックで仕上げられています。その希少性と輝かしい戦績により、現在でも多くの愛好家を魅了し続けています。

 ここで紹介する個体はシリアルナンバー283で、新車時はスイスに納車されました。インテリアにはアンスラサイトレザーが採用され、電動調整およびヒーター付きフロントシート、電動サンルーフ、エアコンなどが装備されています。1990年8月20日にビールの販売店を通じて初代オーナーへ引き渡され、2006年まで定期的なメンテナンス記録が残されており、走行距離は当時で約7万9450kmでした。

 さらに2021年から2023年にかけて、ドイツ・ミュンヘンの専門工房により内外装および機関のレストアが実施されています。エンジンやシャシの分解整備、ボディの再塗装、インジェクターやラジエーターの交換、オイルクーラーやデファレンシャルのオーバーホールなどが行われました。現在は良好なコンディションを維持しており、走行距離は約8万598kmを示しています。

 そんな1990年式メルセデス・ベンツ「190E 2.5−16エボリューションII」、落札価格は26万ユーロから35万ユーロ(1ユーロ=183.6円換算で、日本円で約4775円から6430万円)とされています。

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