震えるほどハートに届く、燃え尽きないヒート。タイガー魔法瓶「HEAT TO HEART」とDANRANに込めた新しい団欒(だんらん)のカタチ
「できたてに、ちゃんとふたをする」ことの意味
タイガー魔法瓶の新しいタグラインを説明する公式ページには、印象的な言葉があります。
「できたてに、ちゃんとふたをする。」
ふたをすることは、本来なら保存や保温のための動作です。しかしタイガーは、その奥に「誰かを想う気持ち」が隠れていると語ります。
家族が帰ってくる時間に合わせてごはんを炊いておく。食べる時間がずれても、なるべくおいしい状態で残しておく。ひとりの夜でも、きちんとごはんを炊いて自分の暮らしを整える。
そこには、単なる調理や保温ではなく、誰かを思いやる気持ちや、自分自身を大切にする感覚があります。

「HEAT TO HEART」は、直訳すれば「熱から心へ」。タイガーが磨いてきたのは、熱を生み、包み、逃がさず、最適な状態で届ける技術です。しかし、今回のタグラインは、その技術の先にある感情まで含めて自社の価値を捉え直した言葉だと感じます。
成熟した家電市場では、火力や省エネ性、メニュー数といったスペックだけで差を伝えることは難しくなっています。いま問われるのは、その技術が暮らしのどんな時間を変えるのか、ユーザーのどんな気持ちに届くのかです。
便利になった、時短になったという機能的な評価だけでなく、その製品があることで食卓の空気がどう変わるのかまで問われる。「HEAT TO HEART」は、温度制御の技術を、人の心へ向かう技術として再定義したメッセージなのです。

“DANRAN”は、あえて翻訳しないことで世界に届く
タイガー魔法瓶の企業理念には、「世界中に幸せな団らんを広める。」という言葉があります。
今回、特に興味深いのは、「団欒」を一般的な英語に置き換えず、「DANRAN」として世界に届けようとしていることです。海外向けのタグラインページでも「heartwarming DANRAN」という表現が使われています。

団欒は、簡単そうで実は訳しにくい日本語です。家族が集まることだけでなく、食卓を囲む空気、湯気、会話、沈黙、安心感、誰かを思う気持ちまで含んでいます。つまり団欒は、単なる状態ではなく、心の温度を持つ言葉なのです。
海外展開では、価値を相手の言語に翻訳することが欠かせません。しかし、すべてを置き換えると、その言葉が持つ文化的な温度まで失われることがあります。「UMAMI」や「HYGGE」のように、翻訳しないからこそ伝わる価値もある。
DANRANも、そうした日本発の暮らしの概念として育てようとしているのでしょう。単なる日本語の輸出ではなく、タイガーが長年製品を通じて実践してきた「熱を介して人をつなぐ」という価値観を、ひとつの言葉に凝縮した試みだと考えられます。

もちろん、現代の団欒は、家族全員が同じ時間に食卓を囲むことだけではありません。ひとり暮らしもあれば、共働きで食事の時間がずれる家庭もある。
誰かのためにごはんを炊くこと、自分のために温かい食事を用意すること、炊きたてのごはんを前に少し肩の力が抜けること。そうした瞬間にもDANRANはあります。
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