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テレビがついに“壁紙”に!? LGの約9.95mm極薄有機ELはインテリアと映像体験をどう両立するのか

“テレビを置く”時代から、“壁に映像が宿る”時代へ

 テレビという家電は、長い間リビングの中心にあり続けてきました。家族が集まり、ニュースを見て、映画を楽しみ、ゲームをする。その意味では、テレビは単なる映像機器ではなく、家庭の時間を束ねる装置でもありました。

 しかし一方で、テレビは空間の中でどうしても存在感が大きくなりがちな家電でもあります。黒い大きな板が壁際やテレビボードの上に鎮座し、その周囲にレコーダー、ゲーム機、チューナー、ケーブル類が集まる。

 電源ケーブルやHDMIケーブルが視界に入るだけで、せっかく整えたインテリアの印象が少し崩れてしまう。これは、多くの人が一度は感じたことのある違和感ではないでしょうか。

 今回、LGが発表した「LG OLED evo AI W6」は、その違和感に真正面から向き合ったモデルだと感じました。最大の特徴は、約9.95mmという極薄フォルムです。

 1cmにも満たない薄さの有機ELテレビが壁に設置されると、そこにあるのは“テレビらしいテレビ”というより、壁面の一部に映像が現れているような感覚です。

LGエレクトロニクス・ジャパンが発表した2026年の新有機ELテレビ「LG OLED evo AI W6」。約9.95mmの極薄フォルムを実現したWallpaperモデルで、会場では「Wallpaper TV, Reborn!」というメッセージとともに展示された。テレビを“置く”のではなく、壁面に映像が現れるような存在感が印象的だった
LGエレクトロニクス・ジャパンが発表した2026年の新有機ELテレビ「LG OLED evo AI W6」。約9.95mmの極薄フォルムを実現したWallpaperモデルで、会場では「Wallpaper TV, Reborn!」というメッセージとともに展示された。テレビを“置く”のではなく、壁面に映像が現れるような存在感が印象的だった

 さらに重要なのが「Zero Connect Box」の存在です。チューナーやゲーム機などの接続部をテレビ本体から切り離し、ワイヤレスで映像を伝送する仕組みによって、テレビ周辺にケーブルや機器を集める必要が少なくなりました。

 しかも今回のZero Connect Boxは従来よりもコンパクトになり、インテリアの邪魔をしにくい存在になっています。

 この進化は単なる薄型化ではありません。テレビという家電が、部屋の中で“主張する物体”から、“空間に溶け込む機能”へと変わろうとしている。そこにこそ、今回のW6の本質があると思います。

LGエレクトロニクス・ジャパン マーケティングチームの安藤康夫氏。2026年の有機ELテレビ新製品として、Wallpaperモデルの「LG OLED evo AI W6」、プレミアムモデルの「LG OLED evo AI G6」、ハイグレードモデルの「LG OLED evo AI C6」などを紹介。なかでもW6は、今回の発表会で最初にアンベールされた象徴的なモデルだ
LGエレクトロニクス・ジャパン マーケティングチームの安藤康夫氏。2026年の有機ELテレビ新製品として、Wallpaperモデルの「LG OLED evo AI W6」、プレミアムモデルの「LG OLED evo AI G6」、ハイグレードモデルの「LG OLED evo AI C6」などを紹介。なかでもW6は、今回の発表会で最初にアンベールされた象徴的なモデルだ

有機ELだからこそ実現できる、壁紙のような存在感

 そもそも、なぜLGはここまで薄いテレビを作ることができるのか。その背景には、有機ELという表示方式の特性があります。

横から見ると、LG OLED evo AI W6の薄さがよくわかる。約9.95mmという1cm未満の極薄フォルムにより、テレビ本体の存在感は限りなく薄まり、壁面そのものに映像機能が宿ったような印象を与える。有機ELの自発光構造だからこそ実現できる、Wallpaperモデルらしい佇まいだ
横から見ると、LG OLED evo AI W6の薄さがよくわかる。約9.95mmという1cm未満の極薄フォルムにより、テレビ本体の存在感は限りなく薄まり、壁面そのものに映像機能が宿ったような印象を与える。有機ELの自発光構造だからこそ実現できる、Wallpaperモデルらしい佇まいだ

 液晶テレビは、基本的にバックライトの光を液晶で制御して映像を表示します。一方、有機ELは画素そのものが発光する自発光方式です。

 バックライトを必要としないため、構造を薄くしやすく、黒を表現するときには画素を消灯できる。これにより、漆黒の黒と高いコントラストを実現できるのが大きな強みです。

 LGは2013年に大型有機ELテレビをグローバルで発売して以降、壁紙テレビ、8K有機EL、ロール可能テレビ、ワイヤレステレビ、さらには透明型有機ELテレビなど、有機ELならではの新しいテレビ体験を提案し続けてきました。今回のW6も、そうしたLGの有機ELテレビの歩みの延長線上にある製品です。

 ただし、今回のW6が面白いのは、単に「薄くなりました」という話では終わらないところです。薄いテレビは、もはや製品単体の美しさだけでなく、住空間そのものの見え方を変えます。

壁面に設置されたLG OLED evo AI W6。テレビボードや周辺機器の存在感を抑え、リビング全体をすっきり見せられるのが大きな魅力だ。単に映像を見るための家電ではなく、インテリアや建築と一体化する“壁の機能”としてテレビを捉え直している
壁面に設置されたLG OLED evo AI W6。テレビボードや周辺機器の存在感を抑え、リビング全体をすっきり見せられるのが大きな魅力だ。単に映像を見るための家電ではなく、インテリアや建築と一体化する“壁の機能”としてテレビを捉え直している

 例えば、壁掛けテレビを導入するとき、多くの人が悩むのは配線です。せっかく壁掛けにしても、下にケーブルが垂れていれば美しくありません。周辺機器を収納するために結局テレビボードが必要になり、部屋の印象が重くなることもあります。

 W6は、そこにZero Connect Boxという解決策を組み合わせました。テレビ本体を極限まで薄くし、接続部を分離することで、壁面の美しさを保ちながら高品質な映像体験を実現する。これは、テレビを“家具”として考えるのではなく、“建築やインテリアの一部”として捉える発想です。

チューナーや接続端子をテレビ本体から切り離した「Zero Connect Box」。ゲーム機や外部機器を接続する機能をボックス側に集約することで、テレビ周辺の配線や機器の存在感を抑えられる。極薄のW6を壁に美しく収めるための、もうひとつの重要な仕組みだ
チューナーや接続端子をテレビ本体から切り離した「Zero Connect Box」。ゲーム機や外部機器を接続する機能をボックス側に集約することで、テレビ周辺の配線や機器の存在感を抑えられる。極薄のW6を壁に美しく収めるための、もうひとつの重要な仕組みだ

 優れた家電は、性能だけでなく、部屋に置いた瞬間の空気まで変える。W6はまさに、その方向へ進んだテレビと言えるでしょう。

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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