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“料理の相談”はLINEからでOK。パナソニックのAI料理パートナー「ビストロアシスタント」が変える、毎日のレシピ決め

オートクッカー対応で見えた「ビストロ全体をAIが支える未来」

 今回の大きなニュースは、Bistroアシスタントが「スチームオーブンレンジ ビストロ」だけでなく、自動調理鍋「オートクッカー ビストロ」にも対応したことです。

 これは単に対応機器が増えたという話ではありません。Bistroアシスタントが、レンジの付帯サービスから、「ビストロ」という調理家電群全体を支えるプラットフォームへ進化し始めたということです。

オートクッカーで完成した豚のしょうが焼き。加熱とかき混ぜを自動で行うため、調理中に付きっきりにならず、肉と玉ねぎを使った主菜を仕上げられる
オートクッカーで完成した豚のしょうが焼き。加熱とかき混ぜを自動で行うため、調理中に付きっきりにならず、肉と玉ねぎを使った主菜を仕上げられる

「オートクッカー ビストロ」は、圧力調理や自動かき混ぜに対応し、塊肉をやわらかく仕上げたり、カレーやシチューのような料理を任せたりできる便利な調理家電です。

 ただし、どれだけ家電が賢くなっても、ユーザーが「何を作るか」で止まってしまえば、その価値は十分に発揮されません。

 発表会のデモでは、オートクッカーで豚のしょうが焼きを作る流れが紹介されました。ユーザーがLINEでレシピを相談し、提案されたレシピからKitchenPocketアプリへ遷移。調理プログラムをオートクッカーへ送れば、あとは材料を入れてスタートするだけです。

 さらに調理中に「ハチミツがない」と気づけば、Bistroアシスタントにそのまま相談できます。砂糖やみりんで代用する方法を提案してくれ、子ども向けに甘めにしたい、お酒に合うように少し濃いめにしたい、といったアレンジも相談できる。

 料理に慣れている人なら、代用や味の調整は感覚でできるかもしれません。しかし、料理に苦手意識がある人にとっては、その判断こそが不安です。

 そこで「それで大丈夫ですよ」と背中を押してくれる存在がいる。しかも、その先の火加減や加熱制御は家電が引き受けてくれる。ここに、AIと家電がつながる本当の意味があります。

豚のしょうが焼きを作る途中で「ハチミツがなかった」とLINEで相談。Bistroアシスタントが代替方法を案内し、材料不足を理由にレシピを諦めずに済むよう後押しする
豚のしょうが焼きを作る途中で「ハチミツがなかった」とLINEで相談。Bistroアシスタントが代替方法を案内し、材料不足を理由にレシピを諦めずに済むよう後押しする

人の伴走をAIで広げる、パナソニックらしい開発思想

 Bistroアシスタントは、最初からAIありきで作られたサービスではありません。

 パナソニックはまず、料理が得意なアドバイザーが、料理に苦手意識を持つユーザーに1対1で寄り添う実証実験を行いました。ビストロを購入したものの、レシピが多すぎて自分に合うものがわからない。

 レシピ通りに作らなければならないプレッシャーがある。そうしたユーザーに対し、アドバイザーが毎週レシピを提案し、わからないことがあれば相談に乗る。

 そこで見えてきたのが、料理を続けるためのサイクルです。自分に合った提案がある。迷ったときに聞ける。小さな学びがある。作った料理を認めてもらえる。すると「自分でもできた」という感覚が生まれ、次の料理にも挑戦しやすくなる。

 Bistroアシスタントは、この人による伴走体験を、生成AIで多くの人へ広げようとするものです。良いサービスは、いきなりテクノロジーから始まりません。まず人間が手作業で価値を検証し、何がユーザーの行動を変えるのかを見極める。そのうえで、再現性のある部分をテクノロジーで拡張していく。

 つまり、人による伴走で確かめた「寄り添う価値」を、AIの力でより多くのユーザーに届けようとしているのです。

サービス開発に先立ち、ビストロに詳しい料理アドバイザーが、料理に苦手意識を持つ利用者をLINEで1対1サポート。3か月にわたり、レシピやTipsの提案、随時の質問対応を通じて、伴走する価値を検証した
サービス開発に先立ち、ビストロに詳しい料理アドバイザーが、料理に苦手意識を持つ利用者をLINEで1対1サポート。3か月にわたり、レシピやTipsの提案、随時の質問対応を通じて、伴走する価値を検証した

AIは家電を賢くするだけでなく、人の気持ちに寄り添う

 Bistroアシスタントには、無料のBASICプランと月額330円のPREMIUMプランが用意されます。

 PREMIUMプランでは、スマホで撮影した食材画像からレシピを提案する「食材パシャっとレシピ」、登録した冷蔵庫内の食材を活用する「使い切りレシピ」、メイン料理の加熱中に副菜を提案する「ぱぱっと副菜レシピ」などが使えます。

 月額330円という価格は、かなり現実的です。毎日の献立決めや食材の使い切り、調理中の不安をLINEで相談でき、さらにビストロやオートクッカーと連携してくれると考えると、実用サービスとしての説得力があります。

2026年度から、無料のBASICと月額330円のPREMIUMという2プランに刷新。生成AIによるレシピ提案や調理サポートを無料化し、食材画像や在庫情報を使う新機能を有料プランに加えた
2026年度から、無料のBASICと月額330円のPREMIUMという2プランに刷新。生成AIによるレシピ提案や調理サポートを無料化し、食材画像や在庫情報を使う新機能を有料プランに加えた

 これまで家電メーカーのビジネスは、基本的に「買ってもらう」ことが中心でした。しかしBistroアシスタントは、毎日の献立相談、調理中の質問、完成後のフィードバックを通じて、ユーザーとパナソニックの接点を継続させていく。

 ユーザーがどんな食材で悩み、どこでつまずき、どんなサポートがあれば使い続けるのか。その情報は、次の製品開発やサービス改善にもつながっていくはずです。

 今回の発表で印象的だったのは、Bistroアシスタントが完成した料理に対してフィードバックを返す機能です。ユーザーが料理の写真を送ると、AIが盛り付けや火の通り具合を見てコメントを返す。うまくいかなかった点があれば、次はどうすればよいかも相談できます。

 料理は、意外なほど孤独な家事です。家族のために作っても、当たり前のように食べられて終わる。感想を言われない。成長している実感がない。そうした小さな孤独や不安を、AIが少しだけ受け止める。

 かつて家電は、身体的な負担を減らしてきました。次に、自動化によって作業負担を減らしてきました。そしてこれからは、心理的な負担を減らす存在になっていくのかもしれません。

今後は、すでに表面化している悩みへの対応に加え、ユーザー自身も気づいていないニーズを先回りして支援する構想。体調や予定など、暮らしの状況に応じた食の提案を目指す
今後は、すでに表面化している悩みへの対応に加え、ユーザー自身も気づいていないニーズを先回りして支援する構想。体調や予定など、暮らしの状況に応じた食の提案を目指す

 Bistroアシスタントが目指しているのは、料理を完璧にこなすことではありません。失敗しても相談できる。迷っても提案してくれる。作ったら褒めてくれる。毎日のレシピ決めや料理の面倒を、友達にLINEで相談するように軽やかに解決できる。

 家電が人の手間を減らす時代から、人の気持ちに寄り添う時代へ。パナソニックのBistroアシスタントは、その変化を象徴するサービスだといえます。

Gallery 【画像】パナソニックのAI料理パートナー「Bistroアシスタント」のスゴみを写真で見る(30枚)
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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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